◇OSS◇米レッドハット、08年度第2四半期も増収増益

2007-09-30 19:53:06 | OSS・ニュース
 米レッドハットは08年度第2四半期の業績を発表した。これによると売上高は前年同期比28%増の1億2730万㌦、純利益は前年同期比64%増の1820万㌦と増収増益となった。最近の同社の主な実績は次の通り。①Red Hat Enterprise Linux対応アプリケーションが3000を超えた②CIO Insightの調査において、エンタープライズソフトウエア分野で3年連続の首位③EclipseベースのOSS開発ツールおよびランタイム環境の統合セット「Red Hat Developer Studio」のベータ版をリリース④レガシーなアプリケーションをOSSアーキテクチャーに移行するためのエンタープライズ向けプラットフォーム「JBoss Enterprise Application Platform4.2」をリリース。

 <短評>米レッドハットの業績が増収増益ベースで順調に伸びている。これは今、Linuxを導入する企業が相次いでいることからも裏付けられる。オープンソースという言葉が生まれる前はフリーソフトウエアという言葉しかなかった。この当時はフリーと言う言葉のため、“ソフトがタダ”という間違った印象を与え、経営層からはそっぽを向かれてしまった。その後オープンソースという言葉が生まれ、印象ががらりと変わり、今では大手から中小企業に至るまでオープンソースソフト市場に参入を果たしている。

 このOSS市場の象徴的企業のレッドハットがソフト企業として今後どう成長を遂げるのは、ソフト産業界が大いに注目している。つまり、レッドハットが今後成長すれば、OSS市場に参入する企業が今後加速度的に増えることは確かだ。一方、レッドハットの業績が失速すれば、OSS市場は一過性のみで終わる可能性が高い。この意味から今後ともOSS企業のシンボルとしてのレッドハット業績に注視していかねばならない。

 でも、業績が良いのはいいことではあるが、利益は適切な範囲で上げてもらいたいものだ。経済誌「フォーブス」が発表した世界の長者番付によるとマイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏が13年連続で首位となったという。同氏の資産総額は590億㌦で、過去1年間に60億㌦増加した。これは適切な利益を逸脱している。ワードやエクセルなど、もうとうの昔に開発費の元をとったソフトを高額で売っているのでこのようなことになる。日本ではパソコンを買うとこれらのソフトがバンドルされているケースがほとんどなのでユーザーが気が付かないだけだ。レッドハットだけにはマイクロソフトのようにはなってほしくない。(ossdata)

http://www.jp.redhat.com/news_releases/2007/09252007.html

◇OSS◇読みたい本:「オープンソースの逆襲」(吉田智子著、出版文化社刊)

2007-09-26 21:48:01 | IT・読みたい本
 書籍は、易しく書くと全体像がぼけたり、実像とは違ったものが出来上がったりする。この逆に正確に書くと内容が難しくなったり、無味乾燥になったりする。つまり、易しくしかも正確に書くというのは、簡単そうで難しいのである。オープンソースソフトウエア(OSS)についてもこのことがいえる。OSSの書籍は既に数多く出版されているが、技術的には正確でも理解するのには難しいか、易しく書いてはあるがいまいちピンこない本が圧倒的に多い。そんな不満を解消するのが「オープンソースの逆襲」(吉田智子著、出版文化社刊)である。

 同書の主な読者対象者は「知的好奇心を持っている一般社会人の方」である。しかし、ソフトのプロを自認している人でもOSSの一部分には詳しくても、OSSの全体像をつかんでいる人は意外に少ない。ましてや素人にOSSを簡単に説明できるかというと、自信を持って「説明できる」と答える人はほんのわずかだろう。つまり、この本はソフトのプロが読むと、頭の整理がつくというメリットが得られるはずだ。著者は前書きで「オープンソースの存在なくして、今の情報社会は成り立たない」と述べ、「この本に、その答えはすべて書いてある!」と紹介している。

