龍馬伝

2010-01-05 00:28:00 | 文学
大好きな福山雅治氏主演で
坂本龍馬の大河ドラマが始まった。

一昨年キャスティングが発表されてから
凄く楽しみにしていた。
実際の龍馬も180cmの長身だったという説があるので、
イメージもカッコよさも文句無しなのだが・・

原作無しのぶっつけ脚本本番らしい、それはどうだろうか心配である?
現在、我々の持っているおおかたの龍馬像は司馬遼太郎氏の「竜馬がゆく」
によって形成されたものであることに異論はないと思う。

司馬作品が「龍馬」ではなく「竜馬」としているのはフィクション性を
付加したことを暗喩しているのであり、司馬竜馬が実際の
坂本龍馬とはニュアンスが相違することはきちっと了解しておく必要がある。

したがって、今年の大河ドラマのように岩崎弥太郎と二軸で物語
を展開すると、司馬竜馬とは矛盾が生じてくるような気がする。
それを否定するわけではないが、主題が支離滅裂になりかねない。

大雑把にいうと、龍馬が隊長をしていた海援隊が遭遇したかの有名な
「いろは丸事件」の賠償金は、龍馬暗殺後に支払われている。
これを元に西南戦争等の軍艦レンタルや戦争特需で岩崎は財閥三菱の
基礎を作ったのであるが・・

そもそも亀山社中とは、武器商人グラバーから武器・弾薬を
仕入れる組織として薩摩が作ったものであり、薩摩の信用を利用して
長州に武器を売ったりしてるわけで・・薩長同盟自体も紳士協定ではない・・

つまり、実際は龍馬も武器商人として暗躍していたのであり、決して
司馬作品に登場する正義のために奔走した幕末のヒーロー「竜馬」と全く
同化するものではないのである。

それゆえ、司馬作品での岩崎は脇役でしかなく、山師のような岩崎と竜馬の
深い関係性はほとんど記述されていない。岩崎は到底善玉にはなり得ない人物
であり、そこを詳しく書いてしまうと龍馬の闇の部分も書かざるを得なくなる
からであったのだろうと私は推測する。

藩の役人となって海援隊の財政を管理し、放蕩三昧した岩崎はある意味では
「漁夫の利」を得て、巨大コンツェルンの礎を築くわけだが・・龍馬の死から
大政奉還までの時間があまりにも一瞬間であることに甚だ疑問が残るのである。

龍馬は齢33歳、岩崎齢52歳でこの世から姿を消すのだが・・・
例えば、長老勝海舟の長生きさに、老獪なフィクサー達の謀略を感じるのは
私だけだろうか?

とはいっても、ドラマの福山と猿之助のご落胤である香川照之との
掛け合いは素直に楽しみたいと思う。

しかし、このスタートでドラマのラストはどこへ行くのだろうか?
一本筋の通った物語を期待しているのである。

第一回では、龍馬の父が自分の役職をわざわざ説明してしまうくだりに、
え~^_^;となってしまった。果たしてノーブルな児玉清氏がその演出に納得
したのだろうか?
この場合、役者に語らせずナレーションを使うか、墓守するシーンだけで充分であろう。
公共放送故、万人に説明責任を果たさねばならないという使命感は分か
るが、それでは物語の余韻というものが消失してしまう。
年末に放送された「坂の上の雲」とどうしても比較してしまう。今のところ
密度の違いは歴然、とくに、香川照之の子規の演技は非の打ち所がなかった。

「柿食えば鐘がなるなり法隆寺」



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2 コメント

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同意 ()
2010-01-05 08:09:18
香川照之・・・素晴らしい役者ですね!・・・坂の上の雲・・・年末の2部、放送が楽しみです!
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軍人秋山兄弟が・・ (ムートンです。)
2010-01-06 16:06:35
格好良く描かれ過ぎるているのと・・
3年間に渡って年末放送する
というやり方にタカ派の恣意的な
ものを感じてキナ臭いのですが・・
ドラマとしては上出来ですよね。

私的には文人正岡子規と漱石の
イデオロギーをもっとフーチャーして
欲しいのですが・・
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