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腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

私は名もない宿屋の娘 その2

2007年08月28日 00時02分46秒 | ほか
では歌詞を読みながら考察してみたい。
……つっても考察とは名ばかりで、ほぼ俺の妄想である。非常にキモい。
だが俺はそれだけこの歌に感情移入してしまったのだ。
ここは照れずにやってみたい。

あん? JASRAC? 上等じゃコラかかってこいや。
俺を怒るならその前にこの歌再販しろ。買うから。チッ。

――――――――――――――――――――――――――――
「私は名もない宿屋の娘」

私は名もない宿屋の娘よ 覚えていないでしょ 悲しいわ
ときどきテレポーテーションで帰ってくる貴方のこと 待ってるの
目立たないけれど いつでも見つめてるわ 夢のエンディング 叶う その日を
貴方は挫けない 決して諦めない 全滅する度に もっと強くなるの

しばらく会えない間に なんだか逞しくなったね 嬉しいわ
ときどき道具屋の人に噂は聞いていたけれど 頑張って
今度生まれたらお姫様になりたい 囚われの私 救い出してね
貴方は世界一 それとも宇宙一 リプレイする度に 心がときめくの
貴方は挫けない 決して諦めない 全滅する度に もっと強くなるの

今日も元気出して あまり無理しないで 私は名もない宿屋の娘
たまに思い出して こまめにセーブして 私は名もない宿屋の娘

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

歌詞全文は以上。
以下、細かく解説(妄想)。


>私は名もない宿屋の娘よ 覚えていないでしょ 悲しいわ
>ときどきテレポーテーションで帰ってくる貴方のこと 待ってるの

まずは出だし。そこは小さな町ではあるが、勇者の冒険上は拠点となる場所で、
割と長期間滞在していたものと推測できる。その町で勇者たちはずっと同じ宿屋を
利用していた。娘はその宿屋の長女。学校が終われば家業の手伝いと弟妹の世話に
忙しい子というところだろうか。
そんな彼女が小さな恋をする。最近何度も宿を取る一行の、素敵なリーダー。
向こうは娘のことなど全然気にかけていないけど、彼女の小さな恋は少しずつ育っていった。


>目立たないけれど いつでも見つめてるわ 夢のエンディング 叶う その日を

恋とは言っても、娘はそれを成就させようともするとも思っていない。
相手は現在、国中に名を轟かせつつある勇者様であり、自分はただの宿屋の娘。
たまたま家が宿屋だったから、こうして近付くことが出来ただけなのだ。
だから私は貴方を見つめるだけ。宿屋の仕事を精一杯するだけ。
そして貴方の旅が無事に終わることを願うだけ。

「夢のエンディング~」、ここはやや楽屋オチ的であろうか。作中の人間が使っていい
言葉ではないが、元々そんなマジな歌ではない。流しておこう。

>貴方は挫けない 決して諦めない 全滅する度に もっと強くなるの

勇者と言っても、安全楽勝の旅をしているわけではない。凶悪な魔物との戦闘に、
時には敗れることもある。だが、あの人は決して挫けない。私の宿屋で英気を養い、
もう一度強敵に挑むのだ。再び敗れても、何度も何度も、立ち上がって。
それがあの勇者様。私の好きな勇者様。


ここでAメロ終了。
次Bメロ。


>しばらく会えない間に なんだか逞しくなったね 嬉しいわ
>ときどき道具屋の人に噂は聞いていたけれど 頑張って

しばらく会えなかった勇者様が久しぶりに宿屋に来てくれた。
娘の恋は加速する。勇者様はますます素敵になっていたからだ。
彼を見かけない間も、お隣の道具屋の主人に色々噂話を聞いていた。
道具屋さんは物資の調達を頻繁にする必要があるので、自然と各地の情報が集まるのである。