 つまり、同書はOSSの初心者向けの入門書であると同時に、ソフトのプロがOSSの全体像を把握したいというときに大変有効な書である。同書の中に「オープンソース物語」が数カ所に分けて掲載されているが。これはラーメンの秘伝のスープを題材にして、素人でもOSSとは何かが分かるストーリーとなっている。素人の人にOSSとは何かを聞かれ説明に困ったことがある経験をお持ちの人は、この「オープンソース物語」を基にOSSを説明すれば、「さすがプロ」と尊敬されること請け合いだ。
(ossdata)

http://www.shuppanbunka.com/books/3689/index.html

◇OSS◇米IBMがODF/OpenOffice対応のオフィスソフトを無償提供

2007-09-23 18:09:01 | OSS・アプリ
 米IBMは、文書・表計算・プレゼンテーションの作成・共有に活用できる無償のソフトウエアツール「IBM Lotus Symphony」を発表した。同ソフトはWebサイトからダウンロードできる。Microsoft OfficeやOpen Document Format(ODF)といった複数のファイル形式をサポートしており、コンテンツをPDF形式で出力することもできる。また、同社はこのほどOpenOffice.orgに参加したが、これにより同テクノロジーに基づいて生み出されたソリューションやODFをサポートするアプリケーションが、Lotus Symphony上で活用することができる。

 <短評>オフィスソフト市場でのMicrosoft Office独占体制に、風穴が開きそうな情勢になってきた。グーグルに次いで米IBMが新オフィスソフト「IBM Lotus Symphony」を発表した。同ソフトはWindowsあるいはLinux上で稼働し、無償で提供される。これまでオフィスソフト市場はマイクロソフトのワード、エクセルパワーポイントが市場を独占してきた。これらのオフィスソフトの収益でマイクロソフトはいまだに毎年売上高を上げている。これに対抗できるのがOSSのOpenOfficeだが、商用ソフトとしては、サンが提供している程度で、対抗馬としての存在感に欠けていた。

 そこに登場したのがグーグルで、無償でオフィスソフトを提供し始めた。これは無償化することによってグーグルのホームページのアクセス数を増やし、広告収入の増加を図ろうという狙いがある。これに対しIBMのLotus Symphonyは同じ無償ではあるが、あくまで同社のグループウエアLotus Notesのユーザー数の増加を狙ったものだ。いずれにしてもこれによって完全にマイクロソフトの独占体制が崩れ去ることになる。

 IBMのLotus Symphonyで注目されるのがISO標準ファイル形式「ODF(Open Documen Format)」をサポートしている点。これに対してマイクロソフトはECMA標準ファイル形式「OpenXML」をサポートしている(現在マイクロソフトはOpenXMLのISO認証に向け活発に活動している)。米IBMは今回の発表の1週間前、OSSの国際組織のOpenOffice.orgに参加したことを正式に発表した。これにより今後IBMはLotus NotesとOpenOfficeの普及に向け動き出すことになる。これはOpenOfficeの普及にとってはまたとないチャンスが到来したということができよう。(ossdata)

http://www-06.ibm.com/jp/press/20070919001.html

◇OSS◇「第6回北東アジアOSS推進フォーラム」が開催

2007-09-19 21:51:43 | OSS・ニュース
 「第6回北東アジアOSS推進フォーラム」が9月12-13日の2日間、韓国ソウル市において開催され、日本、中国、韓国の産業界、研究機関、大学、政府関係者など約250人の参加があった。2日間の討議の結論として「日中韓の協力関係とその精神は、フォーラム開始以来、着実に強化されてきており、価値のある成果を実現し始めている」ことなどを明らかにした。今回の主な成果は次ぎのとおり。①サーバー管理ツール「OpenDRIM 2008 suite」を08年にリリースする②Linuxカーネル互換性テストツール「Crackerjack」を今後世界的なコミュニティに発展させる③OSSシステムのセキュリティ機能を使いやすくする共同プロジェクトを開始する④OSSデスクトップがもたらす利益をユーザーに理解させる方法についてのタスクホースを設置する⑤07年12月までに「東北アジアOSS人材育成に関する報告書」を公表する⑥OSSの特別貢献賞を設置⑦「ウェッブの相互運用性の問題に関する報告書」を07年中に公開する。

