goo blog サービス終了のお知らせ 

腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

ドラゴンクエスト11 ~過ぎ去りし時を求めて~(PS4版) 前編

2017年10月07日 23時00分37秒 | PS4ゲーム感想文
【ハード】プレイステーション4
【メーカー】スクウェア・エニックス
【発売日】2017/7/29
【定価】9698円(税込)
【購入価格】8049円(新品)(税込)
【プレー時間】121時間


「ドラゴンクエスト」、そして略称である「ドラクエ」。……なんつーか、これだけで甘酸っぱいよねぇ。それは今も健在である。

実質ファミコン発売から始まった日本家庭用ゲーム市場は、今年34年目だ。その間は、もちろん平坦だったわけではない。
永遠の絶対王者と思われた任天堂からPSが覇権を奪い、と思ったら奪い返され、しかしまた奪い返し、セガとMSはずっと蚊帳の外。
ハードの進化は天井知らずで進んで行き、世代が変われば媒体も変わり、ネット接続が可能になり、今はもう「夢の箱」状態だ。
送り手側だけじゃなく、受け手の形も変わった。元来の「子供の遊び」が、その子供の成長に合わせ、その限りじゃなくなった。
「子供の頃からゲームをやり続けている大人層」が、今は普通に存在する。もちろん卒業していった層も、新たに入る子供層もいる。
しかしながら近年市場規模は縮小する一方で、今やゲームのメイン市場はスマホだ。……これが一番デカい変化かもな。はぁ。
そうして常に変化していくゲーム業界では、タイトルブランドの維持も容易ではない。大人気シリーズが、いつの間にか落ちぶれる。
単純な質の低下、マンネリ、発売間隔の開き……要因は色々ある。かつて絶対的だった「マリオ」も「FF」も、今では……うーむ。

比類なきドラゴンクエストは、日本ゲーム業界で殆ど唯一、30年以上「確たるブランド力を保っている」シリーズではなかろうか。
まぁ個人的な感覚で言えば、昔ほど、「3」の様な社会現象クラスではない。……同様の認識を持つ俺と同年代は多いと思われる。
しかし実際のところ、「7」や「9」は3以上の販売実績を上げている。様々な事情があるから単純比較は出来ないが、これは事実だ。
昔と比較して他のゲームの質が上がり、もうドラクエだけが特別な作品ではない。しかしながら、ずっと「ドラクエだけは特別」だ。
30年続いているのに、明確な凋落を感じたことは一度もない。これは凄いことだと思う。少なくとも他には思い浮かばない。
本編の数は少ないが、外伝・派生作品は非常に多く、それでユーザーの「ドラクエ感」維持に成功しているのも見事だと思う。
FFも同様の展開を行っているが、成功しているとは言い難いからな。……「絵と音」の刷り込みの差、か。鳥山・すぎやまは偉大だ。
今回は9から8年ぶりのオフラインナンバリング新作であり、これはFFの13→15間隔より長い。……でも、意外とそう感じない。
俺自身、MMOの「10」をやってないから8年ぶりのナンバリングになるが、その間も派生作等で「ドラクエ感」はキッチリ維持された。
ドラクエ感が維持されているから、久々のナンバリング新作を無視は出来なくなる。いや、つくづく見事なブランド戦略である。

