◇OSS◇読みたい本:「IT投資で伸びる会社、沈む会社」(平野雅章著)

2007-09-05 20:25:42 | IT・読みたい本
 IT投資という言葉は何か麻薬的な響きがする。IT投資に反対でもしようものなら、村八分に遭いかねない。せいぜい「IT投資の必要性は重々承知しているが、いま予算のメドがつかない来年まで待ってほしい」といって逃げるしかない。何故「IT投資したからといって利益が出る保障はないのだから止めておこう」と本音をいうトップや幹部がいないのか。本音を言わないから意味のないIT投資がはびこる。ある中堅企業では顧客管理をコンピューターを導入せず、手書きの顧客管理で行い、売上げを向上させている。この会社では、顧客ごとの用紙に手書きで顧客の情報を書く。後でその筆跡によってより正確に顧客の情報を把握できるのだという。太い字で「信用できる会社だ」と書いてあれば安心。心細い字で「多分大丈夫」と書いてあれば要注意だ。筆跡が重要な情報を与える。

 9月3日放送のNHKスペシャルで国際間のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の事例が紹介されていた。日本のある企業の総務部門を中国のアウトソーシング企業に委託し、この結果、日本のその企業の総務部門の要員は実質的に首。当初、ベテランの総務部員は中国人に日本語や日本の習慣は分かるはずないとたかをくくっていた。ところが、見事はずれ中国人は日本語はおろか日本の総務の業務をマスターし、今中国でITを駆使し中国人がその会社の総務部門の業務が行っている。これから日本のホワイトカラーのルーチンワークはみな、中国とインドに持っていかれるかもしれない。

 もうルーチンワークにいくらIT投資をしても賃金が安い中国、インドと競争にならず、みんな持っていかれる。これからの日本は、いかに企業という組織にITを融合させ成果を出すことができるのかに方向転換させねばならない。もうできている企業は必要ないが、もしそうでなければ、この「IT投資で伸びる会社、沈む会社」を読んで勉強をしたほうがいい。このことは今後の日本のソフト企業の将来を大きく左右する問題だ。
(ossdata)

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4532313287.html