腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

イトル・デューの伝説 ~失われた島と謎の城~

2022年02月13日 00時59分59秒 | Wii Uゲーム感想文
【ハード】Wii U
【メーカー】レイニーフロッグ
【発売日】2015年10月14日
【定価】800円(DL専売)
【購入価格】100円
【プレー時間】9時間


現状、俺が新しいゲームと出会う一番の機会は、DL版のセールである。ゲームが安けりゃ目が行く。人間の本能である。え?
まぁ、俺の本能ではあるのだ。「安いゲームが好き」は、ハードや供給形態が変わりつつも、数十年間変わってない俺の本質だ。
日本には「安物買いの銭失い」という諺がある。しかし今のゲーム業界にこれは当て嵌まらない。全くの的外れとも言わないが。
ゲームの平均的な質が著しく上がり、極端なダメゲーがほぼなくなった。故にどれも「普通に面白い」。平均以上が確定してる。
500円の新作、8000円の新作、1000円のセール旧作、100円のセール旧作、どれも50点以上で、後はプレーヤーの感覚次第。
これでは無理して8000円新作を選ばなくなっても仕方ないと思う。それじゃ業界が衰退する? ……それを言われると痛いな。
まぁ、いいさ。思うところはあるが、ゲームに行き詰まってるわけじゃないんだから。寧ろ日々楽しく遊べてる。ゲー充である。
そんな俺に元に、また一つDLセールゲーがやってきた。その名も「イトル・デューの伝説 ~失われた島と謎の城~」である。

何それ? うむ、俺も買う直前まで知らなかった。レイニーフロッグのWii Uタイトルが全品100円になった際に偶然出会った。
ちなみにSwitch版もあり、そちらは「イトル・デュー」と、何故かサブタイが省かれている。理由不明。ある方がいいと思うが。
んで今作、影も形も知らないが100円だから縁が発生し、取り敢えずググって調べた。そして叫んだ、「ゼルダやないか!」と。
はい。見た目も動画で見る内容も、2Dのゼルダ風謎解きアクションとしか言い様がない。開き直ったレベルのパロゲーだった。
つってもこの手の謎解きアクションは業界の共有財産と言うべきもので、パクどうこうの指摘はナンセンスだ。無論俺もしない。
根本部分はそれとして、枝葉の味付け、謎の難度とセンス、そして総合的な面白さがあればいいのだ。ゲームは中身で勝負よ。
うむ。ともあれ、よろしく。そのうちやるよそのうち。……と思ってたんだけどな。ちと操作ミスで、うっかり起動しちまった。
これは俺ルールでは「始めたゲーム」である。そのまま放置しても構わんが、まぁこれも縁だろう。オッケー、すぐやろう。
てわけで購入後すぐプレーのVIP待遇となったのだった。Wii U、今も普通に使えるねぇ。起動は寧ろ速い方だしさ。
尚、Wii Uゲパの機能は特に使ってない。ゲパ単プレーが可能といういつものやつ止まり。期待してないからいいけどさ。はぁ。

さて、イトルデューの伝説、まずどんなゲームか? ……ゼルダ風と言うと話が終わってしまうのでもう少し詳述する。
主人公イトルデュー(少年と思ったら女でビックリ、尚萌皆無)が謎の島に漂着し、そこから脱出するためにあれこれする、完。
続。最初は木の棒しか持ってないイトルだが、探検するうちに「剣」「ポータルの杖」「氷の杖」というアイテムを入手する。
今作で登場するアイテムはこれだけ。「多彩なアイテムを駆使し~」では全く無い。値段相応に質素な作りになっている。
が、中身が貧相というわけではなく、その3つのアイテムのネタを駆使した謎解き・仕掛けがこれでもかと詰まっている。
なので「ゼルダ風謎解き」を期待してプレーするなら、大いに応えてくれるだろう。見た目と中身が合致していて実にいい。
一方、アクション性は薄い。敵はどっちかつーと仕掛けの一部な感じで、実際敵を利用して解く謎も多い。攻撃も概ね緩い。
何度かボス戦はあるが、それもどっちかつーと「倒し方を見出す謎解き」で、指先の練度はさほど問われない。簡単である。

