2007年10月21日
昨日に引き続き、建設リサイクル法と廃棄物処理法の関係について整理していきます。
3.廃棄物処理法との関係
建設リサイクル法は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)とともに廃棄物処理法の下位法として制定されました。建設リサイクル法による再資源化等の実施は、廃棄物処理法が適用される特定建設資材について義務づけられています。
両法の関係の整理については、①『建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(平成11年3月23日/衛産20号)』、②『建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(平成13年6月1日/環廃産276号)』、において詳細に規定されています。
(1)排出事業者は誰か
廃棄物処理法においては、産業廃棄物の処理責任は排出事業者にある、とされているため、特定建設資材廃棄物の排出事業者は誰か、が重要なポイントとなります。上記通知においては、『建設工事等における排出事業者には、原則として元請業者が該当する』とされており、建設廃棄物については、実際の工事の施工は下請業者が行っている場合であっても、発注者から直接工事を請け負った元請業者を排出事業者とし、元請業者に処理責任を負わせること、とされています。
なお、元請業者が当該工事の全部、又は建設工事のうち明確に区分される期間に施工される工事を下請業者に一括して請け負わせる場合において、元請業者が総合的に企画、調整及び指導を行っていないと認められるときは、下請業者が排出事業者になる場合もある、とされています。
(2)排出事業者の役割
排出事業者は自らの責任において適正処理を行うとともに、廃棄物の発生抑制、再生利用等による減量化並びに再生資材の活用を積極的に図るほか、排出事業者として以下の役割を履行しなければなりません。
□元請業者が中心となって、発注者―元請業者―下請業者―処理業者の間の協力体制を整備し、円滑に運営すること
□仕様書等に廃棄物の処理方法が記載されていない場合は、発注者に申し出ること
□元請業者は廃棄物の処理方法等を記載した廃棄物処理計画書を作業所ごとに作成し、発注者の要求に応じて提出すること
□建設廃棄物を再生資源として利用することに努めること
□廃棄物の取扱い方法を定め、教育、啓発等により従業員や関係者に周知徹底させること
□建設廃棄物の運搬を委託する際には、引き渡す都度、種類ごとに必要事項を記入したマニフェストを交付するか、又は必要事項を電子マニフェストにより登録して廃棄物の流れの把握及び処理過程の事故防止に努めること
□廃棄物の排出は分別排出を原則とし、分別物の回収方法、分別容器等について処理業者と打合せを行うこと
□廃棄物の取扱いを下請業者任せにしてはならない。したがって、処理を委託する場合は、元請業者は直接処理業者を選定した上で委託契約を締結するとともに、マニフェスト又は電子マニフェストの使用等により適切な委託を行うこと
□建設廃棄物の性状や処理方法を把握しておくこと
□廃棄物処理の結果を発注者に報告すること
□マニフェスト及び処理実績を整理して記録、保存すること
□多量に産業廃棄物を発生する事業場を設置している事業者は、廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事等に提出すること
□コンクリート、木材等の特定の建設資材を用いた建築物の解体工事等を受注する場合には、分別解体等を行うこと、分別解体等に伴って生じた特定の建設資材廃棄物について再資源化を行うことなど建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に従うこと
□元請業者は、下請業者が排出事業者に該当する場合でも、下請業者が行うマニフェストの交付又は電子マニフェストの登録等を含め廃棄物の適正処理について、元請業者として適切な指導を行うこと(が望ましい)
(3)発注者の責務と役割
一方、発注者については、『建設工事等における発注者等の排出事業者以外の関係者は、発生抑制、再生利用等による減量化を含めた適正処理について、排出事業者が廃棄物処理の責任を果たせるよう、それぞれの立場に応じた責務を果たさなければならない。』として、次の項目が掲げられています。
□建設工事等を行う以前からの廃棄物(例えば、解体予定建築物中に残置された家具等の廃棄物)を適正に処理すること
□元請業者に行わせる事項については、設計図書に明示すること
□企画、設計段階において、①建設廃棄物の発生抑制、②現場で発生した建設廃棄物の再生利用、③再生資材の活用、について積極的に推進すること
□積算上の取扱いにおいて適正な建設廃棄物の処理費を計上すること
□元請業者より、建設廃棄物の処理方法を記載した廃棄物処理計画書の提出をさせること
□工事中は建設廃棄物の処理が適正に行われているか注意を払うこと
□工事が終わった時は元請業者に報告させ、建設廃棄物が適正に処理されたことを確認する。また、建設廃棄物が放置されていないか注意を払うこと
□コンクリート、木材等の特定の建設資材を用いた建築物の解体工事等を発注する場合には、分別解体の計画等を都道府県知事に届け出るなど建設リサイクル法に従うこと
以上のように、建設資材廃棄物の排出事業者である元請業者は、その廃棄物の処理を委託処理する場合には、産業廃棄物処理業者と適正な契約を締結することが求められます。
(4)特定建設資材廃棄物以外のもの
