「それでも人は幸せ」
とあるカフェのテラス席に、ゆったりした服装の男が座っていた。
男が私服に着替えるのはひさしぶりだった。
男はいつも特殊なスーツを身にまとって仕事をしている。
女性二人が、男のいるテラス席にやってきた。
笑い合っている。
「そうなんだ」と言いながら男の膝に座った。
男はやれやれと思いながら黙って席を立つ。彼女達には男の姿は見えない。
誰もいない席に座り直して、男はジャケットのポケットから端末を取り出す。新しいファイルが、届いていた。
アウト?セーフ?
内容はわからない。
アウトかセーフかの決断をせまられる。
男は伏し目がちな瞳を画面にむける。
カーソルを「アウト」にあわせて、ボタンを押した。
小学二年生のまもる君は、ポップコーンを真上に放り投げて、口でキャッチしようとしていた。
ポップコーンは、まもる君のほっぺたに当たって床に落ちた。
「うわー、ざんねん」
男は自分の決定でおこった現象は知らない。
アウトかセーフかを選択しただけだ。
男の服装はいつのまにか、胸元がおおきくはだけた、法衣になっていた。
髪型はくるくる巻き毛のパンチパーマ。
口元にはかすかなほほえみをうかべている。
アルカイック・スマイルと呼ぶものだ。
アウト、セーフ、アウト、セーフ。
端末の画面はめまぐるしくかわる。
男の職業は仏(ほとけ)
しかもやとわれ仏。
一人の仏が下した決断は、もう一人の仏に送られ、また送られる。
結局、世の中は運まかせ。
とあるカフェのテラス席に、ゆったりした服装の男が座っていた。
男が私服に着替えるのはひさしぶりだった。
男はいつも特殊なスーツを身にまとって仕事をしている。
女性二人が、男のいるテラス席にやってきた。
笑い合っている。
「そうなんだ」と言いながら男の膝に座った。
男はやれやれと思いながら黙って席を立つ。彼女達には男の姿は見えない。
誰もいない席に座り直して、男はジャケットのポケットから端末を取り出す。新しいファイルが、届いていた。
アウト?セーフ?
内容はわからない。
アウトかセーフかの決断をせまられる。
男は伏し目がちな瞳を画面にむける。
カーソルを「アウト」にあわせて、ボタンを押した。
小学二年生のまもる君は、ポップコーンを真上に放り投げて、口でキャッチしようとしていた。
ポップコーンは、まもる君のほっぺたに当たって床に落ちた。
「うわー、ざんねん」
男は自分の決定でおこった現象は知らない。
アウトかセーフかを選択しただけだ。
男の服装はいつのまにか、胸元がおおきくはだけた、法衣になっていた。
髪型はくるくる巻き毛のパンチパーマ。
口元にはかすかなほほえみをうかべている。
アルカイック・スマイルと呼ぶものだ。
アウト、セーフ、アウト、セーフ。
端末の画面はめまぐるしくかわる。
男の職業は仏(ほとけ)
しかもやとわれ仏。
一人の仏が下した決断は、もう一人の仏に送られ、また送られる。
結局、世の中は運まかせ。
本日の幼少の頃、記憶の奥底の思い出。
好きだったテレビ番組。
外国の料理番組。
料理をつくる外人さんの軽快な吹き替えによるトーク。
「ちょっと失礼して一杯いただきます」的にワインをやたら飲んでいたような。
会場のお客さんがいつも大爆笑。
面白かった記憶がよみがえる。
ひょっとして僕だけ?