ハッピーライフ デザイン

幸せな人生をデザインしてゆく「羅針盤」ブログです

「人生時間」を考える  その2

2019-10-22 10:59:02 | コラム

3. 「時は金なり」のストレス社会!を変革する

現代はスピード化の時代です。
何事も早く、早く、早く......と、迅速かつ効率的に、お客さまを待たせないサービスこそが価値を生む!との考え方は、よく「時は金なり!」との言葉で語られます。

仕事の生産性を測定する場合も、「時計時間」の要素は重要視されますし、質の高い仕事を短時間で行なえば「優秀な人材」との評価に繋がります。

一方、こうした「時計時間」との闘いが、働いている人たちの「心のストレス」を蓄積させている事を、日頃 意識する事はありません。

私たちは、自分自身が、スピーディーで心地よいサービスを受ける事は嬉しいものですが、それが当たり前になると、チョット待たされるだけでイラっと感じたりします。

でも、よくよく考えてみると、そのサービスを提供する側の人にとっては、お客さまに満足してもらえる「時間仕事」は相当の緊張感と集中意識を求める事になり「ストレス」を助長します。

勿論、仕事ですからストレスを受けるのは当然ですし、適度なストレスは心地良さを感じるものです。
然し乍ら、このストレスが過度になると、働く人たちにとって「心のバランス」が取り難くなってきます。

私たちは、ある時はサービスを受ける側、ある時はサービスを提供する側で社会生活を送っています。「時は金なり!」は、便利社会に定着している意識ですが、この「時間価値」と働く人の「人間(心)の価値」のウェル・バランスが大切です。

「時は金なり!」の意識は、経済活動に従事する人々にとって重要かつ必要な理念ですが、組織側(経営を担う立場の人々)が「時は金なり!」だけに目を向け過ぎると、働く人々にとっての「ストレス社会」は益々深刻なものになりかねません。

組織社会を牽引しているエグゼクティブやマネジメント層の方々は、「時は金なり!」だけでなく「時は人なり!」の意識も合わせ持って「場」をつくってゆくことが大切です。

私は、時間効率、生産性効率、高速便利社会、いわば時間を圧縮するVelocity 社会が、私たちに過重労働や人生時間の配分を歪める長時間労働を余儀なくさせている「社会構造」と「組織意識」を変えてゆく取組が「働き方改革」の本義ではないかと思っています。

HLD Lab が進める「場」つくりとは、こうした組織意識の変革をファシリテートしてゆくことでもあります。

4. 「忙しい」は偉いこと?

日本の組織社会の特徴の一つですが、いつも忙しく働いている人を高く評価する傾向があります。

「あの人は凄く忙しいから....」とか、「毎日遅くまで残業が続いちゃって....」とか、「ここ一週間、家に帰れなくて...!」などという話を聞くと、その人物へのある種の尊敬と敬意を抱いてしまうことってありませんか。

私たちは、働いているとされる「時計時間」の量(長さ)で、その人の社会的地位が大体どのようなものかを判断する傾向があります。

長くオフィスに居る事が「働いている」と看做される文化、そして、早帰りすると仕事をしていないと看做される文化!
あるある話の一つですよね。

日常をみてみましょう。
多くの企業では、「付き合い残業」という文化があります。
あの人がまだ帰らないから自分も家に帰らずに、顔見せ、付き合い仕事をしているフリをすることです。

誰もが、好き好んで付き合い残業などしたいとは思っていないはずなのですが、何故このような事におきるのでしょうか。

要は、上司や同僚の「眼」を気にするからです。
「お先に失礼します!」といって帰宅しようとしている人に、「えっ!もう帰るの」との上司からの一言‼︎ 結構、根強く残っているスティグマの一つです。
特に、上司がジェネレーションX世代や「業界人」、「クリエイター」社会では、こうした社風があるのでは?

長くオフィスに居る事、そして、忙しそうに振る舞う事が、仕事を頑張っている基準!と無意識のうちに価値判断しているマネジャーは沢山います。
「俺たちの時代は.....」の類の思いや価値観からくるものが多いのでしょうね。

仕事に於いて「忙しい」事は、自分の成長に繋がるチャンスであり、また試練だと思いますが、決して、勤務評価を上げる為に「演技」するものではありません。

私たちは、「仕事時間」や「暮らしの時間」の設計を、自分自身の意思を持ってデザインしてゆく事、つまり、意味のある時間の使い方を考え、行動してゆく事が大切だと思います。

世の中、長時間労働の問題が話題です。
多くの人が心の中で、こんなに仕事に関わる時間をかけ費やして良いのか!と思っていますが、なかなか「忙しい事は偉いこと」的な日本企業の社風は変わりません。

「働き方改革」の第一歩は、経営・管理職階の人たちの「意識変革」と、現場のナレッジ・ワーカーたちの「時間設計」つまり仕事をリ・デザインする意識を持つ事から始める事です。

付き合い残業や忙しい演技では無い、意味のある仕事時間を考える「仕事デザイン」!
が求められています。

5. 時間・仕事・余暇

ピューリッツァ賞受賞者のセバスチャン・デ・グラッツィアは、『時間・仕事・余暇について(Of Time, Work, and Leisure) 』の中で、

「仕事は人間を高尚にしたり、疲弊させたり、裕福にしたりするが、人間を人間として完成させるのは余暇である」 と述べています。

そして、『「余暇」と「自由時間」は全く異なる世界のものだ..... 。「自由時間」は、特別な種類の時間を特別に計算する特別な手法のことを言う。「余暇」は、状態や人間の置かれた状況のことである」。

「余暇」とは、精神の枠組み、あるいは想像力や創意に富む人の生きる姿勢です。
デ・グラッツィアの言う「余暇」とは、特別な知的状態を意味し、単なる活動、娯楽、リラクゼーション、そして自由時間以上のものと考えています。

かつて日経新聞の一面には「休み方改革」 脱「休暇後進国」へ一歩!
なる記事が掲載されたことがあります。

「働き方改革」と共に「休み方改革」を推進しようとする社会の流れは歓迎されるものです。
そして、「休み方」とは!をあらためて考える良い機会だと思います。

今こそアリストテレス的な余暇=Leisure を意識すべき時です。

『何もしない時間「余暇」を楽しむ心の贅沢!』

『何でも好きな事ができる「自由時間」を楽しむ心の贅沢!』

日頃、仕事で溜まったストレスを発散し、心身のバランスを回復する時間が「休暇」です。
「休暇」を何もしない贅沢な時間「余暇」として過ごすか、アクティブに自分のやりたい「自由時間」として過ごすかは人それぞれですね。

そして、今、HLD Lab は、「ワーケーション」スタイルの普及と、豊かな自然資産を有する地方・地域と連携しながら「バイオフィリアLivingWork place」の創出に活動を始めています。
皆さんも一緒に活動しませんか!^_^