環境法令ウオッチング

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3R推進月間特集 ⑨容器包装リサイクル法 その1 制定から2006年改正まで

2007-10-09 05:30:13 | リデュース・リユース・リサイクル
2007年10月9日 
 3R推進月間特集第9回からは、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)についてみていきます。

1.制定経緯
 容器包装リサイクル法は、1995年6月に制定されました。いわゆる個別リサイクル法のなかでは最も古い法律ということになります。容器包装リサイクル法が制定された当時は、ライフスタイルの多様化や消費意識の変化等に伴い、一般廃棄物の排出量の増大・最終処分場の残余年数の逼迫が社会問題化していました。とくに1993年のリサイクル率をみてみると、産業廃棄物が39%、一般廃棄物が8%となっており(厚生省(当時)調査)、一般廃棄物に占める割合が容積比で約6割に達する容器包装廃棄物を対象に、資源として有効利用を進め廃棄物の減量を目的とする法制化が検討されることとなりました。
 産業廃棄物と一般廃棄物のリサイクル率の相違の原因は、その処理責任の主体にある、というのが当時の有力な見方でした。そのため、容器包装リサイクル法では、市町村のみが全面的に容器包装廃棄物の処理の責任を担うという従来の考え方を改め、消費者は分別排出、市町村は分別収集、事業者は再商品化という新たな役割分担の下でリサイクルを推進しようとする仕組がとられることとなりました。
 容器包装リサイクル法は、1998年4月からガラス製容器、飲料又はしょうゆを充填するためのペットボトル、飲料用紙パック(アルミニウムが利用されているものを除く)、等を対象として施行され、2000年4月からこれらの容器包装に加えて、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装及び飲料用紙パック以外の紙製容器包装を新たに対象とするとともに、特定事業者の範囲も拡大されています。

2.2006年改正
 容器包装リサイクル法では、法律の施行後10年を経過した場合において施行状況について検討を加えることとされおり、これを踏まえて、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会において、容器包装リサイクル制度に関する拡大審議として2004年7月から容器包装リサイクル法の評価・検討が進められ、産業構造審議会との合同会合を含めて29回にわたる審議が行われています。その結果として、2006年1月23日の産業構造審議会との合同会合において、『容器包装リサイクル制度見直しに係る最終取りまとめ案』が審議され、パブリックコメントの募集・精査を経て、2月22日に『今後の容器包装リサイクル制度の在り方について(意見具申)』が中央環境審議会会長から環境大臣に意見具申されました。
 本意見具申では、現行の容器包装リサイクル制度の評価と課題を踏まえ、循環型社会形成推進基本法における3R推進の基本原則に則った循環型社会構築の推進等を基本的方向とし、これに沿って、①発生抑制及び再使用の推進、②分別収集・選別保管の在り方、③再商品化手法の見直し、④その他の論点の4つの論点について、容器包装リサイクル制度の見直しに係る具体的な施策案が提言されています。
 改正容器包装リサイクル法は、上記の論点を踏まえて次のように構成されています。
(1)容器包装廃棄物の排出抑制の促進
①消費者の意識向上・事業者との連携の促進
 環境大臣が「容器包装廃棄物排出抑制推進員」を委嘱。推進員は、排出の状況や排出抑制の取組の調査、消費者への指導・助言等を行う。
②事業者に対する排出抑制を促進するための措置の導入
 小売業等について、「事業者の判断の基準となるべき事項」を主務大臣が定めるとともに、一定量以上の容器包装を利用する事業者に対し、取組状況の報告を義務付け、取組が著しく不十分な場合は勧告・公表・命令を行う措置を導入する。

(2)事業者が市町村に資金を拠出する仕組みの創設
 事業者が、再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して算定される額の資金を市町村に拠出する仕組みを創設する。

(3)その他の措置
①再商品化の義務を果たさない事業者に対する罰則の強化
 再商品化の義務を果たさない事業者(いわゆる「ただ乗り事業者」)に対する罰則を強化する。
②円滑な再商品化に向けた国の方針の明確化
 廃ペットボトルの国外への流出等にかんがみ、「再商品化のための円滑な引渡し等に係る事項」を基本方針に定める事項に追加して国の方針を明らかにする。

 上記改正法は、2006年3月10日に閣議決定、6月5日に公布され、2007年4月1日(一部、2008年4月1日から。下記参照)から施行されています。

○2007年4月1日に施行されたもの
(1)プラスチック製容器包装の再商品化手法(熱回収)(法第2条第8項)【政令】
 容器リサイクル法では、燃料以外の製品への再商品化を原則としており、燃料として利用される製品については、政令で定めるものに限定している。この燃料として利用される製品に、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装に係る分別基準適合物を圧縮又は破砕することにより均質にし、かつ、一定の形状に成形したもの(固形燃料等)を追加。

