京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の都落ち時間」

2021-06-21 08:59:05 | 時計修理

6月21日月曜日。仏滅時間

工房も残り一日になりました。連日お客様からなぜなぜ~?のお問い合わせにおおろおろしています。確かに工房は繁盛店で黒字ではある。前職の「ウオッチマン」時計販売会社を辞めたときによく似ています。国内トップクラスの売上を誇る年間90億円超の大企業のバイヤーをあっさり辞めて京都に戻った。ましてトヨタグループの連結会社です。「この会社は3年持たない!」と大騒ぎして辞めたころに似ています。

今回もコロナの悪影響と言うよりコロナのせいにして経営方針の転換と言ったほうがわかりやすい。時代の流れで時計師は仕事に自信を持てない時代なのだ。

時計業界もグローバリズムの影響を受けた結果、国産時計、スイス時計というカテゴリーは消えた。ほとんど中国の部品を採用、また生産地まで中国に切り替えているのは今まで報告したところです。また中国企業がスイスブランドごと買い取る手法も目立ってきた。

つまり昭和時代の時計師の私、危ない不良品を何とかごまかしながら支えている仕事のが正直なところです。たとえばセイコー、シチズンの廉価版ではベルトのコマをコイルのバネに棒を通して繋いでいます。釣り、ゴルフなど塩水や汗に漬かるとあっさりと錆びて落ちる。「お前に調節してもらった時計が突然外れて海に落ちた!」こんなクレームが相次ぐので従来の松葉ピンに替えてお渡しするなど工夫が必要なのです。電池交換ひとつにしても旋盤くずを一つ一つ探しながら拾い上げる。昭和のセイコー、シチズンならこの時点で不良品なのだ。それをお客様は知らない、昔どおりのブランドへの信頼性が業界人としてうしろめたい。ドイツ製のモデルも同じ「これは中国製ですよ~!」と告げるのもつらいものです。

23日からこんな言い訳もしなくていい。「3日以内に止まったら1100円お返ししますよ~」動き出して中に入っていた旋盤くずがローターに入リ込み止まる悲劇は頻繁に置きます。自分の仕事に自信が持てない。昭和時代にこんな時代が来るとは思いもしなかった、こんな事故にも免責だぁ~。とグダグダと言うよりあっさり都落ちを選択しました。

明日いっぱいがんばりますよ~。お待ちしております。

 

 

 

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