遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

趣味の話

2007-12-31 08:58:10 | Weblog
2007年11月7日、東京・銀座に「アルマーニ / 銀座タワー」をオープンしたそうです。http://www.tsushin.tv/brand/milan/ga.html
TVでご存知の方も沢山いるとは思いますがPR活動の一環で
デザイナー・ジョルジオ・アルマーニ氏が来日、インタビューを受けていました。
60歳過ぎてもいつもTシャツ
エネルギッシュで仕事に人生を捧げている人です。
TVインタビューでは氏曰く 「趣味なんてない!!」 との事です。
世界をマタに駆けて働く人は趣味に時間を費やす暇は無いのでしょう。
逆に「ないっ!!」と言い切るアルマーニ氏は格好良く感じました。

ある日の湯灌の時、準備もすっかり整い後はご葬家の到着を待つばかり。
ところが待てど暮らせどやってこない。
納棺の品として“羽織となにかの葉っぱ”はたしかにお預かりしてるのですが…。
しばらくして
「ご葬家のおばあちゃん体の弱い人なので30分くらい遅れます」
そっか~待つのも仕事だけど…とションボリしているとご葬家らしき人影が。

最初に来たのはどうやら故人様の次女ご夫婦とお子さんご一家。
まだ肝心の喪主のおばあちゃんは来てないので少し待ってもらう事に。
すると次女の方のご主人が故人様について語り始めました。
「実は昨日みんなでお見舞いに言ったんですよ。
その時は別になんともなかったのに家に帰ってからすぐ
亡くなったって連絡でバタバタしちゃって・・・。」
昨日の今日で、すぐ葬儀になったから心の準備も追いつかなかったのかもしれません。

「90代で歯の本数が多いって県から表彰された事もあるんですよ。
でも30年位前から半身不随みたいになってずーっと片足が不自由でねー
それでも盆栽が趣味で60年くらい経つ盆栽とかも持っててねー
その手入れだけは欠かさなくてね・・・」
義理の息子・お婿さんという立場になる次女のご主人
故人様は義理のお父さんになるのでしょうが、しみじみと語る姿は
『仲が良かったんだなぁ~優しい義理の息子さんだなぁ』なんて関心しました。
そういえばお預かりした“なにかの葉っぱ”はあれは枝らしきものがついていました。
あれはもしかしたら60年物の盆栽の一部?

定刻の時間より30分以上遅れてきた喪主のおばあちゃんは
すっかり腰が曲がり車椅子でしか動けないお体の方。
たぶん90歳前後かもしれませんが頭はしっかりしていました。
湯灌も終わり納棺の飾りつけの加減などご希望があるか伺うと
「盆栽の枝は?」とちゃんと覚えていました。
小さな松の先端の枝先のようで鮮やかな緑色でした。
おばあちゃんに故人様のお顔の近くにその枝を供えていただき
ご家族皆さん安堵の表情をされていました。

60年物の盆栽は故人様がもしかして30代のころから?育てていたものなのでしょうか・・・?
趣味があっても無くても、一生をかけて何かを続けられる事柄がある人
“シンボルのある人”って素敵な人生です。





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