◇OSS◇住友電気工業がOSS対応の仮想化ソフト「Xen」を導入

2007-06-29 21:49:34 | OSS・ミドル
 住友電気工業は仮想化ソフト「Xen」を統合したしたノベルのSUSE Linux Enterprise Serverを導入した。これにより有用性の高いプラットフォームのライフサイクルを延長するとともに、リソース利用の効率化によってハードウエアの追加投資を最小化し、効率的なディザスタリカバリ拠点の構築を行ってた。

 <短評>これからの企業システムのポイントの1つは仮想化であることは間違いはない。これはメインフレーム時代が終わり、分散化が本格化した結果、企業内に複数のOSが散在し統合化が困難になったこと。また、サーバー数の増大により追加のコストを最小限に抑える必要になったことなどが挙げられる。仮想化ソフトでトップシェアを持つのが米ヴイエムウエア社のVMwareであるが、最近OSS対応の仮想化ソフト「Xen」の人気が高まっている。原因はOSSであるため1ベンダーの囲い込みを受けないことと、新技術のサポートの速さなどのため。今回、住友電気工業は、同じOSS同士のLinuxとXenの組み合わせを選択した。同社はいち早くLinuxを社内システムに全面的に採用したOSSの先進ユーザーであるが、今後、この組み合わせを選択するユーザーは増えると思われる。(ossdata)

http://www.novell.com/ja-jp/JP/news/press/4f4f53cb96fb5de5xen306b3088308b4eee60f3531630ce30eb309263a17528

◇OSS◇IT読みたい本:「ウェブが資本主義を超える」(池田信夫著・日経BP社刊)

2007-06-27 21:33:40 | IT・読みたい本
 著者の池田信夫氏のブログには、1日3万ページビュー/1万5000ユーザーのアクセスがあるそうだ。なんとも凄い数だが、著者自ら「これは立派なメディアだ」と言うのにも納得だ。書名の「ウェブは資本主義を超える」というのも凄い。ついにWebは資本主義の一歩先を行く?著者が言いたかったのは「集権型から分権型へという方向は今後も変わらない、不可逆だ」ということ。Web2.0で誰でもが情報を発信できる時代が到来した。同時にWeb2.0の機能を使えば誰でも商売が可能となる。
 
 今までは企業という枠の中だけでしか動けなかった個人が、努力に少しばかりの才能さえあれば企業なんていらない時代に突入しつつあるのが現在の姿だ。なるほど古典的資本主義時代は終焉の時を迎えつつあるのかもしれない。本書と同時に読んでほしい本がある。それは「働かないで年収5160万円稼ぐ方法」(川島和正著、アスコム刊)である。書名を見るといかがわしい本のように見えるが内容はそうでもない。つまりアクセス数の多いサイトを立ち上げれば、働かなくても年収5160万円が得られるという理論だ。理論上はこのことが成り立つのが今の恐さだ。ただ、ITスキルがあることと、魅力あるコンテンツを有していることが条件となる。

 これまでは停年を迎えれば多くの人は、それまで会社で蓄積してきたノウハウは墓場まで持っていくしかなかった。ところがこれからの時代は、例えば流通業で長年働いてきた人なら、自分のサイトを立ち上げ、流通業のノウハウを公開すればよい。学生や流通業に勤める若い人たちがアクセスしてくるので、アフィリエイトで広告収入を得ることができる。ウェブが資本主義を超えるかどうかは別にして、Web2.0の機能を使いこなすことによって個人が企業だけに依存しなければならない時代は去りつつあるのではないか。

 在職中に自分のサイトを立ち上げておき、停年退職翌日から連載を開始すれば、停年退職後の生活は惨めだなんてありはしない。何故ならば自分のサイトに毎日見に来てくれる人たちがいるからだ。会社勤めで上役の目ばかり気にするより、定年退職後に自分のサイトの主宰者になった方が、よほど生きがいがある。数年後にはアクセス数の多いサイトを運営している老人が若者から尊敬を集めるかもしれない。特別なノウハウがなくてもあきらめるのは早い。サラリーマン生活での経験を載せるだけでも若者の生き方の参考になる。サラリーマンを停年まで勤め上げたこと自体が大変なノウハウだからだ。