……が。今回の比類なき「ドラゴンクエスト11」だが、個人的には発売を大喜びはしなかった。「ああ、出るのか」て気持ちだった。
30年間ブランドは維持されているが、ドラクエも年月と共に変わっていってる。「俺が大好きだったドラクエ」は、今はもうない。
明確に「嫌い」な部分も出てきた。例えば4のピサロを露骨に立ててるとことか、7の「友達だよな!」とか、スホ版のガチャとか。
どんなゲームも100%合うもんじゃないが、ドラクエは後になるにつれ「全く合わない」部分が増えてきた。全く、である。
疑念が向くのは、やっぱ堀井氏だ。氏は言うまでもなくドラクエの生みの親で、今もドラクエ≒堀井雄二 と世間に認識されている。
しかし実際に現状中心になって作っているのは若手後継者であり、堀井氏の関わり度合いは不明だ。……上の公式、嘘じゃね?
DQ7~10までを中心になって作ったのは「藤澤仁」という人なのだが、俺はこのことをつい最近まで知らなかった。ごめんな。
もちろん後進に道を譲るのはいい。だがそれならいつまでも「ドラクエと言えば堀井」であり続けるのはおかしいだろう。
この辺のモヤモヤした気持ちは、俺に(近年の)DQに対する不信感を加速させた。「誰が作っているのか」がよく分からないからだ。
個人的に、DQはFFに比べ「作り手の顔が見やすい」のが長所だと思っていた。堀井、すぎやま、鳥山、特に堀井雄二が大黒柱。
DQのゲーム部分は全て堀井氏の手によるもの。だから賞賛も批判も全部氏のもの。そう認識していた。全部は言い過ぎかもしれんが。
なのに、現実は違った。最新作においても、どこまでが「堀井ゲー」なのかはさっぱり分からん。こんなことでいいのだろうか。
それでいて今作のプロモーションでも堀井氏は頻繁に顔を出し、「俺が作った」としている。ぶっちゃけこれは、卑怯であろう。

更に去年は「はちま見てます」発言なんてのもあった。……事実であっても、ンなこと言うか普通? 頭大丈夫かこの人と思ったよ。
正確には「ネタ集めの参考にしてます」だったかな。つまり今作のイベント等はスペシャルサンクスはちまなのかもしれんのだ。
もう、何だかなぁ。DQも「昔は大好きだった」になるんかなぁ。ブランド力が健在である以上、悪いのは俺の衰えなのかもなぁ。
そんな益体もないことを色々と、発表から約2年間グダグダと考えたりした。無論スルーも考えた。発売日が決まってガックリした。
……が、やっぱしやることにした。ドラゴンクエストの、PS4で豪華な、オフラインナンバリング。こんだけ義務が重なっていればね。
御三家が既にかなり高齢で、次回作があるとしても全員健在であるとも限らない。実質今作が「最後のドラクエ」になるかもしれん。
やれる時に、やっておこう。シリーズ30年の歴史と、それより少し短い俺とドラクエの付き合いに報いるために。それでいい。
ちなみにPS4版を選ぶことに迷いは一切なかった。据え置き機版が選択肢としてある以上当然だ。「昔のように」やるために、な……。


プレー開始。タイトルムービーに合わせ、「序曲」が流れる。ドラゴンクエストだ。ありがとうジャスラックすぎやま先生。
ちなみに今回は「東京都交響楽団」が演奏していて、クレジット表示まである。……これは気取った感じがしてちょっと嫌だった。
まぁいい、ピッ。ドラクエの「ピッ」はいい。時代を貫くコマンド選択音。最初は無論「ぼうけんのしょをつくる」だ。
据え置きだから当然だが、今作はセーブデータを複数作れる。……前作は1個限りだったからな。あれは大問題だったと未だに思うよ。
今作の特長として「あらすじ機能」がある。セーブデータを選んで冒険を再開すると、「これまでのあらすじ」が表示されるのだ。
かなり細かい区切りで更新されるので、プレーに間が空いてもすぐ状況を思い出せるであろう。単純ながら優れた気配りである。
あらすじは、ゲーム中に任意で見ることも可能。スタンバイ常用であまり電源を切らない(俺もそう)人はこまめに読んでおこう。
ムービー、BGM、コマンド音、メニュー画面構成、オールドラクエ、オッケー。後はもう、やるしかない。俺は、勇者になる。

うーむ。ドラクエだ。今作をプレーして「こんなのドラクエじゃない」と言い出す従来のユーザーは、いないんじゃなかろうか。
コマンド選択、移動、会話、買い物、戦闘、町、ダンジョン、全部ドラクエ。取り敢えず、これはお見事と言っていいと思う。
今作は単純に「前作(10は除外)から8年ぶりの続編」でもある。久々にドラクエ、いや据え置きRPGをやるという人も多いだろう。
そういう人達がプレー前に抱くであろう微妙な不安を完璧にぶっ飛ばすドラクエっぷり。ドラクエ最新作は、ドラクエだった。
もちろんこれは「とっつき易い」という意味も含んでいて、今作には簡易説明書しか封入されていないが、何も見なくても問題なし。
普段ゲームをやってる人間なら勘で分かるシステムばかりだ。無論新しい要素が出れば説明は入るし、後で確認することも可能。
俺も極めてスムーズにゲームに入れたのだった。俺自身、微妙な不安感があったので、このドラクエっぷりは歓迎できた。

