うさの珍道中

株式、時事を中心としたジャンルにこだわらない話題を何の脈絡も無く勝手放題に。あっちへふらふら、こっちへふらふら

モルガン

2005年12月14日 17時07分08秒 | 政経、歴史、スポーツなど
アメリカの歴史で一番面白いのは、産業史でしょうね。この点アメリカ国民はどのような教育を受けているのかわかりませんが、間接的にアメリカって証券教育は進んでいるなぁと思い知ったことがあります。
子供の頃は歴史好きということもあってアメリカは余り好きな国ではありませんでしたが、大人になって社会のことがわかるようになるとアメリカ的なものに尊敬も覚えますし、戦争のこともまあアメリカに言われたくないっていうのはありますが、何事も合理性を重んじる国民性も、国内的な公正さもワリと好きです。
欧州人と比較して同じ白人でもアメリカ、カナダ、オ-ストラリアの辺り出身者は、少し会話をしてみれば大体見当がつきます。
なまりもさることながら、その率直な言動になんとなく大陸から来たなと思わせるものがあるからです。
そんな、アメリカの若き日の産業社会の歴史は、まあ日本人的な感覚では余り好まれない歴史かもしれませんが、非常にアグレッシブで、黎明期にありがちな暗黒面もあり、面白い時代です。
具体的に言えばモルガン、カーネギー、ロックフェラー、フォード、ハリマンなどが日本人にも有名ですが他にもリーランドスタンフォード、コーネリアスバンダービルト、ジェイグールド、ジェームズフィスクなどなど。
今の日本の政治家真っ青の極悪非道な買収工作、偽装倒産ありの鬼のような資本主義者ですがそれだけに個人の立志伝として読むと面白いですよねこれが。
みんな歴史に名を残していますが、ちょうどアメリカ史上最大の犠牲者を出した南北戦争の時期の人が多く、モルガンさんなんか24歳だからもろ兵役なのですが、昔から金持ちは優遇されていて南も北も、金持に対しては徴兵延期がありました。
南は奴隷を50人以上抱えている人を兵役の義務からはずしたし、北は300ドルで、兵役義務を逃がれることが出来るようにしています。この意味でも露骨に奴隷制度と資本主義の戦いで面白いです。
若きモルガンさんはもちろん300ドルを支払って逃げた人です(笑)。
ちなみにこのモルガンさん、一個3.5$で買った鉄砲を20$で軍隊に売りつけて見事に300$分以上に回収しています。
ブッシュやクリントンもそこまではしなかったということですね。まあモルガンだけを責めてはいけませんなぜならメロン、カーネギー、ロックフェラーなどなどみんな逃げてます(笑)。戦争というのはそういうものです。
ただ、この全員に共通していえることが鉄道に関わったと言うことです。
アメリカの産業は鉄道を中心としてひろがったといえます。
石油王ロックフェラーも石油の製油所のみならずその石油の輸送する鉄道を押さえることで今日に名を残しました。
モルガンもこれまたジェイグルードというやり手の鉄道王の一人と対立しながら鉄道会社に食い込み、鉄道支配を通じて金融も手を出し、この両輪で産業を支配するという路線をとっています(アメリカンジョーク、ちなみにジェイグールドは別人の有名な生物学者)
さて、そんなわけでこの辺の歴史は個人の伝記で読んでもらうと株式投資をなさる皆さんは大変面白いと思います。
一方アメリカのもうひとつ特筆すべき投資家たちとして、シリコンバレーの投資家たちが挙げられます。ビルゲイツはともかく、大戦中日本軍との攻防で国家プロジェクト研究をしていたベル研究所を辞めたショックレー博士、そのショックレー博士の研究者としての能力に尊敬を抱きながらも経営者としての才能に絶望した若者達の反乱。
その若き反乱者の中心人物にロバートノイス、ゴードンムーア(ムーアの法則で有名)などの博士達がフェアチャイルドを設立し、大成功を収めながら大企業病に冒された会社に愛想をつかし、自分達が飛び出ることでインテルを設立し、自分達の体験からいわゆるエンジェル投資家として若い人や夢のある人を応援します。もちろんアメリカですからビジネスとして。
そのインテル黎明期時代にインテルに依頼し集積回路の基本特許を保有したのが日本企業だということはあまり知られていません。今のインテルの殿様商売が可能なのもこの基本特許の重要性に気づいたインテル側が時間をかけて、日本企業からこの特許を買い戻したことに始まります。
なぜそんなことになったかというとこの日本企業は日本での企業競争に負けて、整理に追い込まれそうだったからです。まあ、今日ではその特許の価値ひとつでも投資の価値があるのは明白ですが、ご存知のように日本は土地に融資してくれる銀行はあっても、アメリカのようなリスクテイクできる産業投資家層がほとんどいないので国家の制度で負けたともいえるでしょう。
80年代半導体立国として世界を文字どうり席巻した日本企業へのまきかえしのアメリカの国家プロジェクトの総参謀こそロバートノイス博士ですが、アメリカハイテク産業の一番苦しい時期にその巻き返し作戦のさなかに亡くなります。彼の作戦とはまさに知的財産権重視によるウィンテル連合であり、シリコンバレーの企業風土、アメリカの黎明期の産業資本家以上に質の高いハイテク投資家の存在です。
彼は90年に亡くなっていますが、結果90年代通して日本は完敗しました。
先日、ガイアの夜明けという番組で宇宙旅行ビジネスへの投資をする投資家が出てきましたが、不覚にもどうも産業の成熟段階に対する日本での認識とアメリカでの認識に差があるように感じました。
もちろんリスクテイクできるアメリカの投資家との落差もありましょうが、アメリカぐらい二極化した社会では確かに宇宙旅行の購入者も日本人以上に多いかもしれないと考えました。まあ、これの是非はわかりませんけどね。
でも、私個人としてはブランソン会長のヴァージングループが動くのがひとつの目安になっていましたから気になっています。
このように日本の歴史もいいですが世界には魅力的な人間の人生や歴史があり、その意味で日本はやや他人を知らなさ過ぎると思いました。無論、韓国ほどではないと思いますが(笑)。

さて、なんでこんなことを思ったかというと今日はモルガンにコテンパンにやられたからです。当ったり前ですがこういうときは静観が賢いですね。
どうも目先にとらわれて戦略眼が落ちていましたね。
もっともモルガンに就職したいぐらいで、逆らおうという気はサッパリありません。身の程は知っています(笑)。
ひょっとして、どこぞの機関投資家の担当者さんが見ているといけませんので、ハッキリ宣言しておきますが、逆らいませんのでこれからもどうぞよろしく(笑)
ああ、僕外人娘ぜんぜん平気なんでモルガン一族の娘さんなら喜んでもらいます(爆


上の写真は、カゴメからの貢物です。