愛器

2010-07-28 22:01:35 | 音楽
総じて西洋の楽器は日本の夏・・とくに梅雨時
のメンテナンスは大変です。

湿気の無い欧州の木工品は
接着はニカワ、塗装はセラック(フレンチ・ポリッシュ)
という湿度を極端に嫌う材料が使ってあるので、ちょっと
目を離すとエライことになってたりします。

アンティークの家具なんかもそうですが、塗装がベタベタに
溶けてしまったり、木材同士が剥がれてバラバラになってし
まうこともあります。

漆みたいに湿度で固まる性質の塗料とは正反対なのです。
やはりその国の気候風土に合った材料で作られているわけです。

そもそも東洋の島国で使われるなんて想定していない
古い楽器にいたっては言わずもがな。
その昔は弦もガット(羊の腸)だったので、これもまた湿気に弱い。

だから、夏場は除湿機と乾燥剤は必須、乾燥剤も楽器専用のものは
お高いので、衣類のタンス用のを使ってます。

さて、小生の愛器は弦が11本あります。その上、普通のギターは
6本弦のEマイナーに調弦しますが、これはGマイナーに調弦します。

日本風に言うと、ホ短調とト短調、イタリア式にいうとミ短調とソ短調
と・・これが日本の子供をクラシックから遠ざけている諸悪の根源やと
思います。「嬰ハ短調」なんてなんのこっちゃ?となりますよね。
音大とかいくとドイツ式に気取ってちゃってエーモールとかゲーモール
(因みに長調はドュアという)呼び方が何種類もある・・

その昔は、主音をすべて「ド」にして歌うという「移動ド歌唱法」なんていうのが
あって、こんなの日本だけちゃいますか?

その辺も扱い難いところで、番外弦はダイアトニックに低くしていきますが、
それだとメジャーの曲のときにしか開放弦がつかえないので、どれかを
半音下げたり上げたり、いわゆるオープンチューニングという調弦をします。
それがまた悩ましい、押尾コータローさんなんか曲ごとに調弦違いますから(^O^)
あれは逆に手癖に合わせてギターの調弦の方を合わせるというクラシック音楽
では普通には考えられない手法を使っています。つまり押さ方と弾き方がいつも
同じだが出る音は違うという感じ?
そこがギターの自由度の高さでもあるのだが・・

音楽はまずフィーリングだと思います。調性なんて言葉みたいに自然に
覚えて、それから理論を教えれば良い。

外国語の教育もそうです。
現在形、過去、未来、進行形、過去分詞なんて初っ端からやられたら
そりゃやる気も失せる。
まずは楽器が鳴って嬉しいとか、外国人とコミュニケーションできて
楽しいというシーンを作ってあげなくては・・・

さて、このギター、始めた頃は日本で教えてくれる先生が一人もいませんでした。
専用の楽譜も皆無、したがって、自分でメソッド作って、編曲して
試行錯誤しながらいろいろ創意工夫をしました。
最初に手にしてから20年余経ってますが、
本業の傍らなので実質は3年分くらいしか触ってません。

しかし、石の上にも三年とは良く言ったもので、近頃は指にしっくりと
来るようになりました。ルネッサンス期の作品も良いのですが、いまいち
暗い(笑)やはり、バッハやヘンデル等のバロック時代の作品を演奏するのに
とても合っています。

とくに、バッハを弾くためには相当な集中力を要求されますので、
まさに「無心」の時間が得られます。それが小生の秘かな嗜みなのです。
隠居したらメソッドや編曲譜を巻物にして免許皆伝方式で儲けようかと・・

i-padのアプリケーションも作りましょう。これから「譜めくリスト」は
いらなくなるでしょうね。透明なプロンプター式の電子楽譜も考えちょります。
そうすれば、ステージ上のエアコン気流も気にしなくて済みます。













四十九日

2010-07-27 23:50:30 | 動物
タロウがこの世を去って7週間
なかなかブログに手が付けられずにいました。

つらつら考えるに、命というものの儚さ
命というものの「温もり」を反芻しているところで
ございます。

彼を抱いたときの僕の体温と彼の体温が入り混じり
ゆっくりと平衡してゆき・・遂には同じ体温と皮膚感覚
に溶け合って一つになること、それこそが愛というものの
真理なのかもしれません。

その瞬間は刹那であっても永遠の時間が存在し、
谷川俊太郎氏の言う「二十億光年」という表現にしても
決して物理的な時間ではなく・・この精神的なふれあいの
瞬間を言いたかったのではないかとも思うのです。
[Two Billion Light-Years of Solitude]

画像はタロウのクリスタルの墓標
「スウェーデン製 マッツ・ジョナサン(MATS JONASSON」)
です。