腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

いろづきチンクルの恋のバルーントリップ

2010年09月19日 21時40分30秒 | ニンテンドーDSゲーム感想文
任天堂という会社は、日本有数の「ホワイト企業」だと思う。
あ、劣悪な労働環境や法令遵守を屁とも思わない会社を「ブラック企業」と呼ぶアレとは別の意味でね。
……そっちの意味でもホワイトなのかどうかは知らん。まぁブラックなことはないと思うが。

で、何がホワイトかって、任天堂は企業イメージが良い。非常に良い。
マリオやポケモンを筆頭に、発売されるゲームの多くは万人向けであり子供向け。
そのゲーム内容は良い意味でとてもライトで、プレーヤー層はそれこそ一桁から90歳以上までいると思う。
また肝心のゲームの出来も世界屈指の高品質を20年以上に渡って維持しており、その安定感は他に類を見ない。
かと言って安定に安住するわけではなく、常に新しさを求める挑戦心を持ち、客を飽きさせない。
リコールや死亡事故などの大きな事件を起こしたこともない。まぁゲームでそんなの起こるわけないが。
他、CMの親しみやすさ、頑強なハード設計、「神」と呼ばれる手厚いサポートなど、悪いイメージを抱く面が殆どない。
例えゲームを一切やらない人でも、少なくとも悪印象を抱いてはいないのではなかろうか。
ゲームという、世間一般では印象の悪い商材を扱っていながらのこの好感度は、本当に大したものだと思う。
単なる印象操作でこんな事はできない。「本物」を丹念に作り続けているからこそだろう。
上手い褒め言葉が見つからないね。さすが任天堂、と言うしかないわ。

そんな任天堂だけに、今作「いろづきチンクルの恋のバルーントリップ」は衝撃的だった。
まさかあの任天堂が、こんなゲームを出すとはね。はぁ。
と言っても、作風のシュールさに驚いたわけではない。「そういうゲーム」であることはプレー前から分かっていた。
チンクルのキャラ自体は知っていたし、パッケージからして完全にソレだし。
だが、ここまで痛い……いや「痛めつける」作品とはね。
ゲームは楽しめたんだが、正直かなり複雑な気分である。
はぁ……。


説明するまでもないが、このゲームの主人公は、チンクルである。
比類なき「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」にて初登場し、以後シリーズの常連(?)になったキャラだ。
そのキャラクター造詣は、ひとことで言って「痛い」「キモい」。あ、ふたことだ。
スラッとした若いイケメン(もしくは少年)たるリンクとは実に対照的で、凡そ好感を持てるキャラではない。
その痛さ・キモさを笑わられる、正確に言えば嘲笑される為に作られたキャラである。
今作でも、基本的にキャラクターは変わっていない。
作中では敵キャラにハッキリとこう言われる。

「35歳独身、ニートでさえないキモオタ男」。

……変わってないどろこか、酷くなってるね。ニートとオタ属性まで加えられたのかよ。
別にこの敵に限らず、ゲーム中あらゆる場面でチンクルはこんな扱いを受ける。
そしてこれが、個人的に衝撃的だった。
任天堂が、ここまで個人を叩くのかと。嘲笑うのかと。
衝撃的であると同時に、ちょっと恐い気もしたほどだった。

日本屈指のホワイト企業任天堂は、当然その企業イメージを保つべく様々な努力をしている。
中でも商材たるのゲームの内容に関しては、細心の注意を払っているに違いない。
例えば、俺はやってないから知らないが、恐らくポケモンに「殺す」という動詞は一切登場しないはずだ。
あの世界にそんな言葉は似合わない。まして子供が主要ターゲットなんだから教育上の問題もある。
マリオシリーズだって、敵は常に「倒す」程度で、間違っても殺したりはしない。表現上は消えていなくなるけど。
倒す描写もあくまでコミカルで、血が吹き出たりすることはない。ホニャッと潰れたり、爆発でどっか飛んでったり。
無論FEシリーズなど実際に「殺す」作品もあるが、表現に対する気遣いからか、残酷なんて印象は殆どない。
FEシリーズなんて、リアルな風景を想像すればとんでもないエログロゲームになっちまうのにね。
また少ないながら「エターナルダークネス」「斬撃のレギンレイヴ」などの年齢制限レベルの作品もあるが、
それすらどこか健全な雰囲気を感じる俺はちょっと任天堂に洗脳されてるんだろうか?
基本路線は徹底的に真っ白、それを外れる路線でも大きな脱線は決してしない。
さすがは超ホワイト企業任天堂である。

