家紋のことを調べているうちに、苗字(名字)の呼び方、文字などに
面白いものがあるのに興味が湧いてきました。
あまりに古い文字や読み方は、『幽霊名字』と言われるなどとも
Wikipediaに載っていました。確かに下の文章からは、
『幽霊名字』もかなりありそうだな、と思いました。
自分なりに、興味ある部分から見て行こうと思います。
まずは、 「やまとことば」 についての知識を少し勉強しました。
苗字いろは歌
いろは にほえど 散りぢりに
わかれた 先祖は 珍しい
変わった 苗字を いつ 付けた
一つ 一つを眺めれば
うーん なるほどと うなずける
うまい文字(もんじ)を あてたもの
(伊)古代の珍姓珍釈篇
いま、われわれは、日下さん、春日さん、飛鳥さんなどにお会いする
こともできる。また、日下をクサカ、春日をカスガ、飛鳥をアスカと読む
こともできる。クサカ、カスガ、アスカは 古い古いやまとことば、
すなわち祖先が大昔から使っていた 固有の日本語である。
文字のなかった時代からこのことばはあった。
そこへ中国から漢字が入ってきて、それを漢字で書くことを覚えた。
しかし、はじめは、どう漢字を当てていいか迷ったに違いない。
苦心の末、日下をクサカ、春日をカスガと当てたりしたらしい。
「なぜ?」
「なぜだか訊くわけにもゆかない。だから、想像するほかはない。
当時のインテリは草のよく生えているところは、太陽の下だから、日下
に当てたのかもしれん。今なら、草処にあてた方が正訳かもしれんが。」
「春日と飛鳥は?」
「飛ぶ鳥の安宿(あすか)、春の日の霞処(かすが)かもしれん。」
前者は鳥の飛んでることを強調し、後者は春の日を強調して、
その字を当てたのだろう」
「なんだかヘンな推理だね。」
「ま、一種の意訳だよ。でも、昔はこうした意訳は平気だった。
また、江戸時代どころか現代まで続いている。『流行る(はやる)』と
言ったり、『流石(さすが)』などと言うじゃない。」
「それはそうだが」
「だからさ、御先祖は古代のやまとことばにテキトウに漢字を振ったのさ。」
「漢字を振る?」
「そう、やまとことばに漢字を振る。漢字がルビなんだよ。
今の人は漢字にかなを振っているが、もともとカナの方が
やまとことばで主体だ。今はあべこべになっている。たとえば、
【いきさつ】というやまとことばに【経緯】と漢字を振ったが
今は(昔のことを忘れて)ケイイ、ケイイと言っている。主客転倒だよ。」
「わかったよ。で、何が言いたいんだい。」
「漢字学者が訓と言ってるやつが、もとのやまとことばで本体。
そのやまとことばが苗字の大部分だし、千数百年も前の
やまとことばが、いまも苗字として存続している。」
以上のようなわけで、やまとことばを再認識して頂きたいのが、
この章の主旨。
御炊(みかしき) 吉弥侯部(きみこべ) 丈部(はせべ・はせつかべ)
纒向(まきむく) 綺(かむはた・かんはとり) 熊凝(くまこり・くまごり)
『姓氏・家系・家紋の調べ方』丹羽基二:著 より
~ 苗字いろは歌 (伊) 古代珍姓珍釈篇 ~