
本日紹介する作品は古伊万里の大きめの徳利です。

古伊万里 草花文染付徳利
誂箱
口径*胴最大幅135*底径*高さ265

古伊万里の徳利や花入に用いる器には一部の蛸唐草文様の作品を除き、あまりいいものがないというのが当方の感想です。

実用性や汎用性を重んじていて、絵筆もそれほど達者ではない作品が多いことからそう感じるのかもしれません。藍九谷などの皿に優品が多い古伊万里ですが、たしかに驚くほど徳利形態の作品は凡庸に感じます。

そのような作品群にあって、本日紹介する作品は意外に秀作です。絵柄の丸い分は禅の教えに通じ茶席でも使えるかもしれません。

古伊万里の徳利の鶴首はちょっと曲がっている作品が多いですね。この作品はかえってそれが味になっています。

初期の古伊万里にはかつては李朝の染付ではないかといわれていた作品もありましたが、百聞窯より陶片が出土しているので、初期伊万里染付であることが判明している作品もあります。初期伊万里については寛永年間に焼かれたものであろうと思われますが、それらの作品は高台から裾回りにかけては初期のもの特有の荒々しい貫入があり、染付の色は濃く、上質の呉須が用いられています。

その後の古伊万里の徳利は冒頭の記述のように実用性と汎用性を重んじて、総じて凡庸になっています。これは李朝の変遷にも通じるところがあるようです。


