◇OSS◇読みたい本:「オープンソースの逆襲」(吉田智子著、出版文化社刊)

2007-09-26 21:48:01 | IT・読みたい本
 書籍は、易しく書くと全体像がぼけたり、実像とは違ったものが出来上がったりする。この逆に正確に書くと内容が難しくなったり、無味乾燥になったりする。つまり、易しくしかも正確に書くというのは、簡単そうで難しいのである。オープンソースソフトウエア(OSS)についてもこのことがいえる。OSSの書籍は既に数多く出版されているが、技術的には正確でも理解するのには難しいか、易しく書いてはあるがいまいちピンこない本が圧倒的に多い。そんな不満を解消するのが「オープンソースの逆襲」(吉田智子著、出版文化社刊)である。

 同書の主な読者対象者は「知的好奇心を持っている一般社会人の方」である。しかし、ソフトのプロを自認している人でもOSSの一部分には詳しくても、OSSの全体像をつかんでいる人は意外に少ない。ましてや素人にOSSを簡単に説明できるかというと、自信を持って「説明できる」と答える人はほんのわずかだろう。つまり、この本はソフトのプロが読むと、頭の整理がつくというメリットが得られるはずだ。著者は前書きで「オープンソースの存在なくして、今の情報社会は成り立たない」と述べ、「この本に、その答えはすべて書いてある!」と紹介している。

 つまり、同書はOSSの初心者向けの入門書であると同時に、ソフトのプロがOSSの全体像を把握したいというときに大変有効な書である。同書の中に「オープンソース物語」が数カ所に分けて掲載されているが。これはラーメンの秘伝のスープを題材にして、素人でもOSSとは何かが分かるストーリーとなっている。素人の人にOSSとは何かを聞かれ説明に困ったことがある経験をお持ちの人は、この「オープンソース物語」を基にOSSを説明すれば、「さすがプロ」と尊敬されること請け合いだ。
(ossdata)

http://www.shuppanbunka.com/books/3689/index.html