……が、それは同時に「普通過ぎる」ことでもあった。今作は徹底的にドラクエを目指して作られており、最新? 何それ状態だ。
戦闘はコマンド選択花いちもんめ、成長システムはスキル制(+FFからスフィア盤を輸入?)、移動関係も非常にシンプルだ。
OWが流行し、旧来のRPGが立場を無くしてきている状況で、潔いほど旧来のRPGをど真ん中直球で投げ込んできている。
その判断はありだと思うし、それ故に非常に取っ付き易かった。ゲームを進めるのに何の障害もない。サクサクやっていける。
……しかし、それは「退屈」と近い感覚でもあった。ぶっちゃけ刺激が足りない。本当にドラクエそのもの、俺の知るあれだから。
ドラクエを求めてプレーしてドラクエが出てきたのが不満というのはほんまええ加減にせぇと我ながら言いたくなるが、事実だ。
ユーザーとはどこまでも勝手な存在なのである。旧来型ながら、俺の好きなモンスター仲間システムは一切存在しないしなぁ。

そしてもう1つ。今作、非常にバランスが温い。チュートリアルを終えても戦闘がずっと、あまりにも温いのでビックリした。
とにかくもう、簡単。敵が弱い。自分らが強い。作戦は「バッチリがんばれ」でOK。雑魚はもちろん、ボスもそれで通用する。
何と言っても、MPが非常に潤沢なのだ。昔のドラクエだとAI任せで戦っていればすぐMPが底を尽いたもんだが、今作にそれはない。
使っても使っても減らん。ちなみに杖を装備して敵を殴ればMPが回復したりする。それも絡めれば殆ど無制限に魔法を撃てた。
更に今作では、レベルアップでHPMPが全回復するのだ。これも非常に大きい。やっと減ってきたらと思ったらレベルアップ、全回復。
快適魔法使い放題ライフの継続である。いやホント、これでええの? と何度も思った。稼ぎなんて全くしてないのに、超余裕。

また金銭面でも信じがたいほど恵まれていて、俺はマジで金が余って余って仕方なかった。最終的には70万Gほど貯金した。素で。
と言うのも、装備品を買う必要がないのである。何でって、「鍛冶」システムで無料入手出来るからだ。これでええんか堀井さん。
鍛冶は素材を集めてアイテムを創る、まぁ今作の錬金である。だが錬金より成功率が高く、上手くやればアイテムの性能が上がる。
んで、鍛冶には素材が必要なのだが、これが「フィールドで無料入手可能」なのである。御丁寧に光って位置を教えてくれるし。
素材は一度取れば消えるが、時間で復活する。実質無限に入手可能だ。そして鍛冶にコストは一切なく、何度でも実行可能。
鍛冶はミニゲームになっていて、成績次第でアイテムに性能差が出るが、ご丁寧に「打ち直し」も可能。これまたほぼ無制限。
アイテムのレシピがないと鍛冶は出来ないが、その時点で十分戦える品のレシピがいつも手に入る。親切すぎて拝みたくなる。
今作では開始前に「公式しばりプレー」を選択できるが、その中の「店の使用禁止」は十分以上に可能だと思った。
クリアーするだけなら、武器防具などマジ一切買う必要がない。「普通にやって」このバランスなのである。うーむ……。

そんな感じで、「ドラクエではあるがとても普通な内容」「非常に温いバランス」という印象でゲームを進めていった。
故に、プレーはしているけど、ハマリ度は低かった。取っ付きこそ最高レベルだったが、強い引力が見当たらないゲームだった。
けどまぁ、ある意味予想通りである。「今プレーするドラクエ本編」に過剰な期待をするほど俺はガキではない。フフン? アホか。
時代は変わり、ゲームが変わり、俺も変わった。「今もドラクエ新作が面白い」方が不思議なくらいだ。知ってる。こういうもんだ。
寧ろ強く感じた「ドラクエっぽさ」は、期待以上と言えるくらいだ。ドラクエを味わえたんだ、なら「面白さ」などどうでもいいさ。
そんな感じで、極めて冷めた気持ちでゲームを続けた。……しかし、今作は凄いゲームだった。やがて一転攻勢、大ハマリに入る。

