遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

リピーター化作戦の話

2008-02-16 08:39:53 | 遺体
私達、湯灌屋は“サービス”を販売しています。
そのサービスの中には“白装束”や“飾り綿花”も入っておりますが
それはあくまでも付属のものであって、対応そのものが私たちの仕事の価値を決めます。
だがら「必死」です。

ある日の湯灌でおじいちゃんが故人様の日
ご家族に連れ合いのおばあちゃんがいました。
そのおばあちゃんが“とてもかわいい”
きれいな白髪はベリーショートで小さな口元に赤い口紅、全身黒のお洋服でしたがなんだかオシャレです。
イケナイ気持ちが沸き起こります。
『このおばあちゃんも洗いたい』
縁起でもない思想で罰当たりなのでしょうが今こんなにかわいらしい方なのだから、いつか亡くなってしまったとしてもかわいいままで送り出したい!
ハイ、すみませんm( _ _ ;)m 職業病ということで大目に見てください。
と、いうことですごく一生懸命対応させて頂きました。
湯灌というものを普通の方が見るのは人生で1度か2度でしょう。
丁寧にしても、ちょっと端折っても「こういうものなんだー」と思われる事もあります。
悲惨すぎる死に対して私たちも心が折れるような気持ちを抱き、謹んで対応しても“届かない”事もあります。
比較対照が難しいのです。
逆に思いがけず「前回良かったから、又お願いします」とリピーターになられるご葬家もいます。
受け止め方は様々なのです。
私なりに一生懸命やりました!
かわいいおばあちゃんは「ふーーん」ってお顔で冷静です。
ご親戚に一人女優?“柴田理恵”さん似のご婦人がいました。
「ふんふんふんふん!」とうなずきながら一番感動して涙ぐんで下さいました。
私の投げたストロークは変化球だったのか、違う方に届いたようでした。

ですが最近こんな出来事がありました。
弊社の社員のご家族が亡くなり「葬儀社をどこにするか?」と考えた結果
弊社とは取引のない互助会系葬儀社に依頼しました。
そちらの会社には“自社納棺部”があるのですがもちろん弊社の社員ですので自分で出来ます。
「自分で納棺したい」事と今の会社に勤めていることを伝えると・・・なんだかそれ以降対応が×××
結果彼女曰く「私たちが出入りさせてもらっている葬儀社のサービスがとても良いという事が分かった」
また「自分の身内が亡くなって改めてもっと故人様をキレイにしたいと思えるようになった」との事でした。
彼女のご身内が最後にくれた気づきという贈り物だったようです。(美輪明宏ちっくですね;)
が!そちらの葬儀社さん別に手を抜いたわけではないのかもしれませんが“シクジリ気味”であるのは変わりありません。
実は彼女本人も含め、ご家族ご親族皆さん恐るべし“地元ネットワーク力”を持っているのです。
家族総出で地元サークル活動、子供たちの学校、旧友、以前の職場もろもろ・・・生粋の地元人。 
「あんまり皆に教えると収拾付かなくなるから知人でもごく親しい方だけで」と連絡をかなり控えたそうなのです。
「良くなかったよ」彼女の鶴の一声がもたらす影響とは果して?

ペンより剣より“口コミ”が現代では一番強い力なのかもしれません。
例えば単純にインターネットで“映画のユーザーレビュー”を見て、実際作品を見ると「評価その通り!」と感じる事が多いです。
変に受けを狙って立ち振る舞うのは、職業とはいえイヤラシイ感じはありますが
“邪気なく誠実に提供されたもの”に人は心打たれるのかもしれませんね。





遺体処置・エンゼルケア・湯灌サービス
ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。