織内将男の山旅の記録

若かりし頃よりの山旅の記録です・・!!

丹沢:「丹沢山」(前編)

2008年07月25日 | 表丹沢:丹沢山
「山」に関する過去の雑記、メモを整理しながらブログに投稿しております。
お茶など出ませんが、同じ趣味、興味のある方は立寄って御覧ください。
現在と比較しながら眺めるのも一興でしょう・・。



丹沢山塊:「丹沢山」(前編)


山行日――――昭和44年11月2日~3日
ルート――――ヤビツ峠⇒表尾根⇒塔ノ岳⇒丹沢山⇒塔ノ岳⇒大倉尾根⇒大倉
同行者―――単独
天候―――――曇のち雨



小生が始めて「丹沢山塊」へ足を踏み入れたのは昭和40年初頭の頃で、未だ20代の頃であった。
始めの頃は、東丹沢の低山を徘徊していたが、次第に「大山」や表尾根の「塔が岳」等にも入るようになった。
しかし、広大な丹沢山域の内、中央帯の核心部、や西丹沢には未だ到ってはいなかった。そして、初めて核心部の丹沢山や蛭ケ岳を目指そうと思ったのは昭和44年(1969年)の11月になってからのことあった。


今回の山行予定は、表尾根から塔が岳、丹沢山、蛭が岳、焼山から裏丹沢の青野原へ到るルートで、所謂、「丹沢主脈ルート」と言われるコースである。
丹沢の登山としては初めて小屋泊まりをする事になるのであるが、この山塊も山小屋は比較的充実していて、特に表尾根コースは各ピークに小屋が存在し、皮肉っぽく「小屋ヶ尾根」などと呼ばれるほどである。

今回は小屋泊まりでも自炊が目的であるため、しかも単独行ということもあって日帰り登山とは異なり装備も当然膨らんでしまった。それに、もう一つの目的は、近々の来シーズン、北アルプス・穂高の「涸沢」辺りでキャンプ登山をするためのトレーニングも兼ねていたである。

装備用のザックといえば、今は西洋型というか・・、縦長の軽量合成繊繊のものが主流のようであるが、当時は綿作りの黄色いゴワゴワした、両サイドに大きなポケットを備えた幅広の物であった。
因みに、これは「キスリング」といってキャンバス製の大型ザックで、発案者であるスイスの登山用具製造業者「キスリング」氏の名前に由来しているという。
厚い木綿のキャンバス地はそれ自体に防水性があるが、さらに防水性を高めるために熱したワックスを溶かして塗布することも時には行われたという。 
駅の改札を通るときに横幅が広すぎて引っかかるので、体を横にしながら改札を通り抜けていたことから、かつてはキスリングを背負って山に出かけるわれ等若者たちは「カニ族」とも呼ばれた。
今ではめったに使っている人を見ることがない。

1980年前後頃アメリカでは、「トレッキング」(trekking)という山歩きが流行していた。トレッキングとは・・、登頂を目指すことを主な目的としている登山に対し、特に山頂にはこだわらず山の中を歩くことを目的としている言葉である。
トレッキングの装備はバックパッキングといって、ナイロン製の縦型バックで、その形状がいかにも斬新だったといわれる。
この姿が、固くて重いコットンキャンバス製のキスリングスタイルのリュックサックが一般的だった当時の日本人登山家を大いに驚かせたといい、その後、この様なナイロン製のバックパックが導入され、次第に普及していって現在に到ったと言われる・・。


その大型のキスリング・スタイルで表尾根を行く・・。
ヤビツ峠から二の塔、三の塔までは順調な登りであったが、烏尾山から行者ヶ岳を経て新大日岳に至るまではアップダウンも激しくなり、山の様子も一変する。
ヒヤリとする岩場もあり、鎖場も現れ、重量のキスリングの影響もあって相当の疲労を感じている。そして木ノ又大日からの最後の詰めは標高差約100mの登りで塔ノ岳山頂(標高1,490m)へ達する。

本日、11月2日は日曜、次の3日は祝日でもあり、山は紅葉の時期の真っ盛りであり、山々の広葉樹は真っ赤とまではいかないが、黄色や褐色に染まっている。
こんな時期でもあろう・・、登山路は大勢の登山客で大賑わいである・・。
塔ノ岳山頂は、数回来てお馴染みであるが、余りの人の多さにビックリである。
平坦な山頂からは広大な展望が楽しめるはずだが、上空は遥か霞がかかっているようで余り眺望は望めなかった、それに、人の多さも手伝って早々に山頂を後にした・・。

尊仏山荘の脇から「丹沢山」への道は始まが、ゆっくり歩いても塔ノ岳から丹沢山へは片道1時間強であろうか・・?。
塔ノ岳山頂からは下り一方の道が暫く続くが、降りきったころにあるのが「日高」(ひったか)というところで、やや湿地帯とも云うべき所に木道なども敷かれてあった。

ここからは竜が馬場までフラット&アップダウンの道が続く。
この付近は山奥のため既に紅葉も終わったのであろうか・・、風によって木々がサラサラと葉を落としているのが何とも風情を感じるのである。
ほぼ中間地てあろうか、竜が馬場のベンチでしばし休憩とする。周辺はブナの巨木やシロヤシオツツジの樹林が取り囲み、気持ちの良いところである。
笹尾根ともいうべき、笹の茂った登山道を上り下りを繰り返すうちに、どうやら「丹沢山」の山頂に到着したようである。

後編に続きます・・、「丹沢山頂で難渋・・、」