今作の一番の売りは、ずばり「コンテンツ量」だと思う。本筋・寄り道がどちらも膨大に用意されており、やれることにキリがない。
フィールドを歩けば素材を集めたくなるし、戦闘すればモンスター図鑑を埋めたくなる。素材が集まれば鍛冶をし、再び素材集め。
町には多くの人がいて、大半の人と会話が可能。「話しかけられる人間には全員話す」タイプの人間にはちょっと苦痛レベルに多い。
その会話もイベント前後で変化するので、事あるごとに町を走り回る。貧乏性は損である。いや楽しめよ。いや楽しいよ、会話。
会話と言えば、今作には「仲間会話」があり、移動中はいつでも仲間からのメッセージを聞ける。そしてこれがまた膨大に多い。
少し場面が変われば、メンバー全員の話が変わる。無論、再び話しかけることになる。単純に凄まじいメッセージ量だと思った。
ドラクエの町と言えば? 壷や箪笥荒らしである。勇者は昔から盗賊だった。しかも住人見て見ぬ振りの公認盗賊。最低である。
今作でももちろんそれは健在で、プレーヤーは昼夜問わず他人の家に土足で踏み入り、壷を割って引き戸を開ける。箪笥じゃないか。
ちなみに今作では「蹴飛ばして割る」壷も別途登場する。アイテム入手はなく演出だけだが、スゲーと思った。カボチャも割るし。
定番の「クエスト」ももちろん豊富に用意されている。サブ要素に疲れたら、本筋のストーリーを進めればいい。それも長いよ?
個人的な言い方をすれば「コンテンツの洪水」である。やることなすことてんこ盛り。やってもやっても終わらない。楽しい。

「やること(料理)が多いと、見ただけで疲れる(満腹になる)」危険性があるが、今作はその辺のバランスが巧みだと思う。
膨大なコンテンツをプレーヤーに楽しく消費させる……これは恐らく、MMORPGである10の製作経験が生きているのであろう。
俺の感覚だと10は「別物」だが、やはりナンバリング、ドラクエとして受け継がれている面もあったということか。そらそうか。
今作のコンテンツの多さは、近年のオープンワールドRPGと似た感覚があったと思う。ある意味では、ちゃんと時代を追っていた。
直球ドラクエで緩いバランスの今作のスタイルは、このコンテンツの多さ、豪華さを生かすためだったのかもしれない。多分。
そうして楽しくやることの消費に奔走していると、もうどっぷりゲームにハマっていたのだった。買って良かったドラクエ11! 完。

続。またこのコンテンツの豪華さを、「絵・音」というガワが実によく引き立てている。PS4版にしてよかった、いやこれ一択である。
グラフィックは、「究極」であった。無論これより綺麗なPS4ソフトは幾らでもあろう。だが「ドラクエとして」は、完璧だった。
8の時も「ドラクエ絵が見事に3D化されてる! 素晴らしい!」と思ったが、今作はその発展形かつ究極形である。文句なし。
「キャラのアップ」「目の表現」等にいささかの不自然さも感じない。これは凄いことである。リアル系の絵ではあり得ない話だ。
背景も自然に遺跡に町にと多彩かつ美麗。場の雰囲気に浸れることが、コンテンツに勤しむ楽しさをより加速させてくれる。
そして音楽。今作の新曲は置いておいて、当然ながら登場する旧作のリメイク曲の数々、これがまたドラゴンクエストを倍加する。
序盤で3ジパングの(リメイク)曲が流れた時点で「ああ、こら負けたわ」と思った。他のゲームには出来ない30年熟成の味。大好き。
俺はゲームの記憶で最も「残る」のは、音楽だと思っている。内容は時間と共に記憶が薄れ変化していくが、音楽にそれはない。
それ故に、後年突付かれると非常に響くのである。「あのドラクエ」が強烈に喚起され、今作の面白さと見事に絡む。無敵である。
「たっぷりのコンテンツをこれ以上ない質の外装で包んだ直球ドラクエ」……俺なりに纏めると今作はそんなところだ。
まぁ、もう、面白かったよ。やるやん堀井。シンプルさに言いたいことがないわけじゃないが、面白いんだからこれで正解なんだ。
FF15にも大ハマりしたが、あちらは「FF的に」は微妙だった。しかし今作は、ドラクエとしてガッツリと遊びまくれた。
「シリーズとして」は今作の圧勝であろう。尤もFFは変化と挑戦に重きを置いているから、違ってこそ正しいのかもしれんが。
正直、今プレーするドラクエにここまでハマれるとは全く予想外だった。嬉しい誤算とはこのこと。ドラクエ最高、再興。
無論、俺は今後もドラクエファンでい続けることだろう。30年目の新作でそう思えるのは、本当に幸せなこったよな……。


