環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

号外 地球温暖化法、現行の国別登録簿システムの利用停止及び国別登録簿利用規程の廃止へ

2006-10-31 06:34:07 | 地球温暖化
2006年10月31日号外
 環境省及び経済産業省は、平成17年2月16日、京都議定書及びマラケシュ合意に基づくクレジットの保有、移転等を管理する国別登録簿の利用方法等を「国別登録簿利用規程」として定めるとともに、これに基づき国別登録簿の運用を行ってきました。しかし、「国別登録簿利用規程」は、気候変動に関する国際連合枠組条約事務局が開発中の国際取引ログ(ITL)との接続試験に対応するため、平成18年11月30日をもってシステムの利用を停止し、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成18年法律第57号)の成立に伴い、廃止されることとなりました。なお、国別登録簿は、改正法の施行(来年度までに施行することを予定)を受けて、割当量口座簿として運用が開始されます。これにより、国別登録簿利用規程に基づく新たな保有口座の開設の申請ができなくなります。
 また、国別登録簿は、改正法の施行(来年度までに施行することを予定)及び気候変動に関する国際連合枠組条約事務局の登録簿システムの運用開始を受け、割当量口座簿として運用を開始することとなります。このため、今般国別登録簿利用規程を廃止することとし、国別登録簿利用規程に基づき既に口座の開設を受けている口座開設者の保有口座は廃止するため、割当量口座簿の運用開始の際には、国別登録簿利用規程に基づく口座開設者も、改正法の定めに従い、改めて口座開設の申請を行うことが必要となります。なお、口座開設手続を始めとした割当量口座簿の運用の在り方については、年度内を目途に明らかにされる予定です。

【官報ウオッチング】
号外第249号
〔告示〕
動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(環境省告示第140号)
 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第5条第1項の規定に基づき、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針が次のように定められた。
第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方
第2 今後の施策展開の方向
1 基本的視点
(1)国民的な動物の愛護及び管理に関する活動の盛り上げ
(2)長期的視点からの総合的・体系的アプローチ
(3)関係者間の協働関係の構築
(4)施策の実行を支える基盤の整備
2 施策別の取組
(1)普及啓発
(2)適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保
(3)動物による危害や迷惑問題の防止
(4)所有明示(個体識別)措置の推進
(5)動物取扱業の適正化
(6)実験動物の適正な取扱いの推進
(7)産業動物の適正な取扱いの推進
(8)災害時対策
(9)人材育成
(10)調査研究の推進
第3 動物愛護管理推進計画の策定に関する事項
1 計画策定の目的
2 計画期間
3 対象地域
4 計画の記載項目
5 策定及び実行
(1)多様な意見の集約及び合意形成の確保
(2)関係地方公共団体との協議
(3)計画の公表等
(4) 実施計画の作成
(5)点検及び見直し
第4 動物愛護管理基本指針の点検及び見直し

【行政情報ウオッチング】
環境省
国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)総会の結果について
環境技術開発等推進費における平成19年度の新規課題募集について
中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会第3回会合の開催について

経済産業省
新システムへの移行に向けた、現行の国別登録簿システムの利用停止及び国別登録簿利用規程の廃止について
第18回地域経済産業調査(拡大経済産業局長会議)
鉱工業生産・出荷・在庫指数速報(平成18年9月分)
資源・エネルギー統計速報(平成18年9月分)
機械統計速報(平成18年9月分)
化学工業統計速報(平成18年9月分)
窯業・建材統計速報(平成18年9月分)
繊維・生活用品統計速報(平成18年9月分)
紙・パルプ・プラスチック製品・ゴム製品統計速報(平成18年9月分)
鉄鋼・非鉄金属製品・金属製品統計速報(平成18年9月分)

国土交通省
エコドライブ推進月間について~地球と財布にやさしいエコドライブを始めよう~

厚生労働省
アスベスト(石綿)情報
石綿業務に従事した離職者に対する無料健康診断事業

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「テーマ別環境法令主要改正解説」を追加しました/2006.10.28
◆「環境法令管理室」に「10月23日から10月29日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2006.10.28
◆「環境法令管理室」に「10月23日から10月29日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.10.28

※本号で、廃棄物処理法にみる行政処分と刑事処分の最終回 ⑤防御機会の手続 事後手続行政不服審査法、行政事件訴訟法 を掲載しておりますので、そちらもお読みください。

廃棄物処理法にみる行政処分と刑事処分 ⑤防御機会の手続 事後手続行政不服審査法、行政事件訴訟法

2006-10-31 06:33:19 | 業務日誌
2006年10月31日
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)にみる行政処分と刑事処分最終回は、防御機会の事後手続について整理をしていきます。事後手続とは、一度発出された行政処分を取消すための救済手続です。救済法としては、行政による行政不服審査法と、司法による行政事件訴訟法が用意されています。これらの手続は、どちらが先でも、また同時に提起することも可能です。

2.行政不服審査法
(1)異議申立てと審査請求
 具体的な行政処分が発出されると、不服申立て先及び期日が教示されます。処分内容に不服の場合は、この教示に基づき、行政不服審査法による救済を求めることになります。行政不服審査法による不服申立てには、①異議申立て(もう一度処分庁に求めるもの)、②審査請求(処分庁の上級庁に求めるもの)、があります。不服申立ては、書面審理方式で行われ、審理中は発出された行政処分の執行が停止されることは、原則としてありません。なお、行政手続法による聴聞手続を経ている場合は、①の異議申立てをすることはできません。

