京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の三月」

2017-08-12 09:20:29 | 時計修理

8月12日土曜日。友引の土曜日。
明日13日は四時まで営業することになりました。その後に伏見の大手門で焼き鳥を食べに行く。
「こんだけ働いているにゃから~罰は当たらんじゃろぅ~!」だけれどもお客さんから依頼されると弱い貧乏時計師なのだ。
結局15日がお盆お休みになります。この日は嫁さん家のお墓参りと私の親戚への挨拶などで一日を過ごします。

「竹取物語」は時計師の必須科目です。世界最古のSF小説。
時計師は時間トリックに気を付けたい。
最近SF小説が下火のようでSF小説が売れないという。小松左京の名前すら知らない若者がいるそうです。最近時計が売れないという。セイコーの名前すら知らない若者がいるそうです。(事実です!)セイコーと小松左京の中で育った私はショックなのだ。

ところでかぐや姫、竹の中にコンパクトに入っていた三寸(約10センチ)で発見された。
これがたった3か月ほどで普通の人間の姫に成長する。どう考えてもこいつは化け物じゃ~!夏の竹より成長が早い。(お墓掃除で伸びてきた竹ほど厄介なものはない!)

「田舎の三年、京都の昼寝」の格言がここでも生きています。京都ではあっというまに大人になる。
面白いのがこの姫本人は自分が宇宙人であることを隠そうとはしていない。むしろ積極的にPRしているほどです。
そんな宇宙人に求婚するオヤジたちがいた。
「火ネズミの皮衣」「ツバメの子安貝」「龍の首の珠」「蓬莱の珠の枝」「仏の石の鉢」
この五つのアイテムが登場する。
「セイコー5(ファイブ)」の修理料金に5万円の見積もりを出すようなもの。とても現実的ではない話しです。
とにかくかぐや姫は地球の滞在年数は3年ほど、八月十五日の満月に宇宙へ無時に帰還するまでのお話。
地球へ送られたのは何かの罰ゲームだったようでその罪の内容ははっきりしていない。

旧暦八月十五日は西暦10月4日木曜日でこの日は中秋の名月の日にあたる。
この日は御所を中心とした地球防衛隊が宇宙人に敗れた日。敗戦記念日なのだ。
八月十五日は太平洋戦争の敗戦日でもある。

敗戦後のオキュパイド・ジャパン時代、時計修理用のベンジンが入手困難だったので材料確保のため各地に時計組合ができた。
同時に進駐軍が日本人の時計師の技術があまりに未熟だとして関東中心にCMW(ウオッチコンプリートサービス)資格が生まれる。
 独立系時計師が多い大阪を中心とした関西ではベンジンが入手できないだけなので日本人が未熟と言われても理不尽だと反発。そこでセイコー、シチズンがやっていた技術認定試験を受ける人が多かった。
キャリバーだけブローカーから購入してケース、バンドは手作り製品があった。

写真のような高級時計修理部門でも関西の技術者のレベルが高かった。
天真、巻き芯、など部品が入手できなかったころ折れた芯を0,5ミリほどの芯に繋いで修理をやれる人が多く存在していました。
歯車が掛けている場合菱形に切って入れ歯をやる。まるでかぐや姫の無茶な要求に応えるような時計師が存在していたのです。

今日はお盆!
ご先祖さまが残した時計がやってきます。先達の修理職人がやって来た修理の跡をため息交じりに観て感動する時計師なのだ。
「来た時よりも美し!く」ヌーベル・パスティーシュの開店時間です。




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