単気筒ライダー(だった男)のひとりごと

愛犬チビ と CB400SSライダーだった前期高齢者の日々

安心してください。歩いてますよ。

2015-12-24 | ちょこっと旅・温泉

 

7:16始発で酒田、秋田と乗り継ぎ、10:45 五能線への乗換駅「東能代」に着く。

何故、本線上に能代駅がないのか。何故、わざわざ東能代で乗り換えねばならないのか。

 


 

鉄道がこの地にも伸びてきた文明開化の時代、能代の駅をどこにするか議論があった。

能代は当時から米代川河口の港として、秋田杉をはじめ「水運」で栄えた町。

「丘蒸気」には無関心。むしろ忌み嫌い遠ざけた・・と聞いたことがある。

 


 

今回の目的地は、今ではローカル線の代名詞のひとつとなったJR五能線の「あきた白神」。

来るのは三回目。過去はいずれもソロ・ツーのオートバイ。JRで降り立つのは初めてだ。

 


 

JRと併走する国道101号は、夕日に染まる荒涼とした原野が広がる「津軽」への道。

思い入れの深い道。 十三湖、下前、権現崎、小泊・・胸キュン聖地へ繋がる、特別の道。

 


 

ひとり駅に降り立つボクに、「ハタハタ館、今日は休館日よ。」と声をかけてくれた人がいた。

「わかってます。」とばかり手を振るボク。そこは事前(実は今朝)に確認済み。

ここを最寄り駅とするもうひとつの温泉があるんだよ。

 


 

降りた駅は「あきた白神」ですが、この標識によれば青森県に降りたことになる。

ボクの地元でも、鼠ヶ関と新潟県山北町との県境を挟んだ住民同士の「綱引き」がある。

 


 

国道から間道を抜け、海岸の方へ下りていきます。もちろん初めての路。

 


 

この時季、この地でこんな日本海を眺めてしまうとは・・。嬉しいけど、異常です。

 


 

駅から五分ほどで海岸部を走る県道に出た。

目的の温泉はこの直ぐ先にあるはず。

 


 

初めての八森いさりび温泉「湯っこランド」。

ここの休館日は昨日の水曜日。玄関には昨日の「水曜休み」の看板が出たまんま。

紛らわしいなあ。 さあ、入ろう。戸を開け・・、ん?「開かない!!」

 


  

休館、いや、廃業? マジかよ!!

冗談じゃない、こんな寂しい所で。駅に戻るにしたって、次の電車までは二時間。

海眺めていたいほど傷心してないし。こんな最果て感満載のところに一人残されて。

頭ん中、真っ白。あまりの衝撃に海に身を投げて・・。

 


 

いやいや、「安心してください。歩いてますよ。」

電車から見えた「ハタハタ館まで5キロ」の看板を思い出した。たぶん、八森駅あたり。

歩いたって一時間ほどじゃないか。旅の目的を「八森町ダーツの旅」に切り替えた。

 


 

第一町人が全く現れない。

海沿いばかり歩いてもつまらないと思い、集落の中に入ってきたけど。

 


 

道端の墓地に建つ石碑には「梵字」。

かろうじて「元治二年」の文字が読める。幕末だあ。

 


 

東北の各地をぶらぶらしていると、「菅江真澄」によく出会う。

詳しくは知りませんが、江戸時代の旅行家・学者。「みちのく」のあちこちに足跡を残す。

期せずして歩いているこの道は「大間越街道」といって関所もあった古い街道らしい。

 


 

まるで、オートバイに乗って撮っている写真のようでしょう。

いやいや、違います。「安心してください。歩いてますよ。」

 


 

賑やかそうな町が見えてきた。「あきた白神」からは二つ目の駅あたりだ。

健康のため、ひと駅前で降りて、歩いて通勤する都会のサラリーマンの話を聞くが・・。

「そんなんじゃ、ねーし!!。」

 


 

通りを歩いているおばさんに、「この辺にJRの駅ありませんか?」と尋ねた。

「あそこ。商工会と一緒の・・」と言って、正面の建物を指さし、「どこから来たの?」

「温泉が休みで、そこから歩いてきた。」と答えると、「へえ~、いやいや、そりゃあ・・・」

「でも、おばさん、安心してください。歩いてますよ。」

 


 

駅舎からホームに上る木造の通路。さすが、秋田杉の産地。

駅舎の壁に「東北の駅百選選定駅」の看板。そんな選定委員会があるとは。

 


 

駅を確認したあと、昼食をとるため町の通りに出て店を探してみたけど・・。

町人に食堂を尋ねたら、駅から徒歩10分ほどの海沿いのレストランを教えてくれた。

 


 

小奇麗で洒落たレストラン。

若い(ボクよりも)女性二人で切盛りしているようです。

 


 

カウンター席の窓越しには、白神駅から歩いてくる間ずーっと見えていた「雄島」。

晴れた昼下がり、海を望む静かなレストラン・・・、とくれば、

 


 

♪♪ ソーダ水の中を 貨物船がとおる・・・♪♪ 「海を見ていた午後」ですよねえ。

初めて聴いたのは、山本潤子。しかも生。伴奏は、伊勢正三のアコースティック・ギター。

いかったねえ〜。

 


 

麺類でもよかったけど、ここは秋田。比内地鶏の親子丼。800円でした。

 


 

高台にある駅舎から見下ろす畑の中にひっそり佇む「椿銀山山神社」。

この神社についてググってみたら、色々、興味深いことが分かった。

♪♪ 秋田名物 八森ハタハタ・・♪♪ 八森は、ハタハタの町だけではなかった。

 


 

明治の時代、労働者千人を抱える銀産出量日本一の「発盛鉱山(別名 椿鉱山)」があった。

神社はその鉱山会社が建立したもので、やがて、鉱山の衰退とともに神社も・・・。

世界遺産に認定された産業遺産じゃないけど、ここにも複雑な歴史を刻む明治の痕跡があった。

 


 

さあ、もう帰ろう。10分もすれば電車が来ます。ホームには地元のお爺さんとボクだけ。

秋田からは奥羽本線経由で帰ろう。酒田行きを一時間以上待つよりいい。到着時間も一緒。

「あきた白神」で放っぽり出され、一時はどうなることかと思ったけど。

でも、安心してください。とにかくメゲない Okaムラ・・でした。