愛媛大学のグループが、土壌のセシウムを70%以上除去する技術を開発し、早ければ6月中旬から
福島県内の汚染水田で実証実験を開始すると発表されました。
愛媛大学の青野宏通准教授と逸見彰男教授らの研究グループは、
磁石とゼオライトを混ぜた材料を開発し、土壌中のセシウムを回収することに成功した。
セシウムを吸着させたゼオライトを、磁力で回収するという仕組みで回収率は73%。
21日に福島市で開かれた環境放射能除染学会で初めて発表された。
福島第一原発の事故で広がった放射性セシウムの除染に活用できる可能性があるという。
早ければ6月中旬から福島県内の汚染水田で実証実験を開始する。
福島の土壌を想定し、あらかじめ非放射性のセシウムを含ませた土1グラムに、開発した粉末材料1グラムと水を入れてかき混ぜた後に、磁石で粉末を回収したところ、約73%のセシウムを回収することができた
開発した材料は、ゼオライトの中でもセシウムの回収能力が高いNa―P1型という人工ゼオライトと、
磁性を持つ鉱物のマグネタイトと混ぜたもの。
「この技術で今すぐ除染の準備ができる。非常に低コストで、迅速な効果が期待できる。
東京電力にはすでに、この技術を理解してい
ただいている。福島県の除染活動を一気に進めることで、国民の願いに応えて欲しい」と逸見教授。
ゼオライトとは結晶中に微細孔を有するケイ素、アルミ系の天然鉱物で、陰イオンの電荷を帯びているので、陽イオンのセシウムを吸着するため、除染剤として注目されていました。
ただし、種類によって吸着しやすい物質の特徴があり、特にセシウム吸着力の高いゼオライトが求められていました。
今回開発されたのは吸着能力と陽イオン交換能力に優れた人工の「NaP1型ゼオライト」で、3つの特長があります。
1)セシウムを吸着するのに最適な0.36ナノメートルまで微細孔を小さくしたことにより、他の陽イオンが吸着されるのを防ぎ、セシウムだけを選択的に集めることが可能。
2)磁石を混入することにより、土壌と分離できる技術を
確立。
実験ではゼオライト補集率は約9割を達成。
3)何よりも低コスト!
1キログラム=200円ほど。
散布量は1000平方メートル当たり約20キログラムで、4000円程度。