しかしその分、謎解き面ではかなりガチである。それはゼルダ以上に。「難しい」ではないが、非常にキッチリ作られている。
今作が凄いのは、3つの必須アイテムが必須ではないことだ。……は? 何やねんそれ矛盾してるやろ。うむ俺もそう思う。
というのも、今作のEDを見るには3つ中2つのアイテムがあればいいらしいのだ。「らしい」。そう、俺は後々まで知らんかった。
そらそうだろう、普通にプレーしていれば3つ手に入るし、それを踏まえて頭捻って謎を解いてきたのだ。俺は正常だろう。
確かに「この謎、もうちょっと突き詰めれば氷の杖要らないな」と思うことは何度かあった。でもまさか、全編そうだったとは。
今作は規模の大きいゲームではないが、それでも謎解きという非常にデジタルな部分でこんな作りにするのは相当大変だろう。
それをやってるんだから、非常に考えられた謎解きゲーであるということは自明だ。ガチである。考え抜かれて作られている。
……とは言っても、別に難しくはない。「アイテム2個でも解ける謎を3個で挑戦できる」んだから、寧ろ易しい方かもしれない。
まぁプレーヤー細かいことを考えず、ただ目の前の謎に集中すればいい。実際俺はそうしたし、それで十分楽しめたのだった。

今作がかなりのガチ謎解きゲーだと気付いたのはクリア後のことであり、それまでは淡々とプレーした。まぁ、普通に面白い。
イトルデューにHPはあるが、死んでも即座にその部屋から再開できる親切仕様。もうゲームオーバー画面って過去の産物だよな。
操作をミスった際の「部屋をやり直す」コマンドも当然あり、幾らでも使用可。謎解き以外にプレーヤーが困ることはない。
只管に部屋の謎を解いていく。ちなみに、一応サブ要素として「カード集め」がある。今作に登場するキャラのネタ説明文付き。
これが全30枚ほど各所に置かれていて、メニュー画面から閲覧可能。未入手のカードは「?」になっていて、収集欲を刺激する。
一直線にクリアーを目指すとさすがに簡素過ぎるから、これの収集も楽しむべきだろう。俺ももちろんキッチリ集めていった。
今作の謎は一部屋だけで完結するが、後半になると色々なネタが絡んでゴチャゴチャしてくる。しかしその対策も存在する。
例えば杭に阻まれて進めない場面でその杭を剣で叩くと、光が飛んで「動かすべき仕掛け」を明示してくれるのだ。実に親切。
仕掛けを動かした際の「カチッ」という感覚も良質で、よく分かってる作りだ。独自性はないが濃密な味がある。これでいい。

後は正直書くことがない。数十年間に渡ってゲーム業界に供給され続けた「いつもの」がそこにあった。俺の好物メニューが。
定価でも800円の安価ゲーだからボリュームも望めず、数時間でラスボスに辿り着き、テキトーに苦戦しながら倒した。
ラスボス戦で明かされる今作の全体的なネタはなかなか面白いので、一応あるストーリーを楽しむことも出来るだろう。
100円としては十分に濃密なゲーム時間を堪能できる良質謎解きゲーであった。見た目で判断して正解だった。世の中見た目よな。
この内容だったら最新ハードも要らんしね。……ほんま、こんなのばっかしである。古くても楽しめてしまう。ええんか。
などといつものように形だけ業界を憂えて安価ゲー乞食を続ける俺であった。……が、ちょっと待った。まだ物語は続いていた。
そう、クリア後の要素である。今作も安価枠ながら現代的にそれは存在した。そして……そこで遂に出してきたのだ。本気を。

まぁよくあるエキストラダンジョンである。クリア後に開放されて、そこに多くの「本気の」謎解きが並べられている。
あとカードもクリア前だけでは全部揃わないので、コンプに拘りたいなら頑張るしかない。……けどそれはオマケもおまけだ。
クリア後ダンジョンの謎解き。いやー。凄い。元々有能であろう今作の謎考案担当者が本気を出せば、ここまでになるのか。
もの凄い。裏ダンジョンの謎解きは12個用意されていて、うち2個までは何とかやれた。けど3以上は……マジで凄さに震えた。
「全く解ける気がしない」のだ。紛いなりにもここまでゲームをやってきたのに、解答の糸口さえ掴めない。こんなことって。
今作の謎解きはかなりデジタルで、例えば「敵と接触した反動で1マス越える」といった小賢しいテクニックは一切ない。多分。
解くなら正面から。搦め手がないから、仕掛けを見れば少なくとも「やれるかやれないか」は分かる。……これ、無理でしょう。
けどもちろん、実際は無理じゃない。だから問題として今提示されているのだ。必ず解ける。無論君にも。頑張って!!
……無茶言うなぁああ!! いやこれは無理。正直、立ち向かう気力が早々に折れた。それくらい無理。難しすぎる。無理!!