んで。ゲームの目的を大雑把に書くと、「世界中にある6つのオーブを集め、魔王を倒す」である。シンプルだな。
オーブはその価値が判明した時点で、既に3つ持っていた。つまり能動的に集めたのは残り3つ。……意外と、あっさりしている。
そんでまぁ、残り3つも集め、「命の大樹」という世界の拠点に出向いた。ここで「魔王を倒せる力」を手に入れられるのだ。
この時の仲間会話で、カミュが「俺達の旅もいよいよ大詰めだな」と言っていたのを覚えている。俺もそう思った。この時は。
しかし、そうはならなかった。大樹から力を貰う直前でまさかのどんでん返し、勇者一行は魔王にしこたまやられてしまう。
そして世界の空気は一変し、ゲームは仕切り直しに近い状態になる。改めて魔王を倒す力を求めて行動することになるのだ。
……ふっふ。ま、予想通りである。さすがにオーブ揃える→魔王討伐 では起伏がなさすぎる。これくらいはあって当然だ。
もう一回オーブと散り散りになった仲間集めて魔王倒すんでしょ? オッケーオッケー面白くなってきたよ。さガンバロー。
……と、余裕ブッこいてたんだけどね。こっからのドラクエ11には、本当に驚かされましたよ。凄いゲームだった。

何がって、ボリュームですよ。サブ要素だけでなく、本編のゲームボリュームが、ちょっと信じ難いほどに大きかったんですよ。
今作は最初から地図(周辺と世界地図を切り替え可能)を手にしていて、世界全体の広さが大体分かる。また他の大地は登場しない。
最初に世界地図を見た時は、恐らく誰もが「結構狭いな」と思うのではなかろうか。同時に「意外と早く終わりそうだな」とも。
俺はそうだった。オーブ集めで世界の8割を踏破したし、残りはクリア後の要素かなとか思ってた。大間違いだった。スゲーよ今作。
まず先述の大樹前事件によるパーティ離散と再度の仲間集めだ。一人になった主人公が改めて仲間を探し出しパーティを組んでいく。
その流れは予想通りだが、問題は密度だ。一人一人の加入でガッツリとイベントがあり、「おいおいマジかこれ」と思った。マジだ。
俺の予想では、急転直下はあれど、その後の再起から魔王討伐はサクッと行くはずだったのだ。ゲームの流れ的にもその方がいいと。
だがそうではない。大樹事件までのイベント一つと変わらぬ濃さで仲間と合流していく。無論それだけ時間がかかる。マジかおい。
「大ボリュームゲーム」という今作が真の姿を見せ始めるのが大樹事件後である。これにはホント、「少しずつ度肝を抜かれた」ね。
イベントの舞台となる町やダンジョンは前半の使い回しなのだが、そういった流用を手抜きと感じさせない調整も見事だと思う。
同様の作りは「テイルズオブレジェンディア」「リバース」でもあったが、これらは「焼き直し」を強く感じたことを覚えている。
今作では寧ろ、同じ舞台を二度歩くことで場の密度が増して良かったように感じた。口では説明出来ないが、巧みな作りなのだろう。