建設資材とは「土木建築に関する工事に使用する資材」と定義されており、伐採木、伐根材、梱包材等は建設資材ではないので、建設リサイクル法による分別解体等・再資源化等の義務付けの対象とはなりません。また、特定建設資材のリース材(例えば木製コンクリート型枠等)については、工事現場で使用している間は建設資材であるものの、使用後リース会社に引き取られる場合は、建設資材廃棄物として排出されるものではない、とされています。このため、対象建設工事となる工事現場から直接廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等が必要ですが、リース会社から廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とはなりません。しかし、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とならないものについても、廃棄物処理法の規定に従った適正な処理が必要となります。
(5)埋め戻しによる再生利用
特定建設資材廃棄物であるコンクリート等を、現場で破砕し、そのまま埋め戻しをすることの可否がよく問題となります。特定建設資材廃棄物は、廃棄物処理法上の廃棄物であるため、許可を受けた中間処理施設での処理(再生)が大前提となります。したがいまして、適正な処理を経た後でなければ埋め戻しはできないことに留意する必要があります。
この場合、廃棄物の定義は、廃棄物処理法によることとなりますが、『行政処分の指針(平成17年8月12日環境省通知)』によると、廃棄物とは、『占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること』とされています(総合判断説)。また、再生利用についても『再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は自ら利用又は有償譲渡がされない物であるから、廃棄物として規制する必要があり、当該物の再生は廃棄物の処理として扱うこと』と解釈されています。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月8日から10月14日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.10.14
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月8日から10月14日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.10.14
昨日に引き続き、建設リサイクル法と廃棄物処理法の関係について整理していきます。
3.廃棄物処理法との関係
建設リサイクル法は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)とともに廃棄物処理法の下位法として制定されました。建設リサイクル法による再資源化等の実施は、廃棄物処理法が適用される特定建設資材について義務づけられています。
両法の関係の整理については、①『建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(平成11年3月23日/衛産20号)』、②『建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(平成13年6月1日/環廃産276号)』、において詳細に規定されています。
(1)排出事業者は誰か
廃棄物処理法においては、産業廃棄物の処理責任は排出事業者にある、とされているため、特定建設資材廃棄物の排出事業者は誰か、が重要なポイントとなります。上記通知においては、『建設工事等における排出事業者には、原則として元請業者が該当する』とされており、建設廃棄物については、実際の工事の施工は下請業者が行っている場合であっても、発注者から直接工事を請け負った元請業者を排出事業者とし、元請業者に処理責任を負わせること、とされています。
なお、元請業者が当該工事の全部、又は建設工事のうち明確に区分される期間に施工される工事を下請業者に一括して請け負わせる場合において、元請業者が総合的に企画、調整及び指導を行っていないと認められるときは、下請業者が排出事業者になる場合もある、とされています。
(2)排出事業者の役割
排出事業者は自らの責任において適正処理を行うとともに、廃棄物の発生抑制、再生利用等による減量化並びに再生資材の活用を積極的に図るほか、排出事業者として以下の役割を履行しなければなりません。
□元請業者が中心となって、発注者―元請業者―下請業者―処理業者の間の協力体制を整備し、円滑に運営すること
□仕様書等に廃棄物の処理方法が記載されていない場合は、発注者に申し出ること
□元請業者は廃棄物の処理方法等を記載した廃棄物処理計画書を作業所ごとに作成し、発注者の要求に応じて提出すること
□建設廃棄物を再生資源として利用することに努めること
□廃棄物の取扱い方法を定め、教育、啓発等により従業員や関係者に周知徹底させること
□建設廃棄物の運搬を委託する際には、引き渡す都度、種類ごとに必要事項を記入したマニフェストを交付するか、又は必要事項を電子マニフェストにより登録して廃棄物の流れの把握及び処理過程の事故防止に努めること
□廃棄物の排出は分別排出を原則とし、分別物の回収方法、分別容器等について処理業者と打合せを行うこと