白旗を上げたなら、ぼくらの最終兵器・Google起動である。マイナーなゲームだけど一応情報はあった。負けながら見てみた。
……うーむ。確かに解法はあったが……これは実際、自力じゃ無理だ。裏ダンの謎解きには、表にない「動」が必要だったのだ。
どういうことか。ここまでの謎解きは、何か行動を起こせば「見ているだけ」でよかった。その後に、次の行動に移れば十分。
しかし裏ダンでは、例えば氷の杖を振って弾を飛ばし、それが着弾する前にダッシュでブロックを動かす……等が必須なのだ。
謎自体の難度が跳ね上がってる上に、今まではほぼ不要だった高度なアクションを必然的に求められる。ああ、これは無理だ。
正直、解答を見てそれをなぞっても「こんなの屁理屈やないか!」と思えるネタが多かった。今作でやっていいことかこれ。
アイテムの仕様にも「こんなこと出来たの?」と思えるものがあり、まぁしつこいようだが、無理だった。素直に認めます。
謎解きゲーで作り手が本気を出すと、プレーヤーは一部を除いて手に負えなくなる。よくあることだが、今作は完全にそれだ。
裏ダンまで自力でやれた人は、プレーヤーの1割もいないだろう。やれる範囲は自力でやった俺でさえ寧ろ偉い方だと思う。
げに恐ろしきは、ゲーム謎解き。解けない時の閉塞感と絶望感は、今までの何十年も俺を苦しめたし、今後も何十年も……嗚呼。

誇りを捨てつつも何とか先に進めた。やれる範囲はやったから、それで頑張ったと認定する。無理なものは無理。現実だもの。
で。裏ダンジョンの果てには、当然裏ボスが待ち受けていた。「超パワーアップした最弱雑魚」という洒落の効いた奴だった。
これがまた強い。表のボスは戦闘自体が謎解きな感じだが、コイツは純粋に動きで殺しに来るアクションゲームのボスだった。
なら。せめてこいつは正面から倒そう。アクションだけなら俺にもやれる。死んでやり直し、練習を重ねる気力があるのなら。
と気合を入れて攻略に臨んだ。……そしたら、3回目くらいであっさり倒せたのだった。その後もう1回倒したし、完勝である。
う、うーむ? まぁこれで少しは無念が晴れたわ。負けたことまでは覆せないが、これにてイトルデューの伝説、クリアー。
カードもクリア後に行けるとこを回っていればコンプできたのでバッチリ。……ふぅ。また一つ、"咎"を背負っちまったな……。

グラフィックは、何気にかなり良い。2Dながらドット絵でなはくアニメ調で、実際アクションも滑らかで気持ちいい。
仕掛けを操作する際の「カチッ」とした感じも良く、「分かってる」と思った。今作のスタッフは皆本当に分かってるわ。
物語は「流れ着いた島を脱出する」だけだが、今作は世界設定が徹底してコミカル調になっていて、そこは割と楽しめる。
敵も初登場時にはいちいちおちゃらけたデモが入り、和ませてくれる。カードの記述を読めばまた少し笑えるだろう。少しだけ。
ちなみにイトルデューには常に一緒に行動する小動物がいて、そいつが謎解きに関して軽いヒントを喋ってくれる。軽くだけ。
ヒントはともかく「今の持ち物じゃこの部屋は解けないよ」という助言は有り難かった。それは教えてくれていいことだからな。
世界設定は緩いながら良かったと思う。……つっても海外製だし翻訳だし、結局は深いとこで「伝わってない」んだけどね……。


ふぅ。値段分以上に楽しめたし、苦しめられた。ゲームは値段でもハードでもない。素晴らしい。……それでええんか、ほんま。
実は今作、続編が存在する。今度はSwitch版のみ。値段は2500円とグッと上がり、当然内容も大幅に増えているんだろう。
……うーむ。もちろん興味はあるが、今作の裏ダン並の「本気」が本編にまで入ってるんじゃないかと思うと、躊躇しちまうな。
謎解きゲーはホント厄介だ。面白いし大好きだけど、怖い。そらそうだ、詰まった時は「打つ手なし」だからな。超デジタル。
考えることはもちろんする。考えて分かるなら必死で考えるさ。けど!! 人の脳には限界がある。分からんものは分からん!!
俺はこれからも謎解きゲーに手を出し、楽しみ、苦しみ、行き詰まり、自分の限界を嘆くのだろう。今までそうしてきたように。
まいい。それもゲーム、いやそれこそがゲーム。比類だらけのゼルダ風謎解きゲームが今後もガンガン出ることを願って終わり。
願うまでもなく、幾らでも出るのは分かってるがな。ここにはゲームの根っこの一つがある。永遠に楽しめる、ゲームの本質が。

……そう、ゲームは楽しいだけでなく、本質的に苦しめられるものでもあるのだ。しんどいからこそ楽しい。嗚呼、人間て複雑。
はぁ。






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