温泉大好き

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試される憲法 最終号

2008年01月04日 05時43分01秒 | 温泉私的
東京新聞12/29付けに宮城まりこさんが語っています。

ねむの木学園の子どもたちの絵の展覧会で、スウェーデンに行った時のこと。公衆電話にあった電話帳を見ていたら、電話番号を載せた部分は白い紙で、残り半分は黄色でした。そこに何が書いてあるかを日本大使館で読んでもらってびっくり。「スウェーデンは絶対戦争をしない。でも、他国が攻めてきたらどんな方法をとっても守る」と。そして「まずガスや電気を消す。女性や子どもから順番にシェルターに入れ」と、敵が攻めてきたらどうするかと詳しく書いてあったのです。

 誰でも、いつでも見ることができる街の電話帳に「国が国民を守る」という決意が書いてある。ああ、だからこの国は福祉国家だと堂々と言えるんだ、と思いました。

 国を守ることは、国民を守ること。私がねむの木学園をつくったのは、守られるべき人が守られていないことが許せないと思ったからです。

 当時、障害がある子は学校に行かなくていい「就学猶予」とされていました。すべての子どもたちは同じように勉強し、愛され、守られるべきではないかと、肢体不自由児の養護施設を始めました。制度上は、体の不自由な子は養護施設の対象外。看板に「肢体不自由児養護施設」と勝手に入れて、誰か来たら「肢体不自由児」の文字に紙を張って「ただの養護施設です」なんてやった後、泣きました。

 人間には皆、それぞれ個性と能力がある。障害という重いものを持って生まれても、乗り越えて能力を伸ばすことを憲法が約束している。一人一人違うんだから、一人一人が違う教育を受けられたらいいじゃないですか。憲法は美しい文章でよくできていると思います。お役所には、憲法の精神を生かしてちゃんと細やかにしてほしいわ。

 国語ができなくても絵が描ける。絵が描けなくても詩を書いている。絵も詩もできないけど織物はできる…。見えないところにある可能性を見つけたい。それは大変だけど、それができるのならせっかくできた全国の施設を守ってほしい。文化の高い国が、福祉が充実している気がします。

 わがままを言わない限り、私は「憲法が優しく眺めている」っていう感じがしています。

 みやぎ・まりこ 1927年東京生まれ。歌手や女優として舞台やテレビで活躍。68年に独力で日本初の肢体不自由児養護施設を開く。現在は肢体不自由児と身体障害者の療護施設、特別支援学校を中心に、障害者が働く喫茶店や、こども美術館、吉行淳之介文学館などを擁する「ねむの木村」を運営する。80歳。

    ◇

 還暦を迎えた憲法のありようを考えようと昨年十一月以来、約一年にわたって掲載してきました「試される憲法-誕生六十年」はこれで終わります。護憲派、改憲派を問わず、さまざまな立場の識者七十人余りが憲法への思いを語ってくれました。

 この間、憲法改正手続きを定めた国民投票法が成立するなど、憲法を取り巻く状況は大きく変わりつつあります。東京新聞は今後も、読者の皆さんとともに憲法を考えていきます。

公衆電話の電話帳の広告には驚きました。宮城さん80歳で活躍ですね。
今日から仕事始めです。
フォト:利根大堰から撮った富士山(左から1/3くらいのところ)