マイクロソフトは、来年早々にも新OS「ビスタ」と「オフィス2007」の発売を予定している。「ビスタ」は現在のWindowsXPからの大幅なバージョンアップとなる模様。このためプリンターなど周辺装置の接続に問題が発生しそうである。また、オフィスも現状の機能を大幅に拡張し、情報共有や分析、管理などの機能を追加しているという。これらの機能の強化は誰のために行うのであろうか。ワード1つ取っても全機能を使っているユーザーはほんの一握りだ。大部分のユーザーはワードの全機能のせいぜい5-10%の機能しか使っていない。そんな状況で大幅な機能強化をするといわれても一般のユーザーは面食らうばかりだ。機能強化はもういいから、安いソフトを提供してほしいというのが多くのユーザーの本音だろう。
もともと、WindowsはIBMの委託を受けたマイクロソフト(IBMは本来デジタルリサーチ社に委託の予定だったが、訪問時社長が不在のため急遽マイクロソフトに変更になったと伝えられている)が開発したが、当時UNIXのウインドウ画面を盗用したとして訴訟騒ぎも起きている。つまり、ウインドウズの元祖はUNIXの画面で、これをマイクロソフトが真似したのに過ぎないのである。今のパソコンにはマイクロソフト製のウインドウズとオフィスがバンドルされているため、ユーザーはあまり値段のことを意識
しないが、これらを別に買うとウインドウズXP2万6800円、オフィス5万9600円で合計すると8万6400円(ビックカメラによる)になる。パソコンにバンドルされた場合は値引きはされていると思うが、実に高価だ。これなら、ビル・ゲイツ氏が長者番付1位になるはずだ。ウインドウズは開発されてから長い年月がたち、もう十分に開発費用は回収したのだから、この辺で大幅な値下げをするのが当然だが、事実はこの逆で機能強化の分だけ値上げをしてきた。こうなると、OSS(オープンソースソフトウエア)のLinux陣営に頑張ってもらって、低価格で安定したLinuxPCの普及に期待するしかないという結論になる。
では、LinuxPCは現実に使える状況にあるのか。例えばターボリナックスの「Turbolinux FUJI」などが既に提供されている。このほどターボリナックスは、富士通FMVシリーズや東芝Dynabookのパソコンの最新モデルにインストールできる「Turbolinux FUJIサービスパック」の提供を開始した。「Turbolinux FUJI」はWindowsとの互換性を高めつつ、Linuxの特徴である優れた安全性、安定性、強力なネットワーク機能を継承した最強のハイブリッドOSで、スムーズなLinuxの導入をバックアップする。最先端の日本語環境を備えた、日本発の標準デスクトップLinuxである。今回、このWindows互換機能を持った「TurbolinuxFUJI」が富士通と東芝のパソコンの最新機種に対応可能になったことは、今後LinuxPC普及の意味から大きな意義がある。
LinuxPCの導入も徐々にではあるが進展している。例えば最近の例では、京都府京田辺市の学校教育現場におけるOSS(オープンソースソフトウエア)デスクトップ環境を活用するための実証実験において、TurbilinuxFUJIが採用された。この実証実験は、京田辺市の小・中学校3校において実施され、約650人の児童生徒が算数、社会、総合学習の時間にOSSデスクトップを活用した学習を行い、統合オフィスツール「StarSuite」をはじめ、画像処理ソフト、Webブラウザ、デジタルカメラなどの操作などを検証。LinuxPCの導入はまだ、学校や自治体が中心であるが、今後一般の企業でも一部に導入するところが出てくると、あっという間に多くの企業に広まる可能性がある。その日が徐々に近づいて来ているように思われる。 (ossdata)