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Nさんのこと

2008年03月20日 07時14分07秒 | 友から・友へ
田村さんの記事が掲載されました。3/16日付け東京新聞

Nさんのこと

 三月に入り、だいぶ遅れていた山野草の開花も勢いを増してきた。カタクリ、アズマイチゲなど、可憐な花たちが咲き出せば私の里山散策も本格化する。

 春という言葉の持つ、明るく希望に満ちたイメージとは裏腹に、私の心中には常に薄雲がかかっている。

 もう三年以上経ったが、腎臓癌の全摘手術を受けた際、同じ部屋で共に過ごした闘病仲間のNさんが、最近、片肺の切除という辛い手術を行った。私よりたぶん五歳くらい若い彼は、まだ成人していない子どもも抱えている。既に何度も肺転移を繰り返し、そのたびに手術や抗がん剤治療を続け耐えしのいできた。

 私が元気に野山を飛び回って撮影している姿を見て、最近彼はデジカメとパソコンを購入し、一緒に蝶や花などを撮影しようと意気込んでいた。今回の手術はそんな矢先の出来事で、だいぶ精神的にこたえたようだった。

 いつか、がんセンターで採血を待っている際、隣に居合わせたおばさんに、「今日は混んでいますねえ・・・」と話しかけたら、おばさんは、はっきりとした口調で次のように語った。「センターでは、知り合いを作らないようにしている」それ以上の説明はなく、会話も続かず、ぶっきらぼうに終わってしまったが、わかるような気がした。

 自分のがんだけでも辛いのに、友人や知人の病状までも思いやるのは荷が重過ぎる。一人こっそりと闘って行く。そんな決意が感じられ納得した。

 Nさんには、入院中大変お世話になった。つらくてつらくて、ベットに5分と寝ていられなかった私は、病棟5階の通路を行ったり来たり、一日中歩き回っていた。そんな時も、散歩と称して、いつもNさんは付き合ってくれた。彼がいなかったら、あの辛さは乗り越えられなかったろう・・・。

 ともに五十代の闘病仲間。傷が癒えるころは春爛漫に違いない。Nさん、ご案内しますよ!私の好きな里山の隅々までも・・・。

 なんて、元気そうなことを書いては見たが、明日十七日は、先週撮影した肺のコンピューター断層撮影(CT)検査の結果が出る日。ほぼ三ヶ月に一度、気が重くなったり、少しばかり軽くなったり、生きていくのは大変!
 
                        2008年 3月16日掲載
フォト:フモトスミレの花

 今日は、雨の予報ですが曇ってます。
「まきばの湯」に行ってきます。

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