環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

3R推進月間特集 27 最終回 未完の循環政策 循環型社会形成への政策展望

2007-10-27 08:10:05 | リデュース・リユース・リサイクル
2007年10月27日
 3R推進月間特集最終回は、循環型社会形成への政策展望です。
 循環型社会を形成していくうえでの基本政策順位は、循環型社会形成推進基本法(循環基本法)に示されている通り、①発生抑制、②再使用、③再生利用、④熱回収、⑤適正処理、です。このうち、①及び⑤を廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)が担当し、②から④を個別リサイクル法がカバーしています。また、循環基本法により制定された循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画)では、それぞれの個別法の見直しスケジュールが明確にされています。容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)は、昨年法改正がなされ、今年の4月に一部が施行、来年4月から全面施行となります。食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)は、今年改正されました。また、特定家庭容器再商品化法(家電リサイクル法)及び建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)は、現在、中央環境審議会での検討作業がなされており、来年以降、法改正がなされる予定です。このように、循環型社会を形成するための法政策は、まだまだ完成の域には達していないというのが現状であるといえるでしょう。

1.発生抑制のための政策 ― 入口強化が循環型社会形成の鍵
 循環型社会形成に向けての第一順位である発生抑制については、前述の通り廃棄物処理法において、僅かに触れられているに過ぎません。再使用以降の法政策がかなり詳細に規定されているのと比べると、かなり見劣りがします。出口がいくらしっかりしていても、入口が無尽蔵では、効果は現状維持がよいところでしょう。
 発生抑制を実現するためには、商品の設計、流通などの過程における何らかの規制が不可欠です。現状のかけ声だけの発生抑制策では、現実の効果は望めません。商品の設計、流通過程での規制には、環境省単独では無理があり、経済産業省等との調整が必要となります。まさしく、経済と環境の共存、折り合いをどこでつけるのか、という議論なくしては前に進まない課題であると言えます。この点についての政策検討はまだ着手されておらず、今後のスケジュールのなかで是非検討していただきたい項目である思います。

2.廃棄物処理法の問題 ― マーケットの視点を含めた改革の必要性
 循環型社会形成のための法体系のなかでは廃棄物処理法の制定が最も古く(1970年)、そのため個別法を制定・改正する際には必ず廃棄物処理法との整合性が問題となります。廃棄物であるかどうか、廃棄物であるとしたら保管・輸送・処分は廃棄物処理法の許可はどうするのか、などです。
 端的な例でいうと、建前上、リサイクルショップなどが各家庭から不要物を無償もしくは廉価で譲り受け、それを運送費をとって運搬する場合、輸送費-購入代金がプラスとなれば、それは廃棄物であり、運搬には一般廃棄物収集運搬業の許可が必要となります。そうすると、許可なしに輸送するにはかなり低い料金で輸送をするか、購入代金を高く設定するかしかありません。結局、リサイクル商品としての価格も上がり、思ったような循環が生じなくなる可能性があります。
 廃棄物処理法が厳格なのは、不法投棄を抑止するためであり、これはこれで意義のある政策であると思いますが、マーケットの世界で循環型社会を実現するためには、大きな足枷となっていることも事実です。それゆえ、広域認定制度や個別リサイクル法における廃棄物処理法の許可の適用除外などの措置がとられているのが現状です。
 廃棄物処理法は循環基本計画において、2008年以降に見直しがなされる予定となっています。その際には、廃棄物処理法の権益を守ることに終始するのではなく、マーケットにおける矛盾点などをつぶさに点検し、実りのある改革議論がなされることを期待したいと思います。

3.パラダイムの変換 ― 一人ひとりの意識変化が重要
 『大量生産、大量消費の時代は終焉させなければならない。なぜなら、資源は有限であり、人類の創生した技術は、環境を破壊する諸刃の刃であるからだ』という意見がある一方、『新たな技術開発こそが現代及び将来の課題を解決する。だからこそ、軽微な環境負荷には目をつぶるべきだ』という意見があります。どちらの意見にも説得力がありますが、後者の意見にはリスクが残ります。
 循環型社会を形成していくには、個人一人ひとりの意識によるところが大きいと言わざるをえません。自分だけはよいだろう、これだけなら問題ない、設けたぶんで何かを還元すればよいだろう・・・。結局のところ、循環型社会の成熟度は、その国家の成熟度と合致するものであると言えるのではないでしょうか。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」の制定及び意見募集(パブリックコメント)の実施結果について
平成18年度第2回自然再生専門家会議 議事概要及び会議録
公害防止ガイドラインフォローアップ会合(第1回)の開催について
「平成19年度 容器包装3R推進環境大臣賞」及び「平成19年度わたしがつくったマイバッグ環境大臣賞」の受賞者による発表会の開催について
水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改正案に対する意見の募集について

経済産業省
「公害防止ガイドラインフォローアップ会合(仮称)」第1回の開催について
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令について
鉱工業生産・出荷・在庫指数速報(平成19年9月分)
資源・エネルギー統計速報(平成19年9月分)
機械統計速報(平成19年9月分)
化学工業統計速報(平成19年9月分)
窯業・建材統計速報(平成19年9月分)
繊維・生活用品統計速報(平成19年9月分)
紙・パルプ・プラスチック製品・ゴム製品統計速報(平成19年9月分)
鉄鋼・非鉄金属製品・金属製品統計速報(平成19年9月分)

国土交通省
社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会環境部会第6回合同会議の開催について
地域が有する歴史的、文化的、人的つながりを含む“ゆかり”事例集について
平成18年度住宅着工統計による再建築状況の概要

資源エネルギー庁
省エネ設備投資補助事業の助成対象決定について-エネルギー使用合理化事業者支援事業二次募集分助成決定

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月15日から10月21日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.10.21
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月15日から10月21日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.10.21