遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

別れのない別れ

2006-05-31 08:27:51 | エンゼルケア
お亡くなりになったのは、85歳のお爺ちゃん。

実は昨日もこちらのお宅にお邪魔し、お婆ちゃんの湯灌をしました。
湯灌中、お爺ちゃんはベッドに横たわり、起きてくることはありませんでした。

私は「寝たきりで体調が悪いのかな?」くらいに思っていましたが、ご遺族の方の話によると、いつもは元気なお爺ちゃんでお婆ちゃんが亡くなったことがショックで起き上がれなくなっているそうです。

お婆ちゃんの着付とお化粧がおわり、納棺前に最後のお別れをしていただこうとお爺ちゃんに声をかけましたが、起きてお婆ちゃんの側に来ることはありませんでした。
結局、お爺ちゃんにお別れをしていただくことはできず、お婆ちゃんを柩に納めました。


お爺ちゃんはお婆ちゃんの納棺から5時間後に息をひきとられたそうです。お婆ちゃんとお別れすることなく、一緒に旅立って行ったのでしょう。
ご遺族の皆様にとっては大変だったと思いますが、お爺ちゃんとお婆ちゃんの夫婦愛に私は感動しました。
天国でも仲良くお幸せに。







遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

大切なものって何だろう。

2006-05-30 09:01:06 | 自殺 遺体処置
故人様は60歳の男性。
死因は定年退職日翌日の首吊り自殺。

それまで一生懸命働き、家族を養ってきたそうです。
息子さんも娘さんも社会人になり、昨日までは奥さまと二人で水入らずで生活してきたそうです。

しかし、定年を境に離婚することが決まっていたそうで最後の出社をした日の夜中に自ら命を断ったそうです。


若輩の私には理解できない様々な問題や想いがあるのでしょうが、長年、家族を支えるために働いてこられた故人様が、なぜ、死を選ばなければならなかったのか。

これは私の憶測ですが、男の人は家庭を省みず、仕事一筋になるときがあるのかもしれません。地位や名誉、経済環境の向上を望んで頑張りすぎてしまうのかもしれません。
しかし、「働くために生きている」のではなく、「生きるために働く」のではないでしょうか。
順番を取り違えてしまうと、もしかしたら大切なものを失ってしまうのかもしれません。






遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

死後処置

2006-05-29 08:58:43 | エンゼルケア
都内某所・・・

今から急いで来てほしい・・と葬儀社さんから連絡があり、ご葬家に急いで向かいました。

病院からご自宅に戻ってきた故人様は、死後2時間とのことでした。
シーツに包まれていましたが、死臭とは違う臭いが部屋中にしました。
シーツを捲ると・・
お顔は穏やかながらシーツは血まみれでした。
病院から退院してきたのになぜなんだろうか??
ご遺族の方々も出血や臭いを気にされていたので、機材の搬入前に処置に入りました。

出血原因は点滴の後でした。こうなることは病院でもわかるはずなのに、どうして最低限の死後処置が施されていなかったのだろうか・・・
また、下のほうもでてしまっていて太ももやお尻も汚れていました。
アルコール綿花でお尻と太ももをきれいに拭きとり、出血している腕も止血しました。
お部屋の窓を開け、消臭剤を散布したら臭いも消え、いつもどおり、ご家族立会いの下、湯灌を執り行いました。

臭いや汚れを落としたことで安心されたようで、ご遺族には大変喜んでいただけました。


しかし、病院の死後処置がしっかり施されていたら ここまでのことにはならなかったでしょう。
故人様のためにもご遺族様のためにも最期までケアをしていただきたいなと思いました。 







遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

激臭の遺体搬送

2006-05-28 08:40:15 | 遺体搬送
今日は茜さんがお休みのため、代筆?させていただきます。
担当は香です。



今日は社内で待機になり、備品の消毒や整理などをしていた。
そこに一本の電話があり、「これから搬送できる?」との問い合わせ。

社内にいたのは、事務員さんと社長、私だけであった。
男性スタッフが出払っていたため、お断りするのかな?と思ったら・・・

社長が出動するとのこと。
しかもアシスタントが必要とのことで私が借り出された。
「なぜ、遺体搬送に女性が??」と心の中でつぶやいた。

搬送車に乗り込み、社長と現場に向かった。
向かう先は、某県某警察署。

故人様は、ある沼で2週間(推定)発見されなかったとのことで、損傷が激しいということを社長から聞いた。
「それで私が借り出されたのか~。・・・ということは私が処置をしなければならないのか?」と不安もあったが、「社長が一緒なので何とかなる」と安心感(他人事)もあった。

警察署に到着し、合流した葬儀社さんの担当者の案内の下、霊安室へ・・・

霊安室といって案内された場所は、警察の建物の裏にあるゴミ捨て場?と思えるような小屋でした。(10畳ほど)

入口は鉄扉で気温の高い中、完全密閉されていた。もちろん、エアコンもついていない。

刑事さんの案内で入口まで連れて行かれたが、「お嬢さんは中に入らないほうがいい」と刑事さんに言われ、社長だけ中に通された。

鉄扉を開くと・・・
!?
ものすごい激臭!!!

