夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

リメイク 鉄薬丸紋壺 河井寛次郎作 その1

2024-03-02 00:01:00 | 陶磁器
当方では浜田庄司の作品とともに河井寛次郎の作品も所蔵していますが、その中でもお気に入りのひとつである作品の紹介です。

下記の写真は河井寛次郎と浜田庄司の同様な花入れを2作品並べてみました。どちらも三越本店からの購入作品です。



表裏の表現が違うのが趣向となっています。

この浜田庄司の作品(上下写真右)はすでに本ブログにて紹介されていますが、あらためて紹介する下記の作品です。

柿釉赤絵扁壺 浜田庄司作
共箱
三越本店からの購入作品 
作品サイズ:高さ200*幅173*奥行100



本日紹介する作品は下記の作品です。

鉄薬丸紋扁壺 河井寛次郎作 その1
共箱 
高さ255*胴幅190*奥行き130 高台径105


箱書から昭和13年の作のようです。共箱内には昭和14年の新聞記事がありました。


古典から日用の器へと路線を変更した寛次郎は各地を訪れ、手仕事の制作現場や、日本や朝鮮やイギリスの器から受けた影響をもとに、実用的で簡素な造形に釉薬の技術を生かし、美しい発色の器を次々と生み出して再び注目を浴びていきます。


この時期以降、寛次郎は作家としての銘を作品に入れないようになったとされています。


室戸台風で五条坂の自宅が損壊したことを契機に、故郷の民家の形をもとに、登り窯の形に対応するかのような構造をした新しい自宅兼仕事場を自ら設計し、大工である実家とも協力して1937年に完成しました。


自宅兼仕事場が現在の河井寛次郎記念館になっています。この記念館については 2024年1月28日 に日曜美術館「美は喜び 河井寬次郎 住める哲学」と題されてNHKにて放映されていますので、見られた方も多いと思います。

同じ年、川勝堅一の計らいで「鉄辰砂草花図壷」がパリ万国博覧会でグランプリを受賞していますが、本作品はその翌年の作となります。


ふてぶてしく力強いフォルム。


釉薬や絵の素朴さ。


写真ではありますが、感じ取っていただけたらと思います。


この作品と同形・同図の作品が最近送付されてきた思文閣主催の大入札会における目録に掲載されてきました。

参考作品   「和の美」思文閣大入札会 作品目録掲載(令和6年3月) 作品NO167(P84~85)
鉄薬丸紋扁壷 河井寛次郎作
共箱
口内幅30*奥行141*幅190*高さ260
入札開始価格¥1,000,000~(落札価格はまだ不明)



大きさもほぼ同じようです。



裏表の図柄もほぼ一緒ですね。入札開始価格は100万円からのようです。



目録の説明には下記のように記されています。



戦前の河井寛次郎の代表的な作例のひとつでしょう。民芸運動を代表する陶工の2作品を今は揃えるのはなかなか難しい・・。



当方では「伝」、「倣」、「氏素性の分からぬ作品」、「贋作考」と題しない限り間違いのない作品を紹介しています。逆にどちらかというと真作に相違ないものは投稿しない方ですね。調べる必要がないからですが、でもたまに間違えるかな・・???



「伝」、「倣」、「氏素性の分からぬ作品」、「贋作考」と題しても明確に贋作とは記述しません。当方はすべての作品が売買目的ではなく、蒐集を愉しむことを第1としています。



再度調べた事項は箱内に同封し、大切に保管しておきます。蒐集するには保管の仕方が重要なポイントですね。



蒐集にはいろんな人とのつながりが大切です。表具師、指物師、金繕いや共直しの職人、学芸員の方などです。蒐集は真贋より保管・維持していくというのが重要だからです。目につくところ(破損する可能性のあるところ)に作品を置いておくこと自体ですら、蒐集者として失格だと思っています。














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