夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

お気に入りの作品 踊り子 木下孝則画 その19

2024-03-01 00:01:00 | 洋画
今週のなんでも鑑定団に平櫛田中作とされる「芭蕉像」が出品されており、その説明に際して、平櫛田中と岡倉天心との関連の興味深い逸話がありました。

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平櫛田中の松尾芭蕉像
2024年2月27日放送



評価金額:350万円
顔の表情が良く、間違いなく田中の作。しかし、実は完成作ではなく制作途中だろうと考えられる。星取り機の跡が何か所か残っている。膝のあたりはかなり鑿目が粗い。田中の作品はもっと細かい。作っている途中で終わってしまった、あるいは手放してしまったのだろう。それでは価値がないのかと言うとそんな事はなく、彫り進め方がはっきりとわかる珍しい例。非常に貴重な作。

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そこで展示室に飾っている下記の作品を思い出しました。

五浦釣人 平櫛田中作
合箱
高さ311*幅94*奥行96



この作品は平櫛田中の有名な作品「五浦釣人(いづらちょうじん ※地名はいづらであるが、田中自身は音読して、ごほちょうじんと呼んでいた)」は五浦(茨木県北茨木市五浦)の海岸に出かける岡倉天心を、ウォーナー博士が撮影した写真をもとに制作されたものです。ときおり岡倉天心はこの地で思索にふける一方、下村観山などの弟子を指導し、暇をみては釣りを楽しんだといわれます。遠方を見つめるまなざしは厳しく、ユニークな姿であっても、威厳を少しも損なっていないですね。明治における美術界の偉大な指導者岡倉天心の風貌が良く表現されており、彼を「生涯の師」とした平櫛田中の敬意の思いをこの作品から感じ取れるとれます。

平櫛田中の西山禾山和尚の法話に取材した作は、当初は弓を持たせた形であったが、それを見た岡倉天心に「そんなことでは死んだ豚も射れまい、彫刻の力だけで表現してみなさい」と教えを受け、弓矢を取り外して作品を仕上げたという逸話があります。

さて上記作品に釣り竿は入手時にはありませんでした。息子と神社参りの帰りに採ってきた枝です。他の作例には釣棹がありましたが、もしかしたらもともとないのかも・・・????

この作品の隣には下記の作品を飾っています。すでに投稿している作品ですが、修理完了後の紹介は後日・・・。覆いと敷布は祖母が作ってくれたものです。

極彩恵比寿天尊像・大黒天尊像対(大)平櫛田中作 昭和50年作
昭和50年(1975年)103歳 各々共箱
恵比寿天尊像 作品サイズ:高さ335*幅300*奥行250 11㎏
大黒天尊像 作品サイズ:高さ340*幅310*奥行230 10㎏



さて本日紹介する作品は、子供の頃から作品が実家に飾ったという馴染みもあり、自然に蒐集対象となった木下孝則の作品。多作であったようで、多くの作品がわりと市場には出回っているようですが、これぞと思う作品はなかなかないようです。本日は気に入った作品が入手できましたので紹介します。



お気に入りの作品 踊り子 木下孝則画 その19
油彩額装 右下サイン 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦740*横665 画サイズ:縦530*横455 F10号



木下孝則の作品にしては書き込みの多い作品?となっています。



後ろ向きで顔が描かれていないというのも珍しい・・。



作品中のサインは下記の写真のとおりです。



キャンバスの裏面には下記のように記されています。

 

木下孝則の作品には「バレリーナ」を題材にした作品が多いとされていますが、下記の作品が「なんでも鑑定団」に出品されていました。

参考作品 なんでも鑑定団出品作 2023年6月6日放送
バレリーナ 木下孝則画



この作品に対する番組の評価は下記のとおりです。

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評価金額:80万円(6号程度) 出品者は元女優の中原ひとみ氏 夫は俳優であった故江原真二郎氏。片岡千恵蔵氏から頂いた作品とのこと。

評:本物に間違いない。木下は都会的で洗練された女性を描くことで知られる昭和を代表する洋画家の一人。タイトルが「バレリーナ」。

木下が戦後から晩年にかけて描き続けてきたモチーフ。1961年、67歳頃に描いたもの。女性の内面も含めた美しい部分を描きたいという画家の姿勢が見て取れる。衣装の白いドレスのふわっとした感じが、背景の赤と緑という濃い色とのコントラストによってより強調されている。

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上記の評価の言葉を借りるなら「衣装の白いドレスのふわっとした感じが、背景の椅子のなどの配色とのコントラストによって品よく表現されている。」かな?

書き込みの多い分、非常に写実的になっていて、他の作品と一線を画した佳作、いな代表作といっていいほどの出来となっています。














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