池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつく老人の日常

空間の歴史(7)

2024-03-24 11:45:03 | 日記

いったい何時間寝たのか、わからない。

とにかく目を覚ました。

周囲は真っ暗だ。一瞬、自分は死んだのかと思った。

ここが教会の地下の狭い空間であり、昨日の夜にここに逃げ込んだのだと思い出すまで、やや時間がかかった。

鉄製の重い扉を少しだけ開けると、頭上のカーテン越しに、柔らかな光が差している。

朝のようだった。

耳をすました。

静かだ。

まだ工事が始まらない時間帯のようだ。

もしくは、今日は週末で工事は中断しているのかもしれない。

今日が何曜日なのか、見当もつかなかった。

身体がまったく動かないので、這いずりながら階段下の空間から出た。

窮屈な姿勢で仮眠していたせいか、身体のあちこちがひどく痛む。

空腹は、すでに苦痛を通り越して、かえって清々しい気分ですらある。

鉄の扉をはめ込む前に、もう一度、その空間をじっくり見た。ずっとそこに寝ていたことが信じられないほど狭い。

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