はがきのおくりもの

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第32話 応援団長(H16.10.22発送) <1通 通算817通>

2006年09月28日 | だいこん高物語 2004

 表彰状
 3年○組 ○○○○ 様
 あなたは、応援団長として団員をまとめ、自身の病気などの困難を乗り越え、青組を総合優勝に導きました。体育祭におけるあなたの努力や統率力、やり遂げる力を認め、ここに表します。

  強敵は自分自身だ   アベベ

 あなたは、やる気にさえなればやり遂げる力を持っています。できないのではなく、やらないだけという人がたくさんいます。一番の強敵である自分自身に負けることなく、やるべきこと、やりたいことをやり遂げて、すばらしい人生を満喫してください。期待しています。
  平成16年10月22日
  県立だいこん高等学校長 奥井太郎 



 担任の先生が、奥井のところにやってきて、ぜひ、この生徒に表彰状を贈ってほしいと言ってきたのです。

 普段は、遅刻は多いし、教員からすると手のかかる生徒らしいのですが、応援団長としては、かなり頑張ったそうです。

 病気をして、団長をやめようかというところまで悩んで、それでも、頑張って仲間たちとともに、青組をまとめて、総合優勝を果たすことができた。表彰しても、遅刻は減らないかもしれないし、手を焼くばかりかもしれないけれども、応援団では本当に頑張ったので表彰してあげてほしいと、担任にお願いされたそうです。

 生徒の頑張りもうれしいけれども、担任の先生が生徒のことを思っていることがうれしいと、奥井は言ってました。

 ところで、後で、その先生からうち明けられたそうです。

「やっぱり、表彰をお願いするんじゃありませんでした。ちっとも、遅刻は減らないし、ほんとに手を焼くばかりです。」

 そういう先生の顔は、言葉とは裏腹に、生徒のことを思っている顔でした。遅刻指導に手をかけているのです。なんとか卒業させたいと思いながら…。


 昔、こんな先生がいたと奥井が話していたことがあります。


「『卒業式の日にだけ、ありがとうと感謝されても、もう二度と担任などやりたくない。裏切られてばかりで、辛いことばかりです』と言っていた若い女性教師がいた。家庭を切り盛りし、小さな子供を育てながら、生徒たちの家庭訪問を繰り返してた。
 でも、卒業式の後、こう言ったんだよ。『また担任がしたくなりました。』
 苦しくて、弱音を吐くことがあっても、生徒のために動いているんだよ。生徒もわかっているけれど、自分で自分のことを持て余して、先生の言うとおりにできない。
 教師も生徒も、苦しみもがいているんだよ。」


 この生徒もきっと、担任の先生の思いをわかっていたと思います。

 奥井が、この生徒に、「強敵は自分自身だ」というアベベの言葉を贈ったのは、わかる気がします。
 いいものをたくさん持っているのに、自分自身が邪魔をしている。本人もいくらかは自覚をしてるでしょうが、自分をコントロールできないでいる。そんな人が多いのではないでしょうか。
 かくいう私も、自分自身が最大の強敵です。

 それをもっと強く自覚しなさい、と奥井は言いたかったのでしょう。
 でも、自覚し続けるのは、難しいですね。永遠の強敵です。


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