 それにしても「働かなくても年収5160万円稼ぐ方法」とは、いささかの胡散臭さはぬぐい切れない。
(ossdata)

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4822245969.html

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4776204177.html

◇OSS◇OSS専門企業2社がOSSトレーニングコースで提携

2007-06-24 19:35:49 | OSS・ニュース
 オープンソース・ソリューション・テクノロジ(小田切耕司社長)とオープンドリーム(荒谷浩二社長)は、Linuxトラブルシューティング・トレーニングコースやSamba、OpenLDAPなどのOSS技術習得コースを共同で開催するなど、教育事業で提携した。

 <短評>OSSの本格的普及時代を迎え、企業がOSSを導入するケースが増えてきたが、企業側にOSSの技術的な面での蓄積が少ないのが現状だ。そこで2社ではLinuxやSambaについてのトレーニングコースを開設したもの。2社は最近OSSの専門企業として設立されたもので、この意味からもOSSの普及が本格化していることが裏づけられる。なお、本格的OSS専門企業の大手として多くの実績を持つオープンソース・ジャパン(OSJ)は、このほどPCIホールディングスグループに参画し、一層の事業拡大に乗り出すこととなった(http://www.opensource.co.jp/item/241)。(ossdata)

http://www.osstech.co.jp/pr/2007-06-06

◇OSS◇日本OSS推進フォーラムがOSSデスクトップ普及の阻害要因をまとめる

2007-06-22 21:50:46 | OSS・ニュース
 日本OSS推進フォーラムは「OSSデスクトップ普及を阻害する要因の分析と解決に向けた取組みの提案」をまとめ発表した。今回提案をまとめるに当たりアンケートを実施したが、デスクトップ環境全般の阻害要因のランキングは次の通りとなった。①日本語化未対応②教育機関の不在③操作性の悪さ④情報量の少なさ⑤外字問題⑥アプリ起動⑦アクセシビリティ⑧音声認識。

 <短評>OSSの代表的なOS「Linux」は、サーバーへの普及は順調に進んでおり、このまま行くとUNIXを追い抜き、Windowsと並びサーバーの2大OSの一つになることが確実視されている。一方、Linuxのパソコンへの搭載はというと今のところ暗中模索といったところ。最近ようやくLinuxPCの一括導入の事例が出始めてきたところで、自治体では栃木県二宮町、企業ではソフト企業のアシストなどだ。しかし、LinuxPCの普及にはまだまだ多くの壁がある。その一つにWindowsとの互換性がある。具体的には①オフィス文書データの非互換②文字コード/日本語入出力③IE依存Webコンテンツ④日本語化未対応⑤フォントの非互換などだ。
(ossdata)

http://www.ipa.go.jp/software/open/forum/desktop_sub/task_identification_survey_report.pdf

◇OSS◇IPAのOSS事業で、わが国初のオープンソースERPを開発

2007-06-20 22:05:27 | OSS・アプリ
 情報処理推進機構(IPA)は、このほど「06年度オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業成果一覧」を発表した。内容は、「調査」が「GNU一般公衆利用許諾書バージョン3のディスカッション・ドラフトおよび解説の翻訳」など4件、「開発」が「オープンソースERPシステムの開発」など8件の合計12件となっている。

 <短評>IPAはわが国のOSS事業の中心的役割を果たしており、その活動はわが国のOSS事業の今後を大きく左右する。06年度の活動の中では「オープンソースERPシステムの開発」が注目される。同プロジェクトの目的は、個々の中小企業の要求に応じた、柔軟で自由なカスタマイズが行え、短期間で相対的に低いコストでの導入が可能なERPシステムを開発することである。開発後のスケジュールはKN情報システムがASPとなり、同システムを地元中小企業向けにサービスを開始する。また、同プロジェクトの開発メンバーを中心に開発コミュニティを立ち上げる。つまり、開発するだけではなく販売、サービス・サポートも行うOSS事業を立ち上げることになっている。現在、オープンソースERPはCompirerやNetSuiteなど米国のソフト会社製のみだったが、今回国産初のオープンソースERPが誕生し事業化に向け動き出すことになる。6月20日にマイクロソフトは日本市場でERP製品の正式発表を行った。ERP製品の市場での競業がますます激しくなる。(ossdata)