また大樹事件後は、ゲームの雰囲気も一変する。それまでは各地の事件を解決していく水戸黄門的展開で、どこかのんびりしていた。
ちなみに今作の魔王は一般には存在が知られておらず、そのせいでゲーム前半は世界に緊張感がない。まぁ仕方ないけど。
しかし大樹事件で魔王が本領を発揮すると、世界は一気に荒廃し、多くの人が死ぬ。各地で何度もそう言われ、結構ショックだった。
特に事件直後は世界が文字通り暗雲に包まれ、本当に絶望的な雰囲気だった。あの雲は晴らすのがちょっと早すぎたかもな。
更にヌルヌルの戦闘バランスも、前半とは打って変わって難しくなる。……あくまで前半に比べての話で、そう極端でもないが。
前半ではキャラの戦闘死が2回だけ、全滅は皆無という有様だった。ほぼAI任せ、事前準備も極めてテキトーなのに、である。
だが大樹事件後はキッチリ死ねるようになり、装備やなんかも考えるようになった。……それでも割とテキトーだけどね。
「ゲームの纏めに入る流れ」と思いきや、「ゲームが本気出してきた」のである。否が応にも気合が入った。頑張るしかない。
もちろんゲームへのハマり度も加速した。相も変わらず溢れるコンテンツに本編まで加わって、もう止めようがなかったね。


ちょっと話変えて、戦闘。何度も書いたが前半は極めてヌルく、大樹事件後にドカンと難しくなる。かなり極端な調整だ。
まぁちゃんとレベルを上げれば勝てるドラクエ仕様なので、構える必要はない。稼ぎは要らず、普通にやってりゃ適正レベルになる。
戦闘システムに進化がないのは残念だが、これがドラクエ。攻撃後に元に位置に戻っていくのがどうにもダサすぎだが、ドラクエ。
ただグラフィックの超進化により、呪文や技のエフェクトは非常に見応えがあるものになっている。絵的に楽しい戦闘だった。
キャラの動きも、例えば「さそうおどり」にかかった際は実際に踊ったりして面白い。この辺にも今作の豪華さが感じられる。
表現が凝っているのはモンスター側も同じで、攻撃してもやられても実に「らしい」モーションを見せてくれる。PS4様様である。
3Dキャラのモデルについては、「ヒーローズ」の経験が生きたのかもな。戦闘面でも絵的には申し分なし。満足した。

新システムには「ゾーン」がある。8のテンションのアレンジのようなもので、「ゾーンに入る」とキャラの能力が一定時間上がる。
それだけでも有利になるが、「ゾーン開放」にてパワーアップを手放すことで、キャラ固有の必殺技を放つことも可能。
ゾーン開放技は複数キャラが絡むものもあり、そうなるともちろん効果は絶大。専用ムービーが入るから見てるだけでも楽しい。
……が、何せ発生が基本ランダムなんで、俺はあまり生かせなかった。ボス戦にゾーン入ってから挑むってのも何か違う気がするし。
開放技も、ゾーン状態を終わらせるのが勿体なくて滅多に使えなかった。効果を弱めてもっとポンポン使える仕様にしてほしかった。
複数キャラ技はもっと使いにくく、「対象キャラ全員がゾーン状態」という条件がそもそも厳しすぎだったと思う。うーむ。
ゾーンは今作のバランス上ではあくまで戦闘の彩りレベルだから別に困らなかったが、もうちょい必要なシステムにしてほしかった。
ゾーン開放技には見てないのも多くある。勿体無いからそのうちチェックしよう。うーむ……。

成長システムは、近年(?)ドラクエのお約束「スキル選択性」である。それがFFのスフィア盤のように表示されるようになった。
レベルアップするとスキルポイントが手に入るので、それを使いでスキル盤(仮)のパネルを選択、解放していくというものだ。
パネルは隣り合ったものしか解放できず、当然有用なスキルは当然中央から遠く、必要ポイントも多い。地道に行くしかない。
スキルは剣や杖といった武器の種類で大別されているので、自分の使用武器のスキルを解放していけば概ね問題ない。
スキル盤は「?」のものも多く、それは隣のスキルを解放しない限り判明しない。レベルアップで何ポイント貰えるのかも分からん。
全体的にあまり計画性を持てるシステムじゃないと思う。「待望のスキルゲット!」も特になく、個人的にはイマイチだった。
物語の進行でスキルが元に戻される(ポイントも戻る)ことが何度かあったのも嫌だった。ああいうのは物語上の演出だけでいいよ。
あとロウの爪やベロニカの鞭には違和感があった。それとレベル99にしても全開放できないのも不満である。うーむ。