……で。そんな表現上の問題でも最も厄介なのが、差別関係だろう。
少しでも「タブー」に触れれば、途端にそれに喧しい連中が騒ぎ出し、下手すれば大火事になりかねない。
ここ最近は更にその風潮が加速しているので、表現に関わる企業はどこであろうと神経過敏になっているはずだ。
例えば任天堂の作品に「障害者は邪魔だから死ね、バーカ」「外人は出ていけ! この国は俺らのものだ!」
なんて台詞が出てくることはまずない。いや絶対にない。そんな事したら大問題になる。今書いた俺ですらちょっと恐いのに。
差別……「特定属性の人を叩く・排除する」のは、現実にやるのはもちろん、創作上でも今や最大級のタブーなのだ。
恐らく客から見れば「そこまで気にしなくても……」と思うレベルまで、企業は警戒しているはずである。
尤もやはり創作なので、どうしてもそういう表現が欲しくなる場面もあると思う。
だから「問題提起」という形でなら、今もその手の表現はそこそこ見受けられる気がする。
例えば、種族間対立とか。FEでなら「蒼炎」「暁」がそういう作品だったな。
「我々にそんな感情は一切ないが、現実には存在するから、そこを問題点として表現したい」。
これなら理屈が通り、口喧しい団体等も一応は納得せざるを得ないだろう。元々表現の自由ってものがあるんだし。
これが現状の創作上の妥協点だと思う。ま、現実だよな。

……それらを踏まえて、今作におけるチンクルの表現はどうだろうか。
「35歳独身、ニートでさえないキモオタ男」。明確に馬鹿にし、コケにし、嘲笑している。
問題提起などしてない。純粋に、そのキャラクターの欠点・引け目・コンプレックスを笑いものにしているのだ。
完全に差別表現である。
実際ゲーム中での扱いも悲惨で、特に女キャラには「嫌悪され、逃げられる」。
単に嫌われたり無視されるのではない、悲鳴を上げて逃げられるのだ。一目見ただけで、である。
そこまでキモい風貌・挙動であり、かつニートで35歳独身。笑うしかないだろう。徹底的に指差して笑ってやれ。あはははは。

俺が衝撃を受け、恐いと思ったのは、任天堂が「これならOK」と判断したことだ。
例えばキャラが障害者で、「片腕がないこと」「知的障害者であること」を嘲笑するゲームを任天堂が作るだろうか。
そんなキャラを見て「きゃああ気持ち悪い!」「近寄らないで!!」と叫ぶ女キャラを作るだろうか。
絶対にあり得ない。絶対にあり得ない。そんなのは洒落でも問題提起でもない。醜い差別心の現れでしかない。
そして実際にそういう境遇にある人がそんな表現を見れば、大いに傷つくことに違いない。
世界に名だたるホワイト企業任天堂がそんな無茶苦茶な真似をしていいわけがないのだ。

……だが、チンクルはOK。「35歳独身、ニートでさえないキモオタ男」なら、幾ら叩いても嘲笑してもOK。
任天堂は明確に、チンクルのキャラクターを「叩いてよし」と断定したのだ。あの超ホワイト企業が。
これは恐い。すごく恐いよ。
だって、チンクルのキャラ、そんなに特異か? 「35歳独身、ニートでさえないキモオタ男」、そんなに珍しいか?
ンなことはない。寧ろ現代日本の問題部分を鋭く抉っている設定だと言えるだろう。
ピンポイントで当て嵌まらなくても、属性として交わってる人は幾らでもいるはずだ。
……え、俺? お、おおおおお俺はそそそそそその、そんなのどうでもいいだろ! あくまで一般論だ!!
畜生畜生畜生……。と、とにかく!
現代日本では特に珍しくもなく存在し、周囲も本人もその痛さ・ダメさを重々知っているであろうキャラクターを、嘲笑する。
ゼルダにおけるサブキャラレベルなら、或いは洒落として済んだかもしれない。実際俺はそう思った。
しかしチンクルをメインに据えた上、表現はより苛烈にし、それが問題なく任天堂チェックをパスした。
ちなみにこのゲーム、CEROはA、つまり全年齢対象である。「誰でも楽しめる」ゲームなのだ。
35歳独身、ニートでさえないキモオタ男を叩いて嘲笑うことに任天堂は疑問を一切挟まなかった。
このゲームは発売から1年が過ぎているが、差別だなんだと話題になったことはない。
完全にOKだった。こういう連中を嘲笑うことは、任天堂にも、社会全般にとってもOKだった。
……恐いよな。非常に恐いよな。これが現実だよ。

