遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

長生きの秘訣の話

2007-10-27 16:21:17 | Weblog
高齢化が進んでいるからでしょうか?
この一週間“長老”の域の90代以上のご年配の故人様のお仕事が多いです。
最近のご長寿の故人様は体格もしっかりしていて
『高齢の方だから着せ替えも移動も楽だよ』なんて油断していくとトンデモナイ!
湯灌浴槽への移動に、メンバーと2人では支えきれないくらい大きなご長寿もいます。
今週の最高齢は102才のお婆ちゃんでした。
大きくはないけれど、痩せているという感じでもなく
ほっぺの丸い可愛らしいお婆ちゃんです。
長生きで健康体?なのは食料文化と医療技術の賜物なのでしょう。
“でもそれだけではない”当たり前の共通点に気がつきました。

「よろしくお願いします~」
「あぁお母さん、よかった~綺麗にしてもらえて」と感涙のご葬家様
「あの、これから湯灌させて頂きますので」
「あら~やだ~よろしくお願いします(≧w≦)」とご葬家様
ご葬家さま、表現に語弊があるかもしれませんが天然?というかなんだか可愛らしいキャラの方々。
それが血縁のご親族、皆さんがそんな感じで何か一つするたびに
「よろしくお願いしますー」
「まぁうれしい」
「よかったねえお母さん」
何か話される時はすべて自然に出る“感謝の言葉”
恐縮してしまうほどです。
そして故人様の息子さんである喪主さん(推定70代後半)筆頭に
血縁のご親族は皆さん【故人様にそっくり】

ご葬家を通じて故人様の“人となり”も知ったような気がしました。

穏やかであること。
気負わないこと。
うれしがりであること。
小さなことにでも喜びと感謝を感じ取れること。

享年102歳の故人様は一世紀も前に生まれたのです。
いろんな戦争を体験して景気の低迷や時代の劇的な変化を
そんな時代の様々な苦労も経験しながら
こんなに長生きするのって本当にスゴイ事だと思います。
ご葬家の皆さんのルーツである故人様が長生きだったのは
穏やかで朗らかな人だからなのかも・・・。
そんな気がしました。
湯灌も終わりご納棺の時、喪主である息子さんは声を出さずかみ締めるように
涙を流されていました。
私達には悲しみと感謝も入り混じった涙を流されているように感じました。

もし100歳くらいのご高齢の方とお話しする機会があれば聞いてみたいと思いました。
「100年前は日本はどんな世の中でしたか?」








遺体処置・エンゼルケア・湯灌サービス
ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。

信心の話

2007-10-20 09:26:47 | Weblog
湯灌も納棺もご葬家にお立会いいただく前には、お体の処置をします。
鼻や口から体液など出ないようにふくみ綿
目や口が開いていたら閉じることが出来るように処置します。
病み疲れでやせ細ってしまった故人様は
“口が閉じていても歯だけが露出”
“ボッコリ落ちくぼみギラっと見開いた目”になっていることもあります。
含み綿だけでは目や口が閉じてもちょっと不自然なお顔になることもあり
(特殊メイク…オプションは)自然に出来ちゃうのですが…残念!!
多くのご葬家は「痩せちゃったから仕方がないですよね・・・」と了承して頂けますが
それまでの闘病の記憶がよみがえってきているのがわかるので
『力及ばずスミマセン』と感じます。
ですが、無事にご処置できたのに望まないご葬家もいます。
納棺に同僚と一緒に向かいご葬家に到着。
故人様目が開いていてまるで「ボー」っとこちらをみているような表情。
今、新人さんと一緒に回っていて彼女はなぜか“目に綿を入れる処置好き”なので
しっかり含み綿で閉じてもらいました。
準備が整い、ご葬家参列。
末期のお水をまず息子さんであろう喪主様にとって頂くと喪主様が
「このー目元はあのままじゃダメなんですか?」
「えっ?」喪主様意外ご葬家も全員頭におおきな“えっ?”
「さっきの目が開いていた時のほうが表情があって笑ってるみたいで良かったんだけど」
「えーーそんなの変だよー」「いやだーへんよーー」「えええっ~」と身内から一斉にかかる揶揄の声
こうゆう小さな事の積み重ねは“身内間闘争”の火種になることもあります。
ちょっと変でも誰かを悪者にしてはいけないのです。
「一般的にはご弔問の方も驚かれることもありますので
お目元もご処置でお閉じさせて頂いておりますが
“半眼半口”と申しまして仏様と同じ薄目と薄くお口元開かれているご表情は
ご成仏されている良いお顔とも昔は言われておりました。
お決め頂くのは“ご葬家の皆様で!”お願いいたします」
(以上:緊急時マニュアルより)をそっくりお話
「じゃあー開けてください!!」喪主様はドン引きのご身内を振り返らず決断
同僚が目の含み綿を取り出している最中になぜか「ダダダダっーー」と2階へ駈けて行きすぐに「ダダダダっー」と戻り
喪主様「○○尊も目が開いてますか?」
同僚A「開いてます」
喪主様「あぁじゃあ開けてください」「ああ、よかった。この方がいい」
それから髭剃りも髪をとかすのも率先して行い
綺麗に飾り付けしたはずのお顔周りの綿も“グニィィ”と揉まれクッタリしました。
喪主様以外のご葬家の皆様からは
サムーイようなイターイような空気が放たれていました。