(2)基本方針の改定(法第3条第1項)【告示】
 今回の法改正で基本方針に係る規定が追加されており、この規定は法律の公布後6か月以内に政令で定める日から施行される。これを受け、基本方針を改定し、改正法に新たに規定された「分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡しその他の適正な処理に関する事項」や排出抑制に係る規定を追加。

(3)事業者の判断の基準となるべき事項(法第7条の4から法第7条の7まで)【政令・省令】
 改正法のうち、事業者の判断の基準となるべき事項に係る規定が2007年4月1日から施行されることを受け、
① 法第7条の4第1項に規定する、容器包装の使用の合理化を行うことが特に必要な業種として、「各種商品小売業、飲食料品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、自動車部分品・附属品小売業、家具・じゅう器・機械器具小売業、医薬品・化粧品小売業、書籍・文房具小売業、スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業及びたばこ・喫煙具専門小売業」を指定(政令)
② 法第7条の6に規定する、容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために必要な措置の実施の状況に関して定期の報告が必要となる指定容器包装利用事業者の要件として、「当該年度の前年度における容器包装の使用量が50トン以上であること」を規定(政令)
③ 法第7条の4に規定する、容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために取り組むべき措置に関する基準を規定(省令)

(4)その他
① みりん風調味料・めんつゆ等を充てんするペットボトルに係る容器包装区分(法第2条第7項)【省令】
めんつゆ・みりん風調味料等を充てんするペットボトルに係る容器包装区分について、従来の「プラスチック容器包装(ペットボトルを除く)」から「ペットボトル」に変更。          
② 認定に係る自主回収の実施状況について主務大臣へ報告すべき事項(法第18 条第3項)【省令】
認定に係る自主回収の実施状況について主務大臣へ報告は、毎事業年度終了後三月以内に、自主回収の認定を受けた特定容器又は特定包装ごとに、次に掲げる事項について行うものとする。
①認定に係る特定容器若しくは特定包装を用いた量又は認定に係る特定容器を販売した量
②認定に係る特定容器又は特定包装を自ら回収し、又は他の者に委託して回収した量。

○2008年4月1日施行予定のもの
(1)事業者から市町村に対する資金の拠出(法第10 条の2)
① 再商品化に要すると見込まれた費用の総額(省令)
法第10条の2の再商品化に要すると見込まれた費用の総額は、特定分別基準適合物ごとに、その再商品化の手法ごとに毎年度における(A)に掲げる量に(B)に掲げる単価
を乗じて得た額を合算して得られる額とする。
(A) 指定法人又は認定特定事業者が市町村から引渡しの申込みを受けた特定分別基準適合物の年度ごとの量(いわゆる想定量)
(B) 特定分別基準適合物の再商品化の手法ごとに過去一定年間における平均単価を基礎として主務大臣が定める再商品化単価(いわゆる想定単価)

② 各市町村の再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して算定される額(省令) 等
法第10条の2の各市町村の再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して主務省令で定めるところにより算定される額は、特定分別基準適合物ごとに、再商品化に要すると見込まれた費用の総額から再商品化に現に要した費用の総額を控除して得られる額の2分の1の額に、各市町村ごとにそれぞれ(A)及び(B)に掲げる率を乗じて得た額を合算して得られる額とする。
(A) 当該各市町村が、その分別収集により分別基準適合物の品質の向上を通じた再商品化の合理化に寄与すると認められる市町村として主務大臣が定めるものに該当する場合にあっては、当該各市町村から引渡しを受けた特定分別基準適合物の量をこれらの各市町村から引渡しを受けた特定分別基準適合物の量を合算して得た量で除して得られる率に0.5を乗じて得た率
(B) 当該各市町村ごとに(a)に掲げる額から(b)に掲げる額を控除して得た額(当該額が零以下である場合は零)を算定し、当該額をこれらの各市町村ごとに算定した額を合算して得た額で除して得られる率に0.5を乗じて得た率
(a) 特定分別基準適合物ごとに、その再商品化の手法ごとに毎年度における指定法人又は認定特定事業者が当該各市町村から引渡しを受けた特定分別基準適合物の年度ごとの量に2.(2)に掲げる単価を乗じて得た額を合算して得られる額
(b) 特定分別基準適合物ごとに、毎年度における指定法人又は認定特定事業者が当該各市町村から引渡しを受けた特定分別基準適合物の再商品化に必要な行為に現に要した費用(指定法人又は認定特定事業者が当該行為の全部又は一部を委託した場合にあっては、当該委託に係る費用を含む。)の額

③ 各市町村に対する金銭の支払の期限
指定法人又は認定特定事業者は法第10条の2の規定により各市町村に対して金銭を支払うときは、各市町村から特定分別基準適合物の引渡しを受けた年度の次年度の9月末日までに当該各市町村に対して金銭を支払わなければならないこととする。

(2)その他
① きめ細かいプラスチック製の容器包装廃棄物の分別収集
② リターナブルびんの市町村による分別収集 等

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