私は、その臭いで倒れそうになった。
また、葬儀社さんは瞬時に小屋から逃げ、刑事さんも小屋から離れた。
社長一人、霊安室に入り、鉄扉は閉じられた。(悲惨な社長)

・・・社長が遺体の損傷具合を確認し、身体は2~3倍に膨れ上がって緑色になっているとのことで、納帯袋に入れることになった。
刑事さんと社長と私、3人で納帯袋に納め、そのまま柩に納棺。

柩の中に、消臭剤・ドライアイスを入れ、臭いが外に洩れないようにテープで蓋を留めた。

遺体を積んだ車の中は、柩を完全密閉しているに臭いが治まらず、社長も私も無口のまま指定された場所まで1時間ほどのドライブをした。

今でも忘れられない遺体搬送デビューとなった。






遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

先輩との雑談

2006-05-27 09:08:25 | 湯灌の儀式
・・・業務に向かう車中、「自分が死んだら湯灌をやってほしいか?」という話になった。

先輩は「私はやってほしくない」と即答。

私も「やってほしくないかな~・・・」と思った。

それは何故か?


私たちの仕事は、お通夜の前にすることが多く、ご家族以外に近所の方や喪主様の会社関係者など故人と面識のないかたまで湯灌に立ち会われることが多い。
お肌が見えないように湯灌・お着替えをさせていただいてるが、それでも恥ずかしさはある。
一番理想なのは、一緒に住んでいた方だけの立会いが望ましいかもしれない。

先輩との話では「自分はやってほしくないけど、家族にはやってあげたい」ということで決着しましたが、自分が死んだときに「湯灌をやってほしいな~」と思えるようにお仕事をしていきたいし、お亡くなりになるすべての人たちに受け入れられるサービスにしたいと思った。





遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

こんなことがあるなんて・・・

2006-05-26 09:10:35 | 遺体処置
個人が特定できるのでは・・・とのご指摘をいただきましたのでリアルタイムなブログは控えようと思います。


それは、ある日の午前中。
・・某葬儀社さんから『これから直ぐ来れる?』とのことで 私たちは急いで葬儀会館に向かいました。
ご遺体の損傷が激しいのだろうか???

到着し、葬儀社さんの担当者より『湯灌と納棺が終わったら直ぐに移動だから』と・・・
ご遺体に損傷はなく、病院でなくなり死後1時間とのこと。
私たちは急いで準備に入りました。


故人様のお身体は、死後1時間ということもあり、あたたかく、亡くなっているようには見えませんでした。
お顔も安らかで処置に入るのに抵抗がありました。

しかし、そのときです。

「あれっ?えっ??・・・」故人様が動いたように見えたのです。

直ぐに先輩を呼び、確認したところ・・・

確かに呼吸もしていて生きています。

先輩は直ぐに葬儀社さんを呼びに行き、担当者さんに来ていただきました。担当者さんもビックリした様子で病院と連絡を取り合った後、病院に搬送していきました。

結局、その日の夕方、息を引き取られ、運ばれてきました。


しかし、こんなことがあるなんて・・・
すごくショックでした。






遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

寂しい最期

2006-05-25 08:50:12 | 湯灌の儀式
都内某所。
業務をする場所は中華料理屋さんの2階、商店街の中にありました。
中華料理店2階で亡くなり、死後3日ということで検死が入ったそうです。

中華料理屋さんの2階は、コンクリートむき出しの10畳ほどのスペースがあり、大きな冷蔵庫と野菜の入った段ボールが山積みになっていました。不衛生な物置といったところでしょうか・・。 
段ボール脇の蓙を捲ると
そこにはガリガリに痩せ、お顔の色が黒くなってしまっている故人様がお休みになっていました。

ご家族の方は、湯灌も納棺式も立ち会いたくないとのこと、立ち会いのない中で私たちは作業を進めました。

故人様は70歳、奥さんも独立している息子さん・娘さんもいらっしゃいました
ご家族の間に何があったかわかりませんが、70年間人生の最期が、コンクリートのうえというのは悲しすぎます。

人生最後は、自宅で暖かいお布団で送りだしてあげたいものです。





遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

悲しい一言

2006-05-24 08:47:08 | 湯灌の儀式
神奈川県某所・・
今日の業務は、ご自宅での湯灌でした。

故人様は75歳のお爺ちゃんで、ご家族やご親戚、ご近所の方の立ち会いは、30名以上いました。

立ち会われた方は、非常に協力的で準備や片付けなどお手伝いしていただけました。
また、故人様の洗髪も積極的に参加され、大事にされていたな~と感じました。

そんなこともあり、納棺をする前に5分ほど私たちは退席し、ご遺族だけでお別れをしていただくことにしました。
私たちが部屋の外でお待ちしていると・・耳を疑う一言がありました。

部屋の中から出てきた親族のオバサンが、『洗い屋さ~ん』と呼ぶのです。

・・・???

