うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

書評 ~ 「ドラッカーと会計の話をしよう」

2011年02月08日 | 書評
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「ドラッカーと会計の話をしよう」   林 總 著





ここ最近 ドラッカーの大ブームである。
経営、マネジメントの神様としてあがめられるP.F.ドラッカーであるが、彼の著書、関連書が売れまくっている。

ドラッカーはもう約50年前に、現代の経営手法を確立し、さまざまな経営者、企業がその理論を実践していることで有名だ。
日本経済が今遅れをとりつつあるのは、『ドラッカーの手法をよく知らないからだ!』
などと言う解説者もいるくらいである。

その火付け役は 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 
(近々NHKでドラマ化されるらしい)
であるが、この話題の本 ワタクシはまだ読んでません。



この本は「ドラマ仕立て」である。

脱サラをして小さなイタリアンレストランを始めたものの、経営不振に悩む 主人公 『純一』。
航空会社の手違いで ラッキーにも「ファーストクラス」に乗ることになる。

そこで隣に乗り合わせたのが、大手スーパーチェーンを一代で築き上げた 『西園寺』。


ロサンゼルスにつくまでの約10時間。
この機内で 西園寺が純一に 『ドラッカーの経営理論を説く』というストーリー。



・【会計】こそ【最古の情報システム】であり、あらゆる意味で陳腐化している。
・【事業年度】【期間利益】という考え方が会社を潰す。
・ そもそも【利益】などと言うものはあまり意味がない。


西園寺が語る『ドラッカーの言葉』は 元銀行マンで 会計を知り尽くしている純一に衝撃を与える。



・業績の90%が 業績上位の10%からもたらされる、 のに対し
 コストの90%は 業績をもたらさない90% から発生する。

・【新たな価値】 だけが【新たなキャッシュフロー】を生む。
 【明日の主力商品】を見据えて、どの商品にコストをかけるべきかを判断する。


さらに続ける西園寺の言葉は 純一が「自分の理想」だけでやってきたレストラン経営が
いかに間違ったものであったかを痛感させる。

・儲からないメニュー構成にワインリスト
・無駄を省くことだけに執着したコスト管理
・未来を見据えず、ただ期間決算だけに固執した経営

  などなど・・・


そして

・誰のための夢なのか・・・、何のために始めたレストランなのか

それをあらためて思い出した純一は、2年後見事レストランの再建に成功する。




とても面白い読み物だった。

ドラッカーの言葉は その言葉だけでは「ピンとこない」ものが多いのだが
(実際原文は 難解ですぐ眠くなります)
このようにシュチエーションに当てはめると、「あぁ、なるほどなぁ」と感心させられる。

お勧めです。
ドラマを観ているようだけど、ドラッカーの理論が解っちゃう。
池上さんのニュース解説のような本でした。

エクセレント!