>今度生まれたらお姫様になりたい 囚われの私 救い出してね

どうやら姿を見せない間、彼はこの国の姫様の誘拐事件という大事件を解決したらしい。
姫様のことは知っている。同年代だけど、私とは似ても似つかない美しい方だ。
攫った魔物の気持ちも分かろうというものだ。
誘拐などされて、姫様はさぞ怖い思いをしたことだろう。
しかし勇者様に助けられた時には、どれだけの喜びを感じられたことだろう。
もしかしたら、いやもしかしなくても、姫様も勇者様に恋心を抱いたに違いない。
……少しだけ、想像してみる。自分がお姫様になり、攫われ、勇者様に助けられることを。
不謹慎かもしれないが、娘にはそれがとても魅力的に思えたからだ。
綺麗なドレスを着てお化粧でもすれば、私でも勇者様に相応しい女の子になれるかな?
自分の妄想に思わず顔を赤らめる娘であった。


>貴方は世界一 それとも宇宙一 リプレイする度に 心がときめくの
>貴方は挫けない 決して諦めない 全滅する度に もっと強くなるの

恋心が炸裂した娘の勇者讃歌は止まらない。「リプレイ~」の部分もまた楽屋オチ的
ではあるが、多くは言うまい。元々子供向けバラエティでのおちゃらけた歌なのだ。
こんな歌に異常に感情移入している俺がおかしいだけなのだから。


Bメロ終了。
ラストCメロ。
全部で3分半ほどの短い歌だ。


>今日も元気出して あまり無理しないで 私は名もない宿屋の娘

しかし、別れの日は突然やってきた。
勇者様一向は、今度は別大陸に向かうらしい。
当分は会うことなど出来ないだろう。いやもしかすると、二度と会えないかもしれない。
長く利用した宿屋を去るにあたり、勇者様は宿の主人を始めとする
従業員に礼と挨拶を述べた。
それが自分の番になった時……娘はどれほど、その想いを伝えたくなったことだろう。
だが娘はそれはしなかった。そんなことをしても、勇者様を困らせてしまうだけだ。
なぜなら私はただの町娘だから。名もない宿屋の娘だから。
娘はにっこり笑って勇者様にお別れの言葉を返した。
その笑顔の目尻に涙があったことを、勇者は気付いていたのか、いないのか。
娘はいつも通りの仕事をし、勇者様一行を見送った。

>たまに思い出して こまめにセーブして 私は名もない宿屋の娘

勇者様の旅はこれからもまだまだ続く。
娘にできるのは、旅の無事を祈ることだけ。
私は名もない宿屋の娘。
こまめにセーブして、エンディングを目指してね。
私は名もない宿屋の娘。

でも、一つだけお願い。
ときどきでいいから、家の宿のこと、そして私のことを思い出してね。
私は名も宿屋の娘。






……くうううう、どうだ、キモいだろう。
いいんだこれで。いいんだよ。
こうして書くにあたってかなり肉付けはしたが、俺はこの歌を聴いた時、
こんな感じの娘の恋が自然と頭に浮かんだ。
歌詞だけでは気分が出ないが、メロディと犬山犬子の声が加わると
もう切なさ炸裂なのである。
んでその切なさと可愛らしさに、本気で感動してしまったのである。

一応言っておくが、萌えとか欲情ではない。
恐らくこの娘は2次元美少女と言える容姿をしていない。ただの町娘なのだ。
俺はただその設定に猛烈にセンスの良さを感じ取り、思わず小さな物語を想像してしまったのだ。

「私は名もない宿屋の娘」。
何度でも言う。素晴らしいセンスのタイトルだ。本気で感動した。
その妙な感動に煽られた面もあるが、歌自体も素晴らしいものだった。

今じゃ誰も覚えていない、14年も前の歌が、今現在の俺にクリティカルヒットした。
そうあることではないだろう。とても喜ばしい偶然(?)である。
一つの歌にこれほどに入れ込むことも、最近では少ない。
洗脳されたように一時期だけハマるということはよくあるが、
その一時期を過ぎれば飽きてしまう歌が殆どだ(ゴマエーとか)。
「私は名もない宿屋の娘」は3ヶ月ほど前にハマり、
今も飽きずによく聴いている。本物である。
……ってあんまし気合入れるのもよくないか。
思いもかけず良い歌に出会えた、よかったよかった。
これでよし。