 <短評>「東北アジアOSS推進フォーラム」も第6回を迎え活動も軌道に乗ってきているように見える。これまで日中韓のスタート以来の参加国のみであったが、ようやく最近ヴェトナムの参加があり、さらに参加国が増える状況にある。参加国が増えれば発言力に重みが付き、Asianuxの普及が見込め、万々歳のように感じられるが、同時にいくつかの問題点も垣間見えてくる。

 その1つは、LinuxはサーバーOSとしては既に普及し始めており、国レベルが乗り出すべき時期かどうか疑問だ。つまりディストリビューター(ベンダー)に任せておけばよいのであって、Linuxサーバー市場だけについて言えば国が乗り出す時期は既に過ぎているとはいえまいか。Asianux構想はそれなりにいいのだが、Linuxのディストリビューターが1社増えたに過ぎず、ユーザーが混乱を起しかねない。

 もう1つはOSSデスクトップ、すなわちLinuxPCである。こちらはLinuxサーバーと丁度逆で、いま普及のメドさえ立っておらず、メーカーは本格的な取り組みには腰が引けている。LinuxPCこそ同フォーラムが今全力を挙げなければならないのに、さっぱり具体策が見えてこない。日本では栃木県二宮町やソフト企業のアシストのようにWindowsPCを止め、LinuxPCに切り替えたケースもで始めており、導入時の問題点についての報告書もまとめられている。すぐにでも必要なソフトを開発して配布するとか、LinuxPCを導入可能な企業や自治体を募る、あるいは導入に際し補助金の交付などの具体的な策を講じなければならない。しかし、今からタスクホースを設け、皆で考えましょうではいただけない。国レベルで行うとどうしてこうも“小田原評定”みたいなことになるのか。報告書を作成することばかりにエネルギーと時間を費やし、報告書が出たあとは何もしないでは、最初から何もしないことと大差がない。

 同フォーラムのことだけを考えるとOSSは上手くいっているかのような“錯覚”に陥りやすいが、今、マイクロソフト、グーグル、IBMの3社は死闘を繰り広げており、この結果いかんではOSS陣営にも大きな影響を与えずにはおかない。マイクロソフトはこのほどECの独占禁止法違反の判決を不服として、欧州第1審裁判所に申し立てていたが、退けられてしまった。マイクロソフトとしてはかなりのピンチだ。そこでマイクロソフトは今度はOpenXMLのISO化に向けて全力を投入してくる。そしてISO化に成功すれば、「Microsoft Officeはオープンなソフトであることが認められた」と大キャンペーンを張るに違いない。OpenOffice.orgの知名度は低い。この時点でOpenOffice.orgは押さえ込まれて、永久に日の目を見ることができなるかもしれない。一方、グーグル、IBMはというと、独自のオフィスソフトを無料で提供を開始した。無料ということはユーザー獲得の最も有力な手段だ。マイクロソフトを駆逐するどころか、OSSも敗北を喫するかもしれない。ソフト市場はあす何が起きてもおかしくない“一寸先は闇”の世界だ。(ossdata)

http://www.ipa.go.jp/about/press/20070914.html



◇OSS◇米マイクロソフトと米ノベルが共同でインターオペラビリティラボを開設

2007-09-16 18:50:26 | OSS・ニュース
 米マイクロソフトと米ノベルは、昨秋の提携合意を受け、このほどインターオペラビリティラボを開設した。同ラボではMicrosoft Windows ServerとSISE Linux Enterpriseが、より良く協調できるような新しいソフトウエアソリューションを構築・検証する。最初の最優先課題は、マイクロソフトとノベル間の仮想化技術の相互運用性を確保すること。その他の課題は、標準に基づくシステム管理、アイデンティティ・フェデレーション、オフィス文書フォーマットの互換性などが挙げられている。なお、ノベル・マイクロソフト連合に、今回独BMWと独シーメンスが参加したことも明らかにした。

 <短評>いよいよマイクロソフトとノベルのWindows・Linux連携プロジェクトが始動した。当初マイクロソフトはLinuxに対して敵対関係にあることをキャンペーンなどを行うことで明らかにしてきた。特にLinuxがOSSであることを衝く戦略を取った。すなわちOSSのLinuxは著作権違反を行っていると。しかし暫くすると、この戦略が有効でないことにマイクロソフトは気づく。これは、少し前の話だが、オラクルがとった戦略とまったく一緒だ。

