「エリーどうする。ここまでの経費を請求して、この件は手を引こうか」
エリーは黙ったまま視線をそらした。その姿を見て、道明寺が口を挟む。
「組長にも佐々木にも、もうすでに貴方達は排除すべき敵と認識されている。おとなしく同じ船に乗ってもらいましょう」
道明寺がいつの間にか自分のために注いだ酒を飲むために天井を見上げる。
「そもそも、あんたサンシローを取り返してどうしようっていうんだ」
ミツオも酒をあおる。
「山岡に捨てられた復讐。いやがらせ。それだけ」
吐き捨てるように道明寺が言った直後、店の扉が開いた。
そこにはロングコートの男が立っていた。一番奥の席に座っていた老人がすたすたと入れ違いで出て行く。すれ違いざまにコートの男が老人の上着に紙幣を押し込んだ。
「佐々木さん。今のお客さんは……」
「いろんな人間に盗聴を依頼している」
道明寺は言葉を失う。
エリーは黙ったまま視線をそらした。その姿を見て、道明寺が口を挟む。
「組長にも佐々木にも、もうすでに貴方達は排除すべき敵と認識されている。おとなしく同じ船に乗ってもらいましょう」
道明寺がいつの間にか自分のために注いだ酒を飲むために天井を見上げる。
「そもそも、あんたサンシローを取り返してどうしようっていうんだ」
ミツオも酒をあおる。
「山岡に捨てられた復讐。いやがらせ。それだけ」
吐き捨てるように道明寺が言った直後、店の扉が開いた。
そこにはロングコートの男が立っていた。一番奥の席に座っていた老人がすたすたと入れ違いで出て行く。すれ違いざまにコートの男が老人の上着に紙幣を押し込んだ。
「佐々木さん。今のお客さんは……」
「いろんな人間に盗聴を依頼している」
道明寺は言葉を失う。
「前の店で、山岡が飲みに来たのがきっかけ。私のことを気に入った組長と親しくなった。山岡は野心家で新規事業を始めようとしていた」
道明寺は一気に話した後、背後の酒棚から取り出したタバコに火を点けた。大きく吐き出した煙と共に話を続けた。
「長く生きたペットが亡くなる悲しさを緩和しようと考えた山岡は人造ペットを作ろうとしていた。外観を再現する。なおかつ、生前の記憶もインストールしようとしていた。そのために必要なある生体部品がどうしても入手できないことに気づいた山岡は略奪、裏工作あらゆる非合法なことに手を出すことを辞さなかった。そうしてできあがったのが、サンシロー」
ミツオは手近にある酒を勝手に飲みながら道明寺の話を聞いていた。「サンシローにデータを入れたのはあなたなの」
エリーは非難する語気で道明寺に問いかける。
「私には証拠をつかむことなんてできない。あなた達、山岡の右腕とまだ遭遇していないの?いつもコートを着込んだ、ライフルの達人、佐々木」
道明寺は一気に話した後、背後の酒棚から取り出したタバコに火を点けた。大きく吐き出した煙と共に話を続けた。
「長く生きたペットが亡くなる悲しさを緩和しようと考えた山岡は人造ペットを作ろうとしていた。外観を再現する。なおかつ、生前の記憶もインストールしようとしていた。そのために必要なある生体部品がどうしても入手できないことに気づいた山岡は略奪、裏工作あらゆる非合法なことに手を出すことを辞さなかった。そうしてできあがったのが、サンシロー」
ミツオは手近にある酒を勝手に飲みながら道明寺の話を聞いていた。「サンシローにデータを入れたのはあなたなの」
エリーは非難する語気で道明寺に問いかける。
「私には証拠をつかむことなんてできない。あなた達、山岡の右腕とまだ遭遇していないの?いつもコートを着込んだ、ライフルの達人、佐々木」
「今からそちらに行く」
エリーはミツオからの指示で車を道明寺の働くバーに向けた。
その建物は奇妙な雑居ビルだった。 一見、骨組みだけの建物に見えた。テナントの中が丸見えなのだ。
人々がひしめきあっているのが外から確認できる。
エリーとミツオは地下へと続く階段へ足を向ける。地下は、地上と同じ構造で、やはり中は丸見えだ。ドアを開けるまでもなく、カウンターの中でグラスを拭く道明寺と目が合った。ミツオはドアを肩で押し開け、細長い店内を進む。客は一番奥まったテーブルに老人が一人だけいた。グラスの酒を凝視して動かない。
「治療中のサンシローをこの目で見たぞ。あの処置は、生体記憶体だな」
ミツオは道明寺に食ってかかるようにせき立てた。
「サンシローはただの猫じゃない。半分機械で、半分は人工有機物。よく出来ているでしょう」
道明寺はしれっとミツオに説明する。
「よほど大事なものをサンシローに記憶させているな。山岡興業へのゆすりのネタか?」
ミツオはここにくるまでに想像したことを道明寺にぶつけた。
エリーはミツオからの指示で車を道明寺の働くバーに向けた。
その建物は奇妙な雑居ビルだった。 一見、骨組みだけの建物に見えた。テナントの中が丸見えなのだ。
人々がひしめきあっているのが外から確認できる。
エリーとミツオは地下へと続く階段へ足を向ける。地下は、地上と同じ構造で、やはり中は丸見えだ。ドアを開けるまでもなく、カウンターの中でグラスを拭く道明寺と目が合った。ミツオはドアを肩で押し開け、細長い店内を進む。客は一番奥まったテーブルに老人が一人だけいた。グラスの酒を凝視して動かない。
「治療中のサンシローをこの目で見たぞ。あの処置は、生体記憶体だな」
ミツオは道明寺に食ってかかるようにせき立てた。
「サンシローはただの猫じゃない。半分機械で、半分は人工有機物。よく出来ているでしょう」
道明寺はしれっとミツオに説明する。
「よほど大事なものをサンシローに記憶させているな。山岡興業へのゆすりのネタか?」
ミツオはここにくるまでに想像したことを道明寺にぶつけた。