……そして13年後、あの娘はどうなったか?
俺の妄想では、近所の幼馴染(道具屋の息子ってとこか)と結婚し、
子育てと家事と家業に追われる忙しい毎日を送っている。
家業は道具屋でもいいが、婿養子を貰って宿屋を継いだってのもいいな。

夜、子供たちを寝付かせるため、娘……今は母だが……は昔話を聞かせている。
もちろん、あの勇者様のお話である。
子供たちも勇者様の物語は大好きで、いつも母にせがんでいたのだった。
「ねえ、お母さんは勇者様のことが好きだったんじゃないの?」
子供の一人がそう問い掛けた。
「……ふふふ、そうだったかもしれないわね」
恥ずかしいのか、言葉を濁す母。

子供たちを寝かしつけた後、彼女は勇者様のことを思う。
今は一体どこで何をしているのだろうか?
魔王を倒した後、勇者様は忽然とこの世界から姿を消してしまったらしい。
姫様が必死になって消息を追ったが、とうとう発見できなかったという。
また……ひょっこりこの町に顔を出してくれないかな。
また家の宿に泊まってもらいたい。
今なら、あの時の想いもきちんと伝えられる。
もちろん、懐かしい思い出話として……。


……けどなぁ娘さん、いや今はお母さんか、真実は残酷なんですよ。
貴方の世界を救った勇者様は、実は別世界「ゲンジツ」から来た異世界人だったんです。
世界を救った後、勇者様はゲンジツに帰還したんです。
ですがね……そっちの世界では勇者様でも、ゲンジツでのそいつは
何の特徴も能力もない、ただの一般人なんですよ。
それこそ名もないそこらの男です。
んで十数年後、その男がどうなっているかと言うと……ははは。
惨めなもんです。

名もない宿屋の娘は、歌になって俺の心に響きました。
しかし名もない無力な男のことは、誰も一切気にかけません。
ゲンジツでの現実です。
はぁやれやれ。
終わり。









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8 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-12-13 15:28:06
しかしこうして、誰かに知覚されている時点でゲンジツでの存在は保障されているんだよなあ…
嬉しいダルルォ
返信する
Unknown (ota)
2014-12-14 01:22:27
ぬぅ、ありがとうござます。
この歌はホンマ名曲なんですよね。
俺のことはともかくこの歌はもっと広まってほしいもんですわ……。
返信する
Unknown (nana)
2016-04-11 00:48:52
初めまして!
唐突にこの曲と、この番組がやっていたのを思い出し、某動画サイトでこの曲を聴いた後、検索してここにたどりつきました。

このED曲、なんとなく印象に残りますよね。
歌詞とタイトルが本当RPGに直球してるというか、改めて聞くと本当ドラクエを模して作詞したのかなと思いますが、英雄に憧れる一般市民の恋心をゲーム風に表しているなぁと思いました。
そして、ひっそりと恋心は自分の中にしまっておいて、傍らから見守る…というのが、凄く昭和の時代の女らしいなぁと。
今の時代のRPGではあんまり考えられない事ですね。

解釈…というより妄想と書いてありますが、後日談的な妄想も含めてちょっといい話だなと思いました。

私もゲームは幼少の頃から好きなので、他の記事も読まさせて頂きますね。
長々と書かせて頂きましたが、これで失礼します。
返信する
Unknown (ota)
2016-04-11 02:25:43
初めまして、コメントありがとうございます。

