午前11時の田沢湖。
私的湖ランキングのトップは、文句なしの十三湖。次は、十和田湖。以下、みな同じ。
ここが目的地じゃないけど、この時季の素通りは失礼でしょう。
気合で7時に家を出た。
仙岩峠、網張、八幡平、そして、高松の池の界隈・・・、どこにしよう。どこまで行こうか。
玉川ダムに隣接するパーキング。ここまで来れば先に進むしかない。
選択肢は二つ。鹿角から西へ秋田・・・か、アスピーテラインで東へ八幡平山頂か。
玉川ダムの写真はもういいでしょう。
今、ダムサイト近くの湖水には見られない玉川の色が、背水の奥に残っていた。
毒とか害とか色々見方はありますが、心にやさしい自然の色。
あちこちに目を移し、何度も首をかしげながら走った。
少し早かったっていうこと? それとも、ちと遅かった?
植生に不明のボクには分からない。
ここまで上っても、期待していた「赤」がない。彩りがない。
晩秋のセピア・・というよりも、ボクの目には、まだまだこれからのグリーンに映る。
少々、肩すかしを食らったような気持ちのまま、八幡平頂上まで来た。
少し寒い。後方の秀麗な山は・・・、たぶん、森吉山。
人を寄せ付けない凄味が山の魅力のひとつだとすれば、山に憑りつかれなくてよかった。
ここに来ると少なからず思う。「ここに人間が立ち入っていいの・・?」
ケンキョ、ケンキョですよ。
息をのむ美しさ・・ですが、そのあといつも小象の頭に見えてくるんですよね。
ボクはこの反対側、盛岡の大田辺りから望む岩手山が好きなんですが・・・。
でもそれは昔の話。あの辺りは方向感覚をなくしてしまうほどの激変ぶり。
上の方からでも確認できた。湯治場の湯けむりにしては激しいなあ・・と。
環境に優しい自然エネルギーとは言うけど、優しさの微塵も感じないド迫力!!
ケンキョ、ケンキョ。自然の前ではケンキョが一番。
まだ入ったことのない湯は・・と思いつつ、結局里まで下りてきた。
七時雨山ですね。14年前、田代平高原まで足を伸ばした時、初めて知ったお山。
オサムちゃん。七時雨山にも登ってみたいんだよ。ここも勘定に入れておいて欲しいなあ。
今年は残念だった、姫神山。
小学校の遠足で登る山って言ってたけど・・、玉山の子かあ? すごいぜ!
盛岡市街には入らず、滝沢から国道46号に出た。もう午後三時を大きく回っている。
身体の冷え込みが湯田温泉を選択させた。仙岩峠は今回お預け。
「細井先輩を呼んで、みんなで泊まろうぜ。先輩の顔で安くなるんじゃね・・」
何度も話には出たんだけどなあ・・・、結局、実現できなかった。
もっと強烈にくると思ったのに、ここでも肩すかし。
冷え切った身体を足先から湯に沈めていく時のあのピリピリ感、期待したほどじゃなかった。
気持ちよかったあ。地元の人たちの時間帯だったし、いい時間を過ごした。
屋根の時計を見上げたら午後5時を回っていた。いい夕暮れです。
湯田のおっ月さん見上げるのは、いつ以来かなあ・・・。
ちょっとした時間、思考停止のような無自覚のような時間が過ぎた。
さあ、あと三時間半。
走行距離530キロ、14時間。
徐々に気持ちが高揚し、来てよかったあ!とピークがきて・・、寒い、暗い、もうたくさん。
数日経つと、走行中のこの気持ちの変化が妙に可笑しくなって、また走るんです。
でも、今シーズンのロングは、これで・・・かな。