『洗い屋さん???』

このお仕事をはじめて『湯灌屋さん』や『葬儀屋さん』と呼ばれたことはありましたが、『洗い屋さん』ははじめてです。
この呼ばれ方は非常にショックでした。

『洗い屋さん』=『死体洗い』を意味するからです。

湯灌サービスは喜んでいただけましたが、悪気はないものの、何気ない一言は考え深いものになりました。





遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

再会

2006-05-23 09:45:23 | 湯灌の儀式
今日の湯灌は、都内某所・・・
ご自宅での施行でした。

いつもは先輩の運転するクルマに乗って施行場所まで地図を見ながら案内するのですが、今日は地図を見なくても近くまでいける。
それは、以前、私が勤務していた会社の近くだったからです。

ご葬家に到着し、インターホンを鳴らすと・・・
出てきた方は見覚えのある顔。(男性で喪主様)
それは前の仕事のお客さんでした。しかも仲良くしていただいたお客さんでした。
故人様は、この方のお父様です。
私も特に余計な声をかけるわけでもなく、喪主様も私に声をかけてきませんでした。

準備が終わり、湯灌をはじめても無反応というか・・・不思議そうに私を見ていました。
喪主様は落ち着きがなく、部屋を出たり入ったり・・・

喪主様を除くそれ以外の家族は涙され、非常に悲しんでおられました。

湯灌と納棺が終わり、ご遺族の方には喜んでいただけ、感謝のお言葉もいただきましたが、喪主様だけは、最後まで私と言葉を交わしませんでした。

喪主様も他のご遺族同様、悲しんでおられたのかもしれませんが、私が行ったことにより、充分なお別れができなかったのでは・・・とスッキリしない再会と業務になってしまい、申し訳ない気持ちです。






遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!

大きな葬儀の湯灌

2006-05-22 07:42:36 | 湯灌の儀式
今日の業務は・・・都内某所。
元大物○○議員さんの湯灌と聞かされ、緊張の中、向かいました。
ご依頼いただいた葬儀社さんもかなり神経を使っているらしく、「くれぐれも失礼がないように・・・」「ご遺族の要望はすべて聞いてあげるように・・・」
いつもより細かい指示です。
(常に失礼がないように、一生懸命やっているつもりですが・・・)

雨の振る中、クルマを走らせ、ご葬家に到着しました。
立派な門の奥に大きな家があります。(大豪邸ってやつです。)

いつものようにお線香をあげ、ご遺族様にご挨拶。
(お部屋の広さと中にある装飾品にビックリ!和室で30畳くらいありました。お部屋には著名人からの御花がたくさん届いてました。)
一緒に組んだ先輩は、ベテランだけあって、物怖じせず、ご遺族の方と打ち合わせしながら進行していきます。

私たちがおこなう湯灌サービスは、寝たきりのご老人をお風呂に入れて差し上げる訪問入浴サービスのようなスタイルで行います。
改造した特殊なクルマでお湯を沸かし、使い終わったお湯を吸い取り、持ち帰れるようになっています。

門の前にクルマを着け、クルマからお部屋までホースを引いていきます。
距離にしてお部屋まで50Mくらいあり、しかも雨が降っているから なお大変です。


私たちが準備をしていると・・・葬儀社の方がトラックでやってきました。
到着するなり、トラックの荷台から棺を次々とお部屋に運びいれ、ご遺族の方に選んでいただいてました。
棺はすべて高級品(布張りの棺や漆を塗ったもの、樅や檜の棺)らしく、5本ならべてみていただいてました。
結局、ヒノキの彫刻入りを選ばれました。(聞いた話によると数百万円だそうです!)
その他の棺は、雨の降る中、葬儀社さんが撤収。

・・・準備と棺が決まり、湯灌がはじまりました。


スミマセン。続きは明日。






遺体処置のプロセンター
ヒューマンケア株式会社

遺体処置・エンゼルケア・特殊メイク・湯灌サービス・納棺サービス・遺体搬送等ご相談ください!!