なぁ、モニター前のアンタ、こんなブログ読んでるってこた、アンタはチンクルを一方的に笑えるような存在じゃないだろ?
アンタらは……いや、もう体裁繕うのは止めよう、「俺達」の立場は、俺達が思う以上に悪いのかもしれないぞ。
大まかに言えば「弱者」でありながら、世間的同情は一切受けられず、それどころか嘲笑・排除の対象になっているのだ。
今でさえ糞ヤバい日本の状況は、正直今後もどんどん悪化していくに違いない。少なくとも俺はそう思っている。
そんな状況下、心の荒んだ人たちは、叩ける存在、自分より下の存在を必死に探すだろう。人間の常だ。
そうなった時、俺達に対する世間の扱いは……ああもう考えるのが怖いよ。なんて未来だ、現実だ。
まさかゲームでこんな現実を突きつけられることになるとはなぁ。
ある意味ではありがとう任天堂、だよ。あはははは……。



はぁ。
なんかもう急激に死にたくなってきたが、ゲームについて語ろう。ぶつぶつと。
ケッタイなキャラとタイトルだが、今作の内容はごく普通な謎解きアドベンチャーゲームである。
それこそゼルダの謎解きを、キャラと世界を変えて表現したものという感じだ。
ぶっちゃけよくあるタイプのゲームであり新鮮さはないが、親しみやすい。個人的にも好みのジャンルだ。
「ゲームで謎解き」が好きな人なら問題なく楽しむことが出来るだろう。……世界設定はともかくね。

謎の難度もまぁ普通で、じっくり考えれば解けるレベルのものになっていると思う。
また、近年の任天堂思想に則り救済措置も用意されており、ずばり「ネタバレ仙人」なるキャラがいつでもゲームのヒントを教えてくれる。
ヒント要求に代価もリスクも何もなく、気軽に使っていい。よってゲームに詰まる人は殆どいないだろう。
……俺はもちろん、使ってないがな。任天堂、こういう面でも俺を馬鹿にしてるのかな。考えすぎか。

本編シナリオ以外のやり込み要素「シークレット」というものも用意されているので、意外とボリュームはある。
シークレットを埋めるのは本編以上に難しく、またここではネタバレ仙人にヒントを訊くこともできない。
これを埋めきるのがこのゲームの真骨頂だと思う。……のだが、コンプリートしても特にご褒美がないのはガッカリした。
もうちょっとやり込み甲斐を用意してほしかった。……結局そんなことよりライトユーザー、なのかな。


世界設定は、所謂絵本もの。そんなジャンルあるのか知らんけど。
主人公は35歳ニートの以下略で、汚いアパートに一人暮らし(ペットの犬あり)。
ニートでありながらアパート暮らしってこた、未だ親から仕送り受けてるんだろうな。
まさか株やFXで暮らしてるわけないだろうし。はぁ。
で、そんな主人公がある日通販で妙な絵本を入手し、開いてみると、その本に吸い込まれ……
気が付くとそこは本の中の世界、主人公は緑のタイツを被り「チンクル」として冒険を始めるのだった。

そう、実は今作の主人公、厳密に言えばチンクルではない。
従来のチンクルもパラレル存在だったと思うが、今作ではあくまで「チンクルによく似たどっかのオッサン」なのだ。
何気に重要事項かもしれないから、ここにキッチリ記しておこう。俺達ゃ誰もがチンクルになれる。いや、されるんだぜ。

チンクルは「お城のダンスパーティでプリンセスと踊ることができれば現実に戻れる」というこの上なく嘘臭い情報を信じ、旅に出る。
ここからは「オズの魔法使い」のパロディ的展開で、3人の仲間などは非常にそれっぽい。
どうしてもチンクルの特異なキャラに目が行ってしまうが、それ以外のキャラ・世界設定はよく描けていると思う。
舞台に沿ったBGMやキャラの挙動など、ゲームの雰囲気作りには高い品質と優れたセンスを感じた。
この辺、制作会社バンプールの真骨頂なんだろうな。ちなみに俺はバンプールゲームは初めてである。