□廃棄物の取扱いを下請業者任せにしてはならない。したがって、処理を委託する場合は、元請業者は直接処理業者を選定した上で委託契約を締結するとともに、マニフェスト又は電子マニフェストの使用等により適切な委託を行うこと
□建設廃棄物の性状や処理方法を把握しておくこと
□廃棄物処理の結果を発注者に報告すること
□マニフェスト及び処理実績を整理して記録、保存すること
□多量に産業廃棄物を発生する事業場を設置している事業者は、廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事等に提出すること
□コンクリート、木材等の特定の建設資材を用いた建築物の解体工事等を受注する場合には、分別解体等を行うこと、分別解体等に伴って生じた特定の建設資材廃棄物について再資源化を行うことなど建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に従うこと
□元請業者は、下請業者が排出事業者に該当する場合でも、下請業者が行うマニフェストの交付又は電子マニフェストの登録等を含め廃棄物の適正処理について、元請業者として適切な指導を行うこと(が望ましい)
(3)発注者の責務と役割
一方、発注者については、『建設工事等における発注者等の排出事業者以外の関係者は、発生抑制、再生利用等による減量化を含めた適正処理について、排出事業者が廃棄物処理の責任を果たせるよう、それぞれの立場に応じた責務を果たさなければならない。』として、次の項目が掲げられています。
□建設工事等を行う以前からの廃棄物(例えば、解体予定建築物中に残置された家具等の廃棄物)を適正に処理すること
□元請業者に行わせる事項については、設計図書に明示すること
□企画、設計段階において、①建設廃棄物の発生抑制、②現場で発生した建設廃棄物の再生利用、③再生資材の活用、について積極的に推進すること
□積算上の取扱いにおいて適正な建設廃棄物の処理費を計上すること
□元請業者より、建設廃棄物の処理方法を記載した廃棄物処理計画書の提出をさせること
□工事中は建設廃棄物の処理が適正に行われているか注意を払うこと
□工事が終わった時は元請業者に報告させ、建設廃棄物が適正に処理されたことを確認する。また、建設廃棄物が放置されていないか注意を払うこと
□コンクリート、木材等の特定の建設資材を用いた建築物の解体工事等を発注する場合には、分別解体の計画等を都道府県知事に届け出るなど建設リサイクル法に従うこと
以上のように、建設資材廃棄物の排出事業者である元請業者は、その廃棄物の処理を委託処理する場合には、産業廃棄物処理業者と適正な契約を締結することが求められます。
(4)特定建設資材廃棄物以外のもの
建設資材とは「土木建築に関する工事に使用する資材」と定義されており、伐採木、伐根材、梱包材等は建設資材ではないので、建設リサイクル法による分別解体等・再資源化等の義務付けの対象とはなりません。また、特定建設資材のリース材(例えば木製コンクリート型枠等)については、工事現場で使用している間は建設資材であるものの、使用後リース会社に引き取られる場合は、建設資材廃棄物として排出されるものではない、とされています。このため、対象建設工事となる工事現場から直接廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等が必要ですが、リース会社から廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とはなりません。しかし、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とならないものについても、廃棄物処理法の規定に従った適正な処理が必要となります。
(5)埋め戻しによる再生利用
特定建設資材廃棄物であるコンクリート等を、現場で破砕し、そのまま埋め戻しをすることの可否がよく問題となります。特定建設資材廃棄物は、廃棄物処理法上の廃棄物であるため、許可を受けた中間処理施設での処理(再生)が大前提となります。したがいまして、適正な処理を経た後でなければ埋め戻しはできないことに留意する必要があります。
この場合、廃棄物の定義は、廃棄物処理法によることとなりますが、『行政処分の指針(平成17年8月12日環境省通知)』によると、廃棄物とは、『占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること』とされています(総合判断説)。また、再生利用についても『再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は自ら利用又は有償譲渡がされない物であるから、廃棄物として規制する必要があり、当該物の再生は廃棄物の処理として扱うこと』と解釈されています。
【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
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【判例情報ウオッチング】
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【ISO14001】
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◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月8日から10月14日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.10.14