余談ですが
TVで【有名人のお宅訪問】を見ました。
有名人とは鈴木宗雄氏の元秘書・身長2m7cm ムルアカさんです。
ムルアカさんはたしか山梨に近い田舎に住居を構えていて
天井の高さは日本サイズなので窮屈そうでした。
そして客間には小さな仏壇らしきもの
「ムルアカさん仏教徒ですか?」とレポーター
「イイエ、神さまというのは人間が勝手に作り出したものだから何でも良いんです。
 “感謝する”と言うことに意味があるのです」
ムルアカさんエライ!!








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トコロ違えば…という話

2007-10-14 10:29:05 | Weblog
最近湯灌部に新人さんが入りました。
この仕事で「経験者です」と言って入社される人はほぼ皆無です。
新人さんの驚きはまだまだ“一般の人の目線”なので
逆に「そういう風に感じるんだぁ」なんて感心したり勉強になったりもします。

ある日新人さんから
「こういう湯灌とか納棺とかって普通の人は幾らでできるんですか?」との質問
首都圏だけでも湯灌業者は何社もあり、それを販売してくれる葬儀屋さんも沢山あるので
だいたい~~幾らくらい?としか返答できません。
「でもご遺体の処置も湯灌も着せ替えも納棺も一式してくれてその金額ですよね?
だったらその方が簡単で良いかも!」と新人さん。

新人さんには田舎のご親戚の慶弔のお手伝いをする機会が大変多く
その度に大変な思いをしてきました!と彼女は言います。
誰かが亡くなると“となり組”となるご近所さんがお手伝いに参上してくれて
「私がお供えの枕ダンゴ!」
「うちが湯灌!」
「うちが納棺!!」
「俺が祭壇!!!」と大変積極的にお手伝いに参戦?してくれるとか。
すごい時は枕ダンゴがそれぞれから持ち寄られ3組も出来上がったこともあったとか。
そして通夜の夜に親族で「誰さんが何をしてくれたから¥~~円通夜返しに包まなければ!」と
その功労に対する御礼の金額を間違えたら大変!とのこと。
そのうちに、寝る間もなくて通夜振る舞いを手伝う女性なんかはよく倒れる、とか。

彼女のご親戚の住む地域のとなり組への御礼の金額にビックリはしましたが、それでも葬儀社に支払う総額に比べたらお得ではあります。
こちらがしてもらったら、いつかはお返しのお手伝いに伺う日もくる。
何といっても「ご近所付き合い」というものがあるでしょうから好意は受けるべきなのでしょう。
ただ新人さんいわく「忙しくて故人のために悲しんでいる暇がない」ということ。
葬儀業者さんにまかせっきりじゃないので身内はやる事が沢山あり
涙を流せる瞬間は火葬場でのほんの一瞬だけ・・・。

それでもとなり組同士で手作りの葬儀というものは大変であっても多少¥お得でもあり
「みんなで故人を送り出した」という達成感や連帯力が味わえるという。
専門業者に依頼し「サービスを買う」ということは
ある程度決められた中での動きでタイムスケジュールに追われることもあるが
「故人との時間を買う」事は出来ます。
もし皆さんが葬儀のしきたりを全てできたとしたら、方法は選ぶことが出来ます。
どうされますか?








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夏のなごりの話

2007-10-07 10:47:52 | Weblog
「髪をきれいにしてください」という納棺業務が入りました。
故人様は50代後半の男性。
ご葬家に伺って『あっ』と思いました。
地肌がすごい事になっています・・・フケで。

「夏は育毛の季節」だそうです。
ほかの季節より髪が伸びるのが夏は事実早いそうなのです。
日本全国今年の夏は異常な暑さでした。
そんな暑さの中、汗をかくけどシャンプーなんて出来る容態ではない闘病中の故人様は
まるで地肌に粘土をみっちりと塗りつけたような状態
でも体は清拭していたのでしょう。
さほど汚れていないので、より地肌の状態が際立っています。
浮き上がりそうな黄色いフケで白い地肌はまるで見えません。
髪の毛には細かくそして大きく所々にフケが散漫しています。
それからは必死です。

電車に乗ってても“加齢臭”で苦しめられる事があまりない気がします。
どの年代の人も毎日シャンプーするのは当たり前だし
ニオイのキツイ整髪量をつける人も少なくなったのでしょう。
故人様もさぞかし「頭洗いたいー」って思われたことだと感じられました。
湯灌じゃなかったのがとても残念でした。

限られた時間で髪の毛に櫛を通すだけで綺麗にするのは申し訳ないのですが限界がありました。
それでも前面の見えるところだけはなんとかして帰ってきました。
そして使用した櫛はタワシで洗ってやっと綺麗にすることが出来ました。







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