http://www.ipa.go.jp/software/open/ossc/seika.html

◇OSS◇ソリトンシステムズがWebメール/グループウエアソフト「Scalix」の販売代理店に

2007-06-17 18:35:42 | OSS・アプリ
 日本スケーリックスはWebメール/グループウエアソフト「Scalix1」の販売代理店契約をソリトンシステムズと行った。今回の販売代理店契約の締結により、日本スケーリックスにとって、ソリトンの実績と提案力によってエンタープライズメールマーケットでの販売およびサポートを強化できる。今後1年間で10サイトの大規模システム構築を目指す。

 <短評>米スケーリックス社が開発するScalixはLinux上で動作するメール/グループウエアソフトで、Ajaxをフル活用し、Exchangeのリプレース可能である。前身となるHP OpenMailから数えて10年以上の歴史となるという。SOHOなど小規模サイトから数千ユーザーの大規模サイトまで実績を持っている。特徴はSOHOから数万ユーザーまで拡張性に優れていることと、日本版SOX法の施行で需要増が期待される全文保存機能が標準でサポートされていることなど。特にScalixが注目されるのが“コマーシャルOSS”に基づいていること。コマーシャルOSSは無償というメリットに加え、さらにサポートを付け加えていることで、OSSとクローズソフトの双方の長所を合わせ持ったソフト。今回、上場を果たしたばかりの、力のあるソリトンが販売代理店に加わったことは日本におけるScalixの普及に大きな意味を持つ。Exchangeからの置き換えはどう展開するかもみどころ。
(ossdata)

http://www.scalix.co.jp/news/news-20070427.html

◇OSS◇OSJと管理システムが国土交通省釜房ダム管理所のWebサイトをフルOSSで構築

2007-06-15 21:40:35 | OSS・アプリ
 オープンソース・ジャパン(OSJ、角田好志社長)と山形県のSI企業の管理システム(今野修社長)は、OSJの技術支援の下、管理システムが国土交通省東北地方整備局釜房ダム管理所のWebサイトをフルOSSで構築した。これはサイト編集機能にZope/Ploneを活用し、公開サイトは静的なHTML出力により、セキュリティ強化とリソースの最適化を実現したもの。両社は今回の実績を基に公共団体などのポータルサイト構築事業を推進し、今後1年間で5件のシステム構築を目指すことにしている。

 <短評>Zopeはオブジェクト指向のインタプリタ言語Pythonで書かれたOSSのWebアプリケーション・サーバーソフトのことで、Pythonが動作する環境ならどこでも動作し、利用環境の構築が簡単にできる。一方、PloneはZopeとその関連プロダクトであるコンテンツ管理フレームワーク上に構築されたコンテンツ管理システム(CMS)のことである。安倍首相の公式サイトはPloneで構築されているそうだ。OSS事業を推進するOSJは、これまでにも地方のSIerと提携しOSSによるシステムを構築してきたが、今回はZope/PloneによってOSSのシステム構築実績をまた一歩前進させた。ポータルサイト構築のニーズは今後ますます需要が拡大するだけに、Zope/Ploneの組み合わせが活躍する場所が増えそうだ。
(ossdata)

http://www.opensource.co.jp/item/238

◇OSS◇ケアブレインがOSS「SugarCRM」のオンデマンドサービスを開始

2007-06-13 21:33:33 | OSS・アプリ
 ケアブレインはOSSのCRMソフト「SugarCRM」のオンデマンド(ASP)サービスを開始した。同サービスによってユーザーは、ハードウエアやソフトウエアを用意することなく、「Sugar Professional」を堅牢なシステム環境で、しかも合理的な価格で利用できるようになる。