>このED曲、なんとなく印象に残りますよね。
「ゲーム情報番組」の「エンディング」という、お世辞にも目立たない歌なんですが、印象に残るんですよね。
そして最初に聴いた時よりも、後になってから強く心に響きました。これを「隠れた名曲」で終わらせるのは非常に勿体無い。
何とかデータ配信してくれないかと思っているんですけどね……。

>英雄に憧れる一般市民の恋心をゲーム風に表しているなぁと思いました。
>そして、ひっそりと恋心は自分の中にしまっておいて、傍らから見守る…というのが、凄く昭和の時代の女らしいなぁと。
確かに今の時代じゃこういう歌詞は生まれそうにないですね。けど時代を越えた美しい健気さを感じられて非常にいいです。
それに犬山犬子氏の声やSFC時代のRPGへの郷愁が絶妙にマッチします。今また聴き直してホロリとしちまいましたw

>解釈…というより妄想と書いてありますが、後日談的な妄想も含めてちょっといい話だなと思いました。
ありがとうございます。これはちょっと広げすぎですけどw、歌詞を聴いて場面を想像するというのは自然なことですよね。
後日談がなくとも、名もない彼女だって、もちろん生きている。どこかのRPGの世界で、今も幸せに暮らしていると思いたいもんです。

>私もゲームは幼少の頃から好きなので、他の記事も読まさせて頂きますね。
あー……非常に癖が強いアレな感想だらけですが、読んで頂けたら嬉しいです、はい。
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Unknown (Unknown)
2016-04-27 00:37:03
 この記事はイヤホン、セミにならんで何故か定期的に読みたくなる記事のひとつです。
 「運命の一冊に出会う」なんて言い回しがあるくらいで、本を読むというのは読んだ人の人生観に影響するものだと思います。しかし、僕の場合本などは滅多に読みません、新聞も見ないです。マンガ以外で読むものなんてotaさんのブログだけなんですよね。
 なので僕はotaさんの考え方に結構影響されています。その中でもさっき挙げた3つの記事は結構印象に残ってるんですよね。
 otaさんは自分を卑下するような言い方をされるときがありますが、僕はotaさんのやり方が好きです。この記事の妄想染みた考察もキモくなんてありません。むしろ想像するというのは聞き手として本来あるべき形だと思います。
 なんだか妙に長くなりましたが、これからも楽しみにしてます!
返信する
Unknown (ota)
2016-04-27 23:31:34
ありゃ、お名前が。既知の方だと思うんですが……。 
想像は出来ますので、その方と思っておきますw

>この記事はイヤホン、セミにならんで何故か定期的に読みたくなる記事のひとつです。
うはぅ、ありがとうございます。どれも古い記事ですが、今ではこういうの書いてないので読み返すと変な気分です。
質はともかく「言いたいことをキッチリ書いてる」記事ではあるので、そういう意味では自分でも納得のいく内容です。妄想であろうとw

> なので僕はotaさんの考え方に結構影響されています。その中でもさっき挙げた3つの記事は結構印象に残ってるんですよね。
あー……ありがとうございます。基本的に自分のためにやってるブログですが、誰かに「何か」が伝わったと思うとやっぱ嬉しいですね。
まぁでも所詮俺の考えは俺の考えなので、一つの意見として参考にして頂く程度が一番かと思います。俺はとにかく世界観が暗いですし。
はぁ。

>なんだか妙に長くなりましたが、これからも楽しみにしてます!
はいです。それにしても……「私は名もない宿屋の娘」……素晴らしい……っ。
返信する
Unknown (Unknown)
2016-04-28 09:44:17
あ、ほんとだ名前入れるの忘れてましたねw
にしてもコメント読むだけで誰か予想できるとは流石ですね。せっかくなのであえて名乗らないままにしときますw
返信する
Unknown (ota)
2016-04-29 02:05:56
それは残念w
名有りでコメントを頂くと嬉しいので、次はまたお願いしますw
返信する

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