日本オラクルとデルは両社が掲げるエンタープライズ戦略を融合し、ソフトウエア製品を中心としたITシステムの構築を包括的に推進することを発表した。これは、デルの「スケーラブル・エンタープライズ戦略」と日本オラクルの「グリッド・コンピューティング戦略」を両社共通のエンタープライズ戦略として融合することが基盤となるもの。この中で両社はこれまでのエンタープライズLinuxに関するパートナーシップをさらに強化することになり、デルは「Oracle Enterprise Linux」を同社の顧客に提供することになった。
<短評>通常、2社での業務提携の発表は、華々しい割には具体性に欠け、悪く言えばマスコミに材料を提供し、書いてもらえば得、といったケースが多い。いわば、芸能人が何か騒動を起してマスコミに書かれれば、良い悪いは別にしてPRになるのと同じである。ところが、今回の日本オラクルとデルの業務協定は、いろいろな点から注目される発表だ。特にエンタープライズLinuxについては興味深い展開となりそうだ。一つはこれから伸びる中堅中小市場に強みを持つデルとの関係を強化できれば、中堅中小市場に弱い日本オラクルとしては願ってもないことだ。また、デルにしてみれば「Oracle Enterprise Linux」をかつぐことによって企業の基幹システムに入り込みやすくなる。ここで、オラクルが推進す「Unbreakable Linuxプロジェクト」の今後が大いに注目される。同プロジェクトはRed Hat Linuxのサポート・サービスを、レッドハット社の提示額の半分で引き受けるというもの。オラクルがレッドハットを持ち上げたことによってレッドハットの一人勝ちは決まったといってもよい。問題はサポートサービス料の半額化である。いくらOSSの世界だからといってもレッドハットとしては面白い話ではない。次のレッドハットの一手が見ものだ。(ossdata)
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