古稀背包客放浪記

古稀バックパッカーの東南アジア見て歩る記

成都の博師

2009-12-03 01:35:01 | 日記
その25 還暦背包族(bei bao zu)ベイバオズ

2009年11月23日(月)

先日、優秀な技術を持った博師のことを書いたが、今日も素晴らしい二人の博師に遭遇した。博師とは中国人民が尊敬の念をこめて呼ぶ公共バスの運転手のことであるが、その博師の機転の利いた行動と、気位の尚い行動を記しておこう。

最初の出来事は宿から市北西部の茶店子汽車站へ向かうバスで起こった。
朝のラッシュアワーにはまだ少し間が有る7時30分頃に酷い渋滞に巻き込まれた。ノロノロと走っていたが、あと一つで終点の所でバスは完全に止ってしまった。しかし歩けばまだ結構有るので暫らくはそのままバスに乗っていた。

5分ぐらい経った時に車掌が降りていって近くの店の人に何か聞いてきた。博師に大声で報告したら、急にエンジンをかけて直ぐ横のやっと車が通れる路地へ突っ込んでいった。
明らかに通常の走行路線ではない狭い道を進む。上手い具合に対向車はなく少し広い道路に出て左折した。その道もバスがやっと通れるぐらいの幅しかない商店街の道だ。軒先を掠めながらバスは進む。商店街の人々は怪訝そうな顔でバスを見ている。やっぱり普通はバスの走っていない道に違いない。対向車をバックさせたり、路地に突っ込ませたりしながら堂々と進む。時々車掌が降りて近くの人に道を聞いている。

かなりの迂回だ。却って遠のいている気さえする。距離で500m位の所が茶店子汽車站なのだが今はかなり遠のくような気がする方向へ走っている。
新しく出来たような道に出た。もう10分ぐらい走ったが一向に近づく気配が無い。どうも方向が違う。それにかなり遠くまで来ている気がする。本当に終点まで連れて行ってくれるのだろうか。

乗客の誰も何も言わない。みんなニコニコして長引いただライブを楽しんでいる風だ。まあ急ぐ旅でもないのでどうなるか最後まで乗って結論を見ようと決める。
そして、15分位走りやっと方向を転じて目的の汽車站のある大道を戻る。かなり行き過ぎてから戻ってきている。博師の判断は正しかったのだ。博師は得意げに鼻歌でも歌っているように機嫌よくスピードを出す。
迂回してから20分くらい掛かり終点に到着した。10人くらいの乗客はみんなニコニコだ。
呆然としているのは還暦の背包族のおじさんだけだ。
バスは何処を如何走っても良いのだ。何の問題も無い。

しかし、あの渋滞は完全に解消しているに違いない。

恐るべし 迂回の達人 博師

二つ目の出来事は茶店子汽車站で乗り継いだバスで起こった。
定刻の8時30分に発車した郊外へ行くそのバスは、バス停で乗客を拾いながら順調に進んでいた。五つ目ぐらいのバス停を過ぎたとき、突然、バスは反対車線を走り出した。
道路は二車線で対向車も走っているのに、バスは反対車線を100m位走って止った。対向車はバスの右側を通り抜けていく。中国は右側通行なのだが、バスは左側車線に進行方向を反対にして止った。

博師が窓を開けて露天のおばちゃんに何か大声で叫んでいる。
すると、大きな鉄板でお好み焼きのような物を作り、出来立てのホカホカの状態のそれをビニール袋に入れて持ってきた。代金を払っているようだ。
そして何事も無かったようにエンジンを架けまた走り出した。その間ほんの四五分だ。
パンをかじりながら運転している。

反対車線を走る事は何の問題も無い。ましてや停留場でも無い所に私用で止めても何の問題も無い。乗客が居ても問題は無い。
パンをかじりながら運転することも何の問題も無い。

恐るべし パンかじり 博師
コメント
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