「ちから」や「すばやさ」といったパラメータはもちろん健在だが、今は上昇が一覧として表示されるので、あまり実感が湧かない。
昔のように一つ一つ表示したら長すぎるのは分かるが、現状が味気ないのも事実。ステータス確認なんか全然しなくなったなぁ。
FEっぽくピンピンと自動で上がっていけばいいのにと思った。今作は稼ぎが要らないこともあり、成長の喜びはあんましであった。
昔と比べて数字のインフレが激しく、終盤は200ダメージなんて敵味方共に大したことがない。なるべく低く抑えてほしいんだが。
いつからか登場している最上位魔法の名前がカッコ悪いのも不満。特に「バギムーチョ」はないだろう。どんなセンスしてんだよ。
最上位は3時点のままにしてほしい……ってのはやっぱ懐古思考なんだろうな。ザラキーマくらいならアリだと思うけど。むぅ。

コマンド体系はさすがドラクエ……と言いたいところだが、これには一つ、非常に大きな不満があった。
「せんれき」コマンドの階層が深すぎるのである。「さくせん」から更に幾つもカーソルを動かしてやっと戦歴。非常に面倒。
クエストやモンスター、素材のリスト等で頻繁に開くのは自明なのに、何であんな位置にあるのか。担当者アホかと思ったわ。
今作は相当レベルの高いゲームだが、この点だけは議論の余地なくダメだと思う。最後の最後まで響く不満だしな。
普通にテストプレーしていれば気づくと思うんだけどなぁ。堀井さんどうなんですか。……まさか、やってないとか? さぁね……。


さて。
大樹事件から更に長く苦しい冒険を繰り広げ、とうとう魔王を倒した!! ……ら、もちろんEDに入る。ドラクエ11、クリアーだ。
……なわけなかった。今作の化け物ボリュームは、EDの時点ですら序章、せいぜい中盤であった。本番は、そこからなのだ。
もちろん「クリア後の要素」があることは自明だ。だからEDでゲームが終わるとは思ってないし、俺も終えるつもりはなかった。
しかし今作の場合は「クリア後の要素」どころではない。物語がガッツリ続き、そのまま「真の敵との戦い」に入っていくのだ。
ん~~~む……いや、ボリュームは別にいいよ。クリア後にもたっぷり遊べる、それはいい。けど、この展開はどうなのか。
単純に、「EDの意味は?」と問いたい。魔王を倒し、スタッフロールが流れたのに、物語は全く終わっていない。なんじゃそら。
ラスボスより強い裏ボスが存在することはいいが、それはエスタークら「ちょっと浮世離れした超強者」であるべきだろう。
物語にガッツリと絡み、世界を狙う存在が裏ボスなら、表ボスはただの前座、そいつを倒しても全然物語は終わってないことになる。
かつて「流星のロックマン2」でも同じ展開・同じ不満を抱いたが、まさかドラクエがそれをやるとは。これでよかったのか。
断っておくが、クリア後の展開自体はとてもよく出来ている。伏線の消化やスケールの大きさも実に見事。さすが堀井さん。……?
それだけに、「クリア後」というのが非常に引っ掛かるのである。だったら最初から一本の話にしておけと思うのである。

当然のように感想が糞長くなったので、ここで区切ることにする。後編では物語・キャラについてグダグダとやる。
本当に言いたいのはそっち方面だしな。過ぎ去りし時を求めて、か。それでいいの? 過去を振り返ってばかりでいいの!?
やれやれ……。


後編へ
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雑1709 | トップ | ドラゴンクエスト11 ~過ぎ... »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
耐えられませんでした (あんこ)
2017-10-08 01:10:33
結構序盤でやめてしまい、普段あまりしないことなのですが、ゲーム自体を売りました。

目の前にあるとやらないとな…なにも感じないのにこのゲームを…となってしまい、精神的に良くなかったからです。

友人や、ゲーマー仲間からも武闘家が仲間に入るあたりからマシになるから、とも言われましたがもう無理でした。

元々ドラクエより常に新しいことをしていくps以降のFFが好きな人間なので、保守的なドラクエはたまにやる、またはドラクエってこうだよねって認識する程度で、それでも革新的なDQ8よりも劣化したフィールドの作りなど、もう挑戦は諦めたんだねって思いが強くありました。