チンクルと共に旅する3人の仲間はどいつも個性的かつ愛らしく、メインであるはずのヒロインキャラよりコイツ等の方がずっと好きになれた。
ビビり気質の怪力男・ライオンは、ゲーム中のコマンドでも大活躍だったこともあり、好感度が高い。
冷徹機械ブリキさんも、終盤の変化が萌え萌えだった。一応女だからプレゼントもしたかったな。
カカシは正直あまり役に立たなかったが、示してくれる信頼感がとにかく嬉しかった。それだけで人は強くなれるのさ。とか。
自然にこんな仲間を作ることが出来たんだから、やっぱチンクル、ただの35歳独身以下略じゃないね。
2次元存在は「成長」する。最初ダメでも最後は違う。嗚呼、現実。
ちなみに主人公になったせいで、今作のチンクルは掛け声や「くるりん~パッ!」など以外は一切喋らない。
これだけ酷い扱いを受けてるんだから、いっそベラベラ喋らせれば面白かったと思う。無理か。はぁ。


さて、ゲームを進めていくと、女性キャラが多く登場する。
しかし何度も言うようにチンクルの風貌は醜悪そのもので、女性キャラは誰もが恐れ嫌悪し会話すらままならない。
メインヒロイン扱いのキャラはもちろん、その辺のおばさんや女性店員、果てはメス犬や女神像までもが、だ。
そこで登場するのが今作のメインシステム(?)「ラブプッシュ」だ。
……まぁ要するに、女性キャラにプレゼントを贈って気を引くというシステムである。
身も蓋もないが、多分それくらいしか方法はないだろうな。
個人的には現ナマ渡すのが一番効果的だと思うんだが、残念ながらそれは出来ない。
チンクルに札束で頬を叩かれて懐柔される女性キャラ、見たかったなぁ。それこそ「毒のある表現」じゃないの任天堂?
ああそうか、そんな事したら女性達に怒られるもんね。馬鹿にしていいのは35歳以下略だけだもんね。はぁ。

んで女性キャラにプレゼントをする事になるんだが、当然ながらキャラごとに好みが違うので、
それに合った物を渡さないと思うように好感度が上がらないどころか、下がることにもなってしまう。
まぁ何であろうとプレゼント自体は受け取りやがるんだけどね。ったくよぉ。
好感度が最高に達すると懐柔完了、女性キャラはやっとまともに会話してくれるようになり、ゲームが進む。
ただ、一般モブキャラはそれでいいが、ヒロイン扱いの5キャラは複数段階に渡って好感度をマックスにする必要があり、
しかも段階毎にプレゼントの好みが変わるので、なかなか攻略に苦労させられる。
女性様にプレゼントをさせて頂くだけでは不十分、女性様のお心に適った物を差し上げなくてはならないのだ。
……これが、35歳以下略に許される最大限の恋愛形態、異性コミュニケーションなんだね。嗚呼。

女性様へのプレゼントは「ラブや」なる店で購入することになる。そんなLOVEYAで働きたい。
当然ながら金はキッチリ要求される。プレゼントには1~3のレベルがあり、高レベルな品は高価だ。
世の中、金である。徹底的に金である。真実である。
よってプレゼント代捻出の為、金を稼ぐ必要が出てくる。
そこらの草や樽を調べると僅かなルピーが手に入ったり、ミニゲームでバイトが出来たりするが、それだけではとても足りない。
そこで「ダンジョン」というミニゲームが登場する。これも一応今作のメインだろうか。
これは簡単な3Dダンジョンになっていて、3分から5分くらいの制限時間内にクリアーすると、他の手段を遥かに上回る大金を手にすることが出来る。
プレゼント購入資金の為に、プレー中何度もダンジョン潜る必要があるだろう。
……が、正直このダンジョンは失敗していると思う。単純に面白くない。
時間が短いので不快なほどではなかったが、寄り道として楽しめるミニゲームではなかった。
今作では多彩なミニゲームが登場するが、残念ながら面白いと思えるレベルのものは見当たらなかった。
この手の作品では結構重要な要素だからここは批判しておくべきだろう。そっちのセンスはなかった、のかな。はぁ。


