夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

釧雲泉 その後 甲子重陽山水図 釧雲泉筆 その10

2015-08-16 00:30:05 | 掛け軸
引越しに際しては元々倉庫にあった品々を価値のあるもの、使うものに仕分けて、遺すものはきれいにして虫干し後のしまいます。



小生はもう何件の家の品々を自ら整理したのでしょうか? 意外に価値のあるもの、使うものは少ないものですが・・。

息子は相変わらずお手伝い・・・。



墓参りでもお水かけのお手伝い・・・。



「お~い。自分にかけてどうするの?」

本日は久方ぶりに釧雲泉の作品の紹介です。

現在はほとんど名前の知られてない釧雲泉ですが、幕末から明治にかけて南画が隆盛の頃には名声を博した画家であり、非常に贋作の多い画家であることは今までのブログで紹介したとおりです。

当方も贋作に翻弄され、何度も贋作と思われる作品に悩まされ、本ブログにも紹介してきました。だいたいは真贋は判明してきましたが、現在でもいまだに整理の作品が幾つがあり、その中から本日の作品を投稿します。

甲子重陽山水図 釧雲泉筆 その10(贋作処分後の整理NO)
紙本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1948*横398  画サイズ:縦1152*横317



賛には「甲子重陽復五日」とあり、釧雲泉の生存年代から1804年(文化元年)9月、雲泉が45歳頃と推察されます。旧暦の9月は新暦では9月下旬から11月上旬ごろに当たります。



享和2年(1802年)に江戸に下向し湯島天神の裏門付近に居住しています。儒学者の亀田鵬斎、海保青陵や篆刻家の稲毛屋山、漢詩人の菊池五山、書家の巻菱湖など多くの文人墨客と交わり、この頃に結婚したと推測されています。



「雲泉樵人就寫 押印」とあり、印章は「嬾(ラン:おこたる・ものうい)生就」「丹青□」の白文朱方印と「雲泉」の朱文白方印、さらには「雲泉」の朱文白方印が押印されています。



「嬾(ラン:おこたる・ものうい)生就」は思文閣墨蹟資料目録「和の美」第427号作品NO62「山水」の印章と一致し、「丹青□」の印章は思文閣墨蹟資料目録「和の美」第427号作品NO62「山水」の印章と若干の食い違いはあるものの本ブログ掲載の「秋渓覚句」とほぼ一致します。




思文閣墨蹟資料目録「和の美」第427号作品NO62「山水」は1807年(文化4年)と推察されることから、印章の変化の前後の変化もある程度納得できるものです。以前に下記の作品について幾つかのコメントがありましたが、最終的には作品の出来から当方では「秋渓覚句」は「いいもの」と判断しております。

秋渓覚句 伝釧雲泉筆紙本水墨軸装 軸先木製
全体サイズ:縦1740*横620 画サイズ:縦2100*横700



粗末な紙表具で、打ち捨てるような値段(3000円)で購入した作品ですが、意外と飾っておくといい出来のように思います。



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2 コメント

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味わいがありますね (すぎぴい)
2015-08-17 19:30:19
古く汚れてる掛軸ですが、味わいがある表具ですね。
賛及び落款は、釧雲泉の字体の特徴がきちんと出てると私は思います。私の好きな雲泉の筆文字の字体です。
恐らく同時期の秋景山水が手元の資料にありますが、構図等はもちろん違いますが筆致等の雰囲気も合いますので、この時期の作風だろうと思います。その秋景山水も左下部分に同様に落款が記されています。
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お久しぶりです (夜噺骨董談義)
2015-08-18 22:42:34
本作品は今のソファの脇にしばらく掛けておりました。あまりにも廉価での入手の作品でしたので、疑い半分でしたが、ながらく鑑賞していると良い作品のように思えます。

「釧雲泉 その後」として数点を投稿予定です。拙い作品かもしれませんが、楽しみにしていてください。
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