例え上記のそれらが仲間になったところで、このゲームをしていて溜息しかでない保守的なドラクエという作りは変わるのか?絶対そうではないよねっていう感じになってしまい、ダメでした。

多分今後もこのスタイルのままドラクエが続くでしょうが、あと10年は経たないと僕は戻って来れなさそうです。愚痴ですみません。
返信する
Unknown (ota)
2017-10-08 15:53:57
むぅ、そうですか。
>元々ドラクエより常に新しいことをしていくps以降のFFが好きな人間なので
今作は「ドラクエを蘇らせる」てな意識で作られたように思います。旧作のオマージュが非常に多いことからもそう読み取れます。
その分、新しい試みについてはぶっちゃけ二の次でしたね。安心、安定、しかし豪華でボリュームたっぷり。……うーむ。
新しさを望んでいる層には合わないだろうなと思います。難しいところですが、仕方ないですね。
>革新的なDQ8よりも劣化したフィールドの作りな
この観点はありませんでした。確かに今作のフィールド、綺麗ではあったけどマップはつまらなかったかも……。

>多分今後もこのスタイルのままドラクエが続くでしょうが、あと10年は経たないと僕は戻って来れなさそうです。
今作は「やり切った」内容なので、次作は作るのが相当大変だと思います。安定路線で行くなら尚更そうでしょう。
次は結構変えてくるんじゃないでしょうか。スマホ化もあり得ると思います。個人的にはその変化だけは止めてほしいですがw
返信する
ドラゴンのクエスト (アリアハ~ン)
2017-10-09 09:13:28
いつも楽しく拝見させていただいてます。
ドラクエ11、ドラクエ好きな私がスルーしていたのですが、レビューを読んでみてとても面白そうだと思いました。
ボリュームがあるドラクエと言えば7ですが、7とはまた違うボリューム感なのでしょうか。
スイッチ版が出たらやってみようと思います。  

レビュー後半待ち遠しいです。
返信する
Unknown (ケンシロウ)
2017-10-09 12:21:49
いやー、まじで待ってた感想ですよ!
おれが今唯一ほしいゲームなのでwまぁモンスターワールドは買うと思いますがw
そうですか!本当に面白そうですね!オタさんには悪いのですがサクサク進めるレベル上げが必要ないゲームのほうが今の生活にはあっているので買うのは決定ですねw
子供の時はレベル上げをしながら仲間モンスターを仲間にするのも楽しかったのですけどねーw
映像も綺麗なプレステ4版を買うのは決定しているのですがテレビを占領するのでなかなかできないですけどw
返信する
Unknown (ota)
2017-10-10 01:21:13
>アリアハ~ンさん
初めまして、コメントありがとうございます。

>ボリュームがあるドラクエと言えば7ですが、7とはまた違うボリューム感なのでしょうか。
7も長かったですが、今作はそれ以上だと思います。単純比較であれですが、俺は7が70時間くらい、今作は120時間かかりました。
本編シナリオが最後まで繋がっていてそのボリュームというのが見事でしたね。序盤を越えれば中弛みも感じませんでした。
SWITCH版は出すはずですが、まだ正式発表はされてないんですよね。……何やってんだよ堀井。テキトーやのう。

>レビュー後半待ち遠しいです。
嬉しいんですが、後半はバッキバキにバレますよ。そこはご理解下さいませ。意外と気にしない人も多いらしいですが……。
返信する
Unknown (ota)
2017-10-10 01:27:07
>ケンシロウさん
俺はあんまし作品のお勧めはしない(出来ない)人間なんですが、今作は「気になっているならやるべき」と言いましょう。
PS4を購入したのなら尚更テッパンの選択だと思います。単純明快に、めっちゃ面白くて、ハマりますです、はい。
>サクサク進めるレベル上げが必要ないゲームのほうが今の生活にはあっているので買うのは決定ですねw
サクサク進むんですが、それでも尚鬼のボリュームです。ゲーム疲れをする恐れがあるので、のんびりプレーして下さい。
>テレビを占領するのでなかなかできないですけどw
家族でテレビを共有しているとそれが問題ですよねw 一応VITAがあれば(PS4ソフトなら何でも)リモートプレーが可能ですが……。
返信する

コメントを投稿

PS4ゲーム感想文」カテゴリの最新記事