 <短評>OSSのアプリケーションソフト「SugarCRM」は、無償版の「Sugar Open Souce」のダウンロード数が全世界で300万件を数え、有償版の顧客数も1200社を超えているという。OSSのアプリケーションソフトとしてはかなりのユーザー数を誇っている。この「SugarCRM」が成功すると今後OSSのアプリケーションソフト市場が急速に拡大することが予想される。その意味で「SugarCRM」の今後の展開は注目されるが、今回はオンデマンド(ASP)サービスの提供が開始された。オンデマンド型によるソフトの提供は最近注目度が高い。例えば、郵政民営化によって今年10月に発足する郵便局㈱がセールス・フォース・ドットコム製のオンデマンド型CRMソフトを採用することが大々的に報道され、関心を集めたことはまだ記憶に新しい。オンデマンド型にすると導入のための期間が短くて済む上、初期投資も少なくて済む。一方ではセキュリティに対して疑問を投げかける向きもある。いずれにせよ、世の中の動きはオンデマンド型へと流れて行っているのは確かなことなので、今回の「SugarCRM」のオンデマンドサービスも検討の余地は十分にあろう。(ossdata)

http://www.sugarforum.jp/press/news/200705141.shtml

◇OSS◇CECが入手したその日からOSSが使える「OSP基本パッケージ」の配布開始

2007-06-10 20:19:55 | OSS・ニュース
 コンピュータ教育開発センター(CEC)は、入手したその日からOSSが使えるCD-ROM「OSP基本パッケージ」の配布を開始した。小・中・高校生を対象にしたもので、CD起動Linux(KNOPPIX)を利用しており、インストールや設定なしで使用できる。LinuxやOSSを初めて触れる人でも安心して利用できるよう、多数のマニュアルを同梱してある。

 <短評>CECは学校におけるコンピューター利用促進のための基盤技術を研究開発し、普及啓発を目的としている。このCECではOSSベースのIT環境を学校教育にも導入し、マルチプラットフォームの学校教育現場への普及を促進することを目的に「OSP(Open School Platform)プロジェクト」を推進している。「OSP基本パッケージ」は平成18年度の実証実験から得られた成果により作成されたもの。初心者にもOSSが使いこなせるよう配慮されている点が注目される。このようなソフトなら、学校だけではなく、広く一般企業や自治体などでも利用できるようにすれば、日本全体のOSS普及の速度が早まると思うのであるが、いかがなものであろうか。(ossdata)

http://www.cec.or.jp/e2e/osp/h18kihonPkg.html

◇OSS◇デルがLPI-Japanに参加し“Linux=Dell”を市場に定着図る

2007-06-08 18:45:37 | OSS・ニュース
 Linux技術者認定機関であるLPI‐Japanは、デルが「LPI‐Japanシステム開発企業ビジネスパートナー制度」に参加したと発表した。同制度はLinuxを扱っているシステム開発企業やSI企業、ソフトウエアベンダー企業を対象にしており、既にNTTデータなど5社が参加している。07年度内には約40社の参加を見込んでいる。

 <短評>デルは現在、エンタープライズLinuxビジネス強化のため「Linux on Dell:新しいデファクトスタンダード」というスローガンを掲げている。これは①サービス/サポート②セキュリティ③ソリューション―という3つの側面をベースとして“Linux=Dell”を市場に定着させようとするもの。今回LPI‐Japanに参加したのもこの流れの一環となる。デルはLinux事業に本気で取り組んでいることが分かる。この背景にはデル自体の成長の鈍化がある。デルはこれまでWindowsをベースとして流通を通さず、直販というPC事業では他社が手を付けてこなかったビジネスモデルで成功を収めた。ところが最近になり他社もPCの直販に乗り出し、この結果デルの独占状態ではなくなってきた。これがデルの業績にブレーキを掛け始めている原因である。そこでデルが打ち出した新戦略がエンタープライズLinuxビジネスだ。多分今、エンタープライズLinuxビジネスに参入すれば業界No1になれると踏んだのだろう。つまりこれまでWindows搭載サーバーを売ってきたユーザーの数%をLinuxに移行させさえすれば勝てると判断したということだ。「Linux on Dell」が市場に浸透するのもそう遠い話でもなさそうだ。(ossdata)

http://www.lpi.or.jp/pressrelease/20070528.shtml