今、企業システムを構築する際に、OSS(オープンソースソフトウエア)導入の機運が急速に盛り上がってきているが、この中でもオールオープンソース環境である「LAMP」に注目が集まっている。LAMPとはLinux、Apache、MySQL、PHPの頭文字を取ったもので、すべてオープンソース環境で構築しようとするものである。LAMP採用のメリットは初期投資の低減化と柔軟なシステム構築、それに短期間でのシステムの立ち上げなどが挙げられる。現在は、昔のように開発に長い時間をかけていたのでは、企業間競争に負けてしまう。さらに、現在、企業を取り巻く環境の変化が一段と激しくなってきており、システムもこれに合わせる必要性が高まりつつある。そして、初期投資額を最小限に抑えられることが求められている。これらの要件を満たす環境を考えた場合、LAMPが最適な選択であるという認識が広がり始めた。これに対応して、LAMPシステム構築のための支援事業に乗り出す企業が出現し始めており、この流れはさらに拡大する事が予想される。ここでは現在、既にLAMP事業に乗り出している独立系企業を紹介する。
シーイーシー、オープンソース・ジャパン(OSJ)、ゼンド・ジャパンの3社は、LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)の企業向けソリューションで提携した。3社はシーイーシーのOSSサポート&アップデートサービス「OpusCore」に、ゼンドの高速化・管理・高可用性PHPソリューション「Zend Platform」を新たなメニューとして加え、OSSソリューションを強化し、この環境をPCサーバーにプリインストールした「Linuxスタートパックwith Zend Platform 」も提供する。今後、シーイーシー、OSJ、ゼンドは今回の提携に基づき、LAMP環境を対象に、「OpusCore」の販売やLAMPソリューションを提供し、営業・マーケティング・技術検証・サポートに共同で取り組むことにしている。
エクスブリッジ(名古屋市名東区藤が丘130、小嶋篤社長)は、LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)技術を駆使して、マイグレーション費用を無料で(07年末までキャンペーン中に限る)、オフコンからオープンソース系に移行させるサービスを開始した。長年オフコンで稼働してきたシステムの面倒を見る技術者を確保するのが困難になりつつある(2007年問題)一方、オフコンでできる事務処理のほとんどは安価なPCサーバーでも処理可能となってきた。そこで、同社では①LAMP技術をベースとすることにより、開発・導入コストを低減させる②中国のIT企業に開発を委託することでコスト削減を行う③LAMPの技術ノウハウにより高い生産性で開発が可能とする―サービスを開始したもの。
野村総合研究所(NRI)は、LAMPなどOSS(オープンソースソフトウエア)を組み合わせたシステム基盤構築のためのエンタープライズ・オープンソース基盤「OpenStandia」の関連事業の拡大に次のように取り組んでいる。①OSSをパッケージ化=大規模システムでも短期間で導入できる2つのパッケージを用意②システム障害ごとの修正パッチ提供と長期間保守=緊急度の高い障害に素早く対応するため、システム障害ごとに修正パッチを提供し、保守サービス提供期間を最長7年とする③パートナー企業を増やしてサービスを拡充=7月から「OpenStandia」の導入支援体制と保守サポートサービスを拡充する。NRIではこれらにより「OpenStandia」を50社に導入を目指す。
ソフトエージェンシーでは、「エンタープライズLAMPホスティング」と「LAMPパッケージ」の2つのLAMP事業に力を入れている。「エンタープライズLAMPホスティングサービス」は、LAMP環境を事前構築してあり、1台から10台まで、規模に合わせて自由に選べる柔軟性の高いプランを用意してある。初期投資を抑え、システム拡張に柔軟に対応することができる。また「LAMPパッケージ」は、独自にLAMPによる理想的な日本語対応のWebシステム環境を構築する際の時間とコストを大幅に削減できるもの。この「LAMPパッケージ」は、OSS開発にかかわる同社の専任スタッフによるもので、安定したLAMP環境が構築できる。 (ossdata)