八国山だより

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尖閣紛争とはいったい

2010-10-09 05:56:30 | 政治
 10月8日のYOMIURI ONLINEによれば、「政府・与党は7日、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の様子を海上保安庁が撮影したビデオについて、公開に応じない方針を固めた」とのこと。当初よりNHKニュースでも実物ではなくCGでしか放映しなかった点を考えれば、記事にあるような「日中再悪化を懸念」というより、己に不都合な真実が記録されているからというのが真相だろう。

 「低気温のエクスタシーbyはなゆー」氏の記事(尖閣沖衝突ビデオは「海上保安庁側からぶつけたとも見える」内容 )を参照すると、海保のビデをみた人が「海保側からぶつけたとも見えるといい、黒薮哲哉氏(ジャーナリスト)が漁業関係者の話として、巡視船と漁船では船体の強度がまったく違うので衝突は自殺行為であり、漁船が故意に衝突する行為は常識ではありえない旨伝えている。

 歴史的に見てもデリケートな地域だったので領有権については「棚上げ」されてきた。「棚上げ」については清水美和氏(東京新聞論説主幹)の次の解説がある(マル激トーク・オン・ディマンド 第494回(2010年10月02日

 もともと尖閣諸島が日本固有の領土であることは国際法上疑いのないところではあるが、日中両国が領有権の主張しているため、日中間ではこれを「棚上げ」、つまり領有権問題は無理に決着させないまま、共同開発などの経済的関係を深める高度に政治的な手法が採られてきた。これは尖閣諸島を実効支配する日本にとっては有利な取り決めとも言えた。棚上げされている限り、日本の実効支配が続くことを意味するからだ。
 ここで言う棚上げとは、互いに軍事力や過剰な警察権などを行使せず、何か問題が起きれば実効支配する日本側は取り締まりは行うが、仮に中国人が逮捕されたとしても、外交上の配慮からすぐに強制送還することで、日本の国内法で処罰まではしないというものだった。対中強硬派だった小泉政権でさえも、中国人活動家が尖閣諸島に上陸した際、彼らを強制送還することで、国内法で処罰まではしていない。

 いわば船長の逮捕は無理筋の逮捕だった。前国交大臣、現外務大臣としてこれに踏み切った前原氏の狙いは何だったのか。今や第2の永田メール事件と化した観がある。この無理筋の逮捕によって中国も拳を振り上げざるを得なくなり、レアアースの輸出が制限され、フジタの社員が逮捕され、各種イベントが中止されるなど政治以外の面にも影響が波及した。

 いわば人質となったフジタの社員の方は、対中強硬派の前原氏にはなす術がなく、おそらく前回の小沢訪中団でコネを作り小沢氏の支援を受けたであろう細野議員の訪中によって4人中3人までが解放された。細野氏に尻ぬぐいをしてもらったようなものだ。「口先誠司」の面目躍如とも言え、その姿勢は永田メール事件以来変わっていない。自分で自分の尻を拭くこともできない輩を政府の要職に留めておいてよいのか。そのようなことを考えさせられた。中国を悪しき隣人という枝野氏も然り。

 もうひとつこの紛争で認識させられたのは、沖縄の海兵隊はこのような場合屁の突っ張りにもならないことが国民の間にも少しは浸透してきたのではないかということである。拙記事「日米安保条約とは結局日本が米の軍事的属国であると日本人を意識付けるためのもの?」に記したように専門家など一部の人にはそのような認識はあっただろうが。

 まだ捕らわれの身の社員のお一方の解放には前原氏の首を差し出す(外務大臣罷免)ぐらいの処置が必要となるのだろうか。レアアースの代替品の研究開発が企図されるなどショック療法となった一面もあるが、これでもし日中に小競り合いが生じその間にアメリカが漁夫の利を得るようなことになれば…(尖閣諸島付近は石油資源が豊富で、駐日大使として一時名前があがっていたアメリカのジョセフ・ナイ元国務次官補は「対日超党派報告書」で日本と中国を戦争に誘導してこの資源を手に入れることを提案している)。前原氏はいったい何が目的でこのようなことをしでかしたのだろうか。