 オラクルは当初、OSSのPostgreSQLやMySQLのコードをしらみつぶしに調べ、著作権違反で摘発しようとした。ところが結局何も出て来ず、諦め、今度は逆にOSS企業を買収しOSS市場に参入を果たした。マイクロソフトも同じで、当初Linux潰しのキャンペーンや違法性をマスコミを通じ訴えた。しかし、この戦略の無意味さをマイクロソフトは認識し、一転してノベルとの提携に踏み切り、今回のインターオペラビリティラボの開設に漕ぎ着けた。つまり効果のないキャンペーンを張るよりは、ノベルを取り込んだほうが得策だと読んだわけだ。一方、ノベルとしては、現状ではレッドハットとの差は開くばかりで、その対策に苦慮していた。そして“敵の敵は味方”という論理でマイクロソフトと提携に至った。

 マイクロソフトとノベルの提携事業がスタートしたことによって、世界のLinux市場は3つの大きなディストリビューションが並列に存在する情勢となってきた。このまま行くと世界のLinux市場は①レッドハット+オラクル②ノベル+マイクロソフト③Asianux(日+中+韓)の3大勢力に分断されそうだ。このことはUNIX市場が①サン②HP③IBMに分裂したことに非常によく似ている。ベンダー側は自社のシェアー拡大が至上命令であろうが、ユーザーからしてみればベンダーの囲い込み戦略に取り込まれる恐れがある。今後各社のの動きに注目する必要があろう。(ossdata)

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3187

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3183

◇OSS◇IPAが「OSS技術教育のためのモデルカリキュラムに関する調査」を発表

2007-09-12 21:24:52 | OSS・ニュース
 情報処理推進機構(IPA)はこのほど、「OSS技術教育のためのモデルカリキュラムに関する調査」をまとめ発表した。現在、実践的なOSS技術の習得は、個々の技術者の好奇心・探究心などの個人の努力に負っているのが現状となっている。そこで今回IPAでは、技術系学生に対するOSS技術の基礎教育および現役のシステムエンジニアなどに対するOSS技術の補完教育を行うためのモデルカリキュラムを提言し、OSS技術者をの育成を促進することにしたもの。

 <短評>今回の調査結果によると、回答企業の70%が自社向け情報システムにおいて、何らかの利用区分でOSSを利用している。また、OSSを利用している企業のシステムの70%がOSSを利用していないという。しかし、電子メール、広報、Web、電子会議・掲示板・スケジュール管理など社内外の情報共有・発信の関するものではOSS利用が進んでいるという。いずれにしても、今後徐々に企業の基幹システムにOSSが使われていくことは明白である。そうなると、OSS技術者は欠かせない存在となってくるわけだが、今のところどうOSS技術者を育成すればいいのか、暗中模索のじょうたいにある。その意味から今回の調査結果発表は貴重なものになる。(ossdata)

http://www.ipa.go.jp/software/open/ossc/seika_0605.html

◇OSS◇ベトナムがAsianuxコンンソーシアムに参加し4カ国体制になる

2007-09-09 17:12:03 | OSS・ニュース
 べトナムのベトソフトウェア社がAsianuxコンンソーシアムに参加した。これによって同コンンソーシアムの参加国は4か国となった。また、今年中にあと1カ国が参加する予定。さらに来年には2カ国の参加が見込まれている。

 <短評>日、中、韓の3国によりAsianuxコンンソーシアム発足して初めて新たな1カ国が参加することになった。ある意味では同コンンソーシアムが実質的にスタートとなったということができる。ただ、今回のニュースリリースに「4-CO(4つの共同)すなわち共同開発、共同ブランド、共同ブランド、共同サポート、共同マーケティングというAsianuxのビジネスモデルは他に例がなく、Asianuxコンンソーシアムはレッドハットやノベルなど他のLinuxベンダーと一を画している」と書かれているのが気にかかる。もし、この通りに進むとアジアには複数のデストリビューションが並立することになり、Linuxの互換性が保たれないことが考えられる。むしろ、Asianuxコンンソーシアムがレッドハットとノベルに呼びかけて、ディストリビューション間の相違をなるべく、最小限になるよう努力すべきではないか。(ossdata)

http://www.miraclelinux.com/corp/pressroom/details/2007/0905_1.html

◇OSS◇読みたい本:「IT投資で伸びる会社、沈む会社」(平野雅章著)

