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本日紹介する作品は寺崎廣業が良く描いている観音像の作品です。寺崎廣業の観音像の中でも佳作の部類に入ります。
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岩座観音図 寺崎廣業筆 その132
絹本水墨着色軸装 軸先象牙 共箱 鳥谷幡山鑑定箱 紙タトウ
全体サイズ:縦2050*横557 画サイズ:縦1090*横417
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題名は「岩座観音」となっていますが、寺崎廣業が好んで描いた「楊柳観音(ようりゅうかんのん)」を描いた作品と同じ部類でしょう。
「楊柳観音」は三十三観音の一です。病苦からの救済を使命とするとされ、右手に柳の枝を持つことにより楊柳観音と呼ばれています。この観音は座像に描かれる例が多く、絵画では座右の水瓶に柳の枝をさすことが多いようです。絵画として描かれたものでは、高麗仏画の遺品が著名で、日本国内では、1391年(明徳2年)に寄進されたと伝わる鏡神社(佐賀県唐津市)所蔵の「絹本著色楊柳観音像」(国指定重要文化財、制作は高麗と推定)があります。
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表具は非常に上等な表具となっていて、保存状態と誂えは非常に良い作品です。
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共箱となっていますが、門下の鳥谷幡山の鑑定書きが添えられています。
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作品中の落款からは明治末期の作で、共箱の箱書は大正初期と推定されます。
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繰り返しになりますが、寺崎廣業の観音図の中でも、かなり出来の良い作品と思われます。多作とされる寺崎廣業の作品では出来不出来を厳密に吟味して蒐集することが肝要なようです。
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郷里出身の画家ということから幾つもの寺崎廣業の作品を扱った経験から同じ寺崎廣業の作品でも出来不出来が徐々に解ってきたように思います。