(2)審理方法等
 不服申立てをするには有効な期限が定められており、行政処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に不服申立てをしない場合は、原則として不服申立てをすることは不可能となります。また、処分があった翌日から起算して1年を経過したときも原則として、不服申立てをすることはできなくなります。
 不服申立ては、事前手続と同様に代理人によって行うことができ、利害関係人も審査庁の許可を得て、参加することが可能です。また、審理は書面によって行います。ただし、審査庁は、審査請求人等から申立てがあった場合には、口頭で意見を述べる機会を与えなければなりません。なお、申立人または参加人は、証拠書類等を提出でき、審査庁は申立てまたは職権により、参考人の陳述、鑑定、書類その他の物件の提出を求め、必要な場所の検証等をすることが可能です。

(3)裁決・決定
 なお、行政処分が違法または不当であったとしても、行政処分を取消すことが公益に著しい障害を生ずる場合は、審査庁は請求を棄却することができます(事情裁決)。
 審査庁によって出された裁決(審査請求の場合)・決定(異議申立ての場合)は、一般の行政行為と同様に公定力・自力執行力・不可争力が生じるほか、裁決庁が自ら取消すことができない不可変更力が生じます。そのため、『裁決はその形式方法において判決に類似しているけれども、一つの行政処分であるから、違法があれば裁決庁自らにおいて取消すことができると解すべきだと主張する。しかし、本件裁決は、○○農地委員会が立てた農地の買収計画に対し被上告人が申立てた異議の却下決定に対し、一旦なされた被上告人の主張を認める裁決を取消したものである。この裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。憲法76条2項後段によれば、「行政機関は、終審として裁判を行うことができない」のであつて、終審としては、裁判所が裁判を行うが、行政機関をして前審として裁判を行わしめることは、何等差支えないのである。本件裁決のごときは、行政機関である上告人が実質的には裁判を行つているのであるが、行政機関がするのであるから行政処分に属するわけである。かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする。(最高一小判・昭和29年1月29日・昭和25(オ)354)』とされています。

3.行政事件訴訟法
(1)行政事件訴訟法の訴訟類型
 行政処分の取消しを求める最終ラウンドは、裁判による決着となります。行政事件訴訟法行政不服審査法同様、提訴までの有効期間が規定されており、原則として、処分または裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは、もはや提起することはできません。また、原則として、処分または裁決があった日から起算して1年を経過したときも提起することはできなくなります。行政不服審査法と異なり、起算日に初日が含まれていることに注意する必要があります。
 また、行政事件訴訟法は、裁判所による法律判断を下すものですので、行政不服審査法による不服申立てと異なり、対審構造(原告・被告)による口頭弁論主義によって審理されることとなります。行政事件訴訟法では、訴訟の種類として、①抗告訴訟(行政処分の取消し等の訴訟)、②当事者訴訟(土地収用の際の当事者同士の訴訟等)、③民衆訴訟(一般選挙人による選挙無効の訴訟等)、④機関訴訟(国または地方公共団体間の訴訟)、の4つが定められています。廃棄物処理法における行政処分との関係では、①抗告訴訟が重要となります。

(2)抗告訴訟(行政事件訴訟法第3条)
 抗告訴訟とは、『行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう』とされ、以下の6つの種類により構成されています。
①処分の取消しの訴え(行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟)
②裁決の取消しの訴え(行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しを求める訴訟)
③無効等確認の訴え(処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟)
④不作為の違法確認の訴え(許認可申請等に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟)
⑤義務付けの訴え(行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟)
⑥差止めの訴え(行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟
 上記のうち、①処分の取消しの訴え、②裁決の取消しの訴え、を取消訴訟といいます(また、上記に属さない法定外の無名抗告訴訟もある)。

(3)取消訴訟の審理
 取消訴訟が提起された場合、裁判はその訴えの訴訟要件を審理します(要件審理)。訴えの利益(勝訴した場合に、①法律上の利益が属する者か、②現実に利益の回復が得られる状態か)が認められない場合や形式的不備(提起期限がきれているなど)がある場合、補正が可能であれば補正を命ぜられ、補正が不可能であれば、この段階で不適当な訴えとして却下されることになります。
 訴えが要件を具備していれば、内容の当否の審理(本案審理)に移行します。本案審理は、対審構造(原告・被告)による口頭弁論主義によって審理されることとなります。また、当事者の主張・立証に関わらず裁判所は必要があるときは職権で証拠を調査することが可能です(職権主義)。
 行政不服審査法同様、訴訟中は原則として行政処分の執行は停止されません。しかし、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は申立てにより、決定をもって行政処分の全部または一部の執行を停止することができます(ただし、内閣総理大臣が異議を述べた場合は、停止不可。この場合、内閣総理大臣は、次の通常国会に報告義務あり)。

(4)判決
 行政事件訴訟法においても、行政処分が違法または不当であったとしても、行政処分を取消すことが公益に著しい障害を生ずる場合は、裁判所は請求を棄却することができます(事情判決)。
 取消訴訟の判決には、①判決内容に反する主張は不可とされる既判力、②処分・裁決が遡及的に執行する形成力、③判決の趣旨に従った行動が求められる拘束力、が備えられます。

 なお、最近の廃棄物処理法関連の裁判例では、元役員が道路交通法違反(飲酒運転)で懲役5月執行猶予3年の有罪判決を受けたことが、廃棄物処理法第14条の3の2第1条第1項に規定する欠格要件に該当するとして、2004年11月に埼玉県から業許可を取り消された茨城県の元産廃収運業者が、埼玉県知事を相手取り処分の取消を求めた訴訟の判決が3月22日、さいたま地裁でありましたが、廃棄物処理法の厳格な欠格要件の規定も法の範囲