2007-09-05 20:25:42 | IT・読みたい本
 IT投資という言葉は何か麻薬的な響きがする。IT投資に反対でもしようものなら、村八分に遭いかねない。せいぜい「IT投資の必要性は重々承知しているが、いま予算のメドがつかない来年まで待ってほしい」といって逃げるしかない。何故「IT投資したからといって利益が出る保障はないのだから止めておこう」と本音をいうトップや幹部がいないのか。本音を言わないから意味のないIT投資がはびこる。ある中堅企業では顧客管理をコンピューターを導入せず、手書きの顧客管理で行い、売上げを向上させている。この会社では、顧客ごとの用紙に手書きで顧客の情報を書く。後でその筆跡によってより正確に顧客の情報を把握できるのだという。太い字で「信用できる会社だ」と書いてあれば安心。心細い字で「多分大丈夫」と書いてあれば要注意だ。筆跡が重要な情報を与える。

 9月3日放送のNHKスペシャルで国際間のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の事例が紹介されていた。日本のある企業の総務部門を中国のアウトソーシング企業に委託し、この結果、日本のその企業の総務部門の要員は実質的に首。当初、ベテランの総務部員は中国人に日本語や日本の習慣は分かるはずないとたかをくくっていた。ところが、見事はずれ中国人は日本語はおろか日本の総務の業務をマスターし、今中国でITを駆使し中国人がその会社の総務部門の業務が行っている。これから日本のホワイトカラーのルーチンワークはみな、中国とインドに持っていかれるかもしれない。

 もうルーチンワークにいくらIT投資をしても賃金が安い中国、インドと競争にならず、みんな持っていかれる。これからの日本は、いかに企業という組織にITを融合させ成果を出すことができるのかに方向転換させねばならない。もうできている企業は必要ないが、もしそうでなければ、この「IT投資で伸びる会社、沈む会社」を読んで勉強をしたほうがいい。このことは今後の日本のソフト企業の将来を大きく左右する問題だ。
(ossdata)

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4532313287.html

◇OSS◇日本オラクルが「Oracle Unbreakable Linux」9月1日開始

2007-09-02 19:44:16 | IT・展望
 日本オラクルは、Red Hat Enterprise Linux4/5およびそれぞれのOracle製Red Hat互換版Linuxのサポート・プログラム「Oracle Unbreakable Linux」を07年9月1日から提供を開始した。これによりオラクル製品のユーザーは、OSからDB、ミドルウエア、アプリケーションまで、ワンストップで日本オラクルやパートナー企業各社からサポート・プログラムの提供を受けることができるようになった。これにより安定稼働が求められる大規模な基幹システムでLinux環境の利用が可能となる。

 <短評>これまでいろいろ憶測を呼んでいた「Oracle Unbreakable Linux」がスタートとなった。なぜ、注目されたかというと、対象OSがレッドハットにターゲットを絞り込んだサポートサービス事業からである。通常ならLinuxOS全般に対してサポートサービス事業を行うとすればなんら問題はない。ところがLinuxOSでダントツのシェアを誇るレッドハットに絞ったところが波紋を呼んだ。丁度一昔前のメーンフレームのIBM互換機事業みたいな感じだ。つまりレッドハットがメーンフレーム時代のIBMの役割を担っているという図式だ。レッドハット自身は自社のサポートサービス事業の市場を食い荒らされるというデメリットがある反面、レッドハットがLinuxOS市場で第1位というお墨付きを得たほかに、今後のディストリビュータ間のシェア争いで優位に立つことができるというメリットがある。いずれにしても、今回のような展開はOSS市場では今後度々表面化することになろう。(ossdata)

http://www.oracle.co.jp/news/