シナリオは絵本のページをめくるように進んでいくのだが、中盤でタイトルになっている「バルーントリップ」が登場する。
これは絵本のページを遡って移動できるというもので、要するに時間移動を可能にするシステムだ。
これにより現在で入手したアイテムを過去に戻って使用したり、過去に逃げられた女性キャラを時間をずらして追い求めたりすることが可能になる。
当然、過去に戻って起こしたアクションにより、現代に戻ると状況が変わっている……というような仕掛けがたくさん用意されている。
個人的には比類なき「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を思い出させるシステムであり、楽しかった。
ある意味反則的な能力だが、元々チンクルは別世界の存在なんだから、これくらいはいいだろう。これくらいの特別性は許せっての。
ただ、この時間移動に関しては少々作り込みが足りないかなと感じた。
もうちょっと凝った、複雑な繋がりを解くようなものを用意してほしかった。
特に終盤で仲間がどんどん離脱する場面は、単に復活するんじゃなくバルーントリップで救出する演出にすべきだったと思う。
うーん。


シナリオは特に良くも悪くもない。
仲間達と共に城を目指しながら、途中の様々なトラブルを解決し、またヒロインとの仲を作っていく。悪くない。
終盤、敵ボスの魔女により、チンクルが絵本に吸い込まれたのは「フェロポン」なる物質が目的だったことが判明する。
「モテない男がモテると誤解したり……高嶺の花と分かっているのにあり得ない想像を巡らせる。
そんな妄想を抱く男達からフェロポンってのはムンムンしみだしてくるのさ」との事。
いやぁ、35歳独身キモオタニートでも役に立つこたぁあるんですね。はぁ。
この魔女にとっちゃどうしようもないチンクルの属性も立派に価値があったわけで、ある意味救われたと思った。
もちろんこれは作り話、現実とは違うけどね。現実じゃ35歳以下略なんて。何の。価値も。嗚呼嗚呼嗚呼。

ヒロインは4人+プリンセスで計5人。しかしどのヒロインも結局「物で釣った」のが事実なので、正直萌えも何もない。
好感度が最高になると一応見せ場っぽいイチャシーンが挟まれるが、そんな大したものではない。もちろん濡れ場でもない。
このゲームのヒロインキャラに思い入れを抱くプレーヤーは殆どいないと思う。ハッキリ言って失敗している。魅力がない。
一般女性キャラには蛇蝎の如く嫌われてるんだから、逆にヒロインキャラは普通に接することができるようにした方がよかったと思う。
その上で、プレゼントを含めたアプローチをプレーヤーに試行錯誤させる。また、イベントも色々挟む。
それくらいしないと、今のご時世で2次元ヒロインなんてとても張れないよ。
ちなみに作風が作風なので、ヒロインと言っても2次元美少女とは程遠い、味のある絵になっている。
アズサやライアなんて、お前チンクルのこととやかく言えるレベルかよと思ったが……ま、悪いのは35歳ニートなのよね。はぁ。


EDはヒロイン別に5種類あるが、最後の最後の選択によりほんの少し変わるだけなので、マルチEDである意味は薄い。
だがそれよりも「現実に戻る」と「本の世界に残る」を選択できるというのが非常に気になった。
そう、EDの選択肢により、現実の世界を捨て、本の中に残ることも可能なのである。
その場合のラストシーンは、誰もいないアパートで犬が本におしっこを引っ掛けるというものだ。
……これ、ダメだろう。チンクルにとって今作の舞台はあくまで架空の世界、現実は現実として厳然と存在する。
仲間やヒロインとの別れが惜しくても、歯を食いしばって現実に戻り、冒険の経験を胸に今後の生活を頑張る……
そういう終わり方こそ、この35歳独身キモオタニートの物語の締めとして相応しくはなかろうか。
仲間や恋人ができて特殊能力も得られた2次元の方が居心地いいから、現実捨ててこっちで生きるってのか。
それじゃモラトリアムの継続、逃避の正当化でしかないではないか。
もしかして制作者が伝えたいのはそこなのか? 現実なんて糞だから立ち向かうんじゃなく捨ててしまえって?
シュールながら一本筋が通ったシナリオだと思っていたので、最後の最後でこの展開はガッカリした。
でもまぁ、実現可能ならそっちの方がずっといいのも間違いないわけで。現実なんてなぁ。ホント現実って。



ンなとこ。はぁ。
謎解きは面白かったし、意外とボリュームもあった。プレー中はシナリオも普通に楽しめた。
ただ任天堂の下した判断にショックを受けただけだ。
しかしショックを受けようが何だろうが、受け入れるしか俺には選択肢はないんですよね。あはは。

ED後現実に戻るにせよ絵本の中に残るにせよ、チンクルは冒険の経験を活かしてきちんと「更正」することだろう。
実際、チンクルというキャラは、他人にどんな扱いを受けても、決して捻くれたり落ち込んだりはしない。
あくまで前向きと言うか自然体で行動し、美人を見ても怯んだりせず、素直にメロメロになる。
そう、チンクルは前向きで明るいキャラなのだ。作中でヒロインにそれを褒められるシーンもある。立派な長所だ。
……そう考えると、「俺達」を嘲笑うかのようなチンクルのキャラも、実は似てるようで全然違うのかもしれない。
世間に対して捻くれどんどん沈んでいくタイプと、何があろうとヘラヘラ外に出て他人に関わっていくタイプ。
同じ35歳キモオタニートだったとして、どちらの未来が明るいだろうか。考えるまでもない。
容姿に恵まれなくても、仕事が見つからなくても、世間の目が厳しくても、前向きに人と関わろうという気持ちだけは決して失ってはいけない。
制作者が今作で本当に伝えたいことはこれなのかもしれない。とか思った。
……もちろん、35歳キモオタニートを嘲笑するのは前提でね。制作者にはそんな奴一人もいないんだから。
はぁ。


俺自身は、やっぱ無理っぽいっスね。何というかもう、しんどいッスね。
だからもう現実はそこそこに、架空の世界を楽しむようにしたいですね。
そうなると、やっぱテレビゲームですね。そうなると、やっぱ任天堂ですね。
……これだけコケにされても、結局任天堂に縋るしか道はないんですね。
最早ありがとう任天堂ではない。ありがたや任天堂だ。俺達の未来はそこにしかないんだ。
考えるのめんどくなってきたんで終わり。
取り敢えず現実続くよどこまでも。
はぁやれやれ。







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18 コメント

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otaさーーん!! うぇぇーーい!! ()
2014-10-02 19:31:10
>なぁ、モニター前のアンタ、こんなブログ読んでるってこた、アンタはチンクルを一方的に笑えるような存在じゃないだろ?

悪かったネw でも確かにその通りですね。
ニートみたいにはならないようにします。ですからotaさんも気をつけて下さいね♪

ところでotaさんは前作(?)のルッピーランドはやったことがありますか?
僕はルッピーランドしかやったことがないのですが、意外にハマりました。
この記事を読む限り、ルッピーランドに似ているよな印象を持ちました。
あと、最初はチンクルが主人公だと聞いて「ええっ??」ってなったのですが、イケメン君が主人公じゃないことに不思議な魅力を感じました。

あー、なんだかルッピーランドがやりたくなってきた…でも他のゲームもあるし…
返信する
Unknown (ota)
2014-10-03 02:19:56
うぇーい。
……却って切なくなりますねこれ。まさに若者言葉……。

>ニートみたいにはならないようにします。ですからotaさんも気をつけて下さいね♪
あー、お分かりでしょうけどこれは冗談ですから、気にしないでください。……まぁお互い、せめて最低限の社会性の維持を……。

>ところでotaさんは前作(?)のルッピーランドはやったことがありますか?
前作ですよね。プレーしてないです。DS絶頂期に発売され、20万本以上売れてビックリした記憶があります。
主人公はどちらもチンクルですから共通項はあるでしょうが、ジャンルは違ってたように思います。
>あと、最初はチンクルが主人公だと聞いて「ええっ??」ってなったのですが、イケメン君が主人公じゃないことに不思議な魅力を感じました。
こういうキャラのゲームを出せた所に、当時の任天堂の余裕を感じますね。今はまず出せませんし、仮に出ても1000円程度のDLソフトでしょう。
そういやスマブラに出せって声も全く無かったような……w まぁチンクルは日陰キャラでいいいのかな。
返信する
Unknown (Unknown)
2016-05-30 17:24:02
私は絵本の世界に残るのは主人公としては当然だと思った。逆に現実世界で一人で踊る主人公を見て悲しくなりました。あとあなたは「独身ニートでさえないキモオタ」にダメージ受けすぎ。
返信する
Unknown (ota)
2016-05-30 23:03:18
>私は絵本の世界に残るのは主人公としては当然だと思った。
うーん、絵本での経験を糧に、現実を頑張るようになるチンクル……とすれば纏まりがいいと思うんですが。
あっちの世界で再起が可能なら、それもいいかもしれませんね。チンクルが幸せになれればそれでいい。

>あとあなたは「独身ニートでさえないキモオタ」にダメージ受けすぎ。
これはまぁ、半分はネタで言ってるんで。半分は。この程度でダメージ受けてたら生きていけませんしね。……はぁ。
返信する
Unknown (g)
2016-07-07 22:28:09
絵本の世界に大事なものができたからそっちを選んだのかもしれないし、現実世界にも大事なものがあるから帰ったのかもしれない。個人的にはいいのかなと思いました。

ファンの考察なんですがプレゼントには魔法がかかっていてあれがチンクルへの差別的な印象を解き(最初の位置がそれ)、好感度を上げるというものがあり、正直私はいくら高価なプレゼントでも一度「こいつヤバい」って印象を抱いたら好感度もくそもなくなるので、納得いく理由かなと思います。それでもおかげでせっかくの女子イベントがしらけることには変わりありませんが。

あと他の人型の人はともかくライアは種族そのものが違い人を馬鹿にできるほど不細工かプレイヤーには判断不可能なのに人のことを馬鹿にできない見た目と言い切ってることが差別的に聞こえ(何度も差別がショックと言って分も相まって)微妙な気持ちになりました。

でもぶっちゃけ不細工でも強く人のために生きていこう自分も愛そうって精神持てたら人生バラ色ですよ。
だからチンクルは常に優しく強くいられるんだと思います。
返信する
Unknown (ota)
2016-07-08 02:22:50
>絵本の世界に大事なものができたからそっちを選んだのかもしれないし
そうですね、この理由なら向こうに残るのも納得できます。恋人や仲間たちだと思いたい。
……犬のその後が心配ですが。彼は現実世界でのチンクルの大切な友人だったはずなので。考えすぎかな……。

>ファンの考察なんですがプレゼントには魔法がかかっていてあれがチンクルへの差別的な印象を解き
おお、そんな考察があるんですか。確かに心底気持ち悪がられてたら、高価だろうと何だろうと受け取ってもらえませんよね。
プレゼントを渡せる状態になった時点で「男」として認識されているとしたら、もうそれで十分かもしれませんね。卑屈すぎか。

>人を馬鹿にできるほど不細工かプレイヤーには判断不可能なのに
異種族であるチンクルが問答無用に顔面偏差値で評価される以上、プレーヤー側がそうするのも当然じゃないでしょうか。
もちろん向こうが「人を見かけだけで判断してはならない」という態度で接してきたなら話は別ですが。
返信する
Unknown (Unknown)
2016-07-08 23:40:38
返信ありがとうございます。


確かにチンクルが顔面偏差値で評価される以上こっちもする義理がありますね。そういう考えはなかったので意外でした。

顔面偏差値でチンクルの顔が任天堂スタッフの顔を元に作られたって話を思い出し、「このゲーム自虐ゲーじゃねぇか」となりそれどころではなくなりましたが。
個性が強すぎて人を選ぶ売れまくるゲームではないし、スタッフ全員(チンクルの顔元になった人を含め)ノリノリで作ったと思いたい。
返信する
Unknown (ota)
2016-07-09 04:09:55
>チンクルの顔が任天堂スタッフの顔を元に作られたって話を思い出し
え、そうなんですか。おお……チンクルはかなり冒険的なキャラですが、制作過程からしてそうだったんですねw

>ノリノリで作ったと思いたい。
チンクルの2本は、DSが大ヒットして任天堂に余裕があったからこそ作れたソフトでしょうね。今じゃまず無理だろうなぁ。
でも、任天堂に余裕が無い今こそこのノリが欲しいような気もします。またこういうソフト見たいもんですね。
返信する
Unknown (Unknown)
2016-09-05 05:24:08
ブログ主卑屈過ぎて笑える
返信する
Unknown (ota)
2016-09-06 01:11:42
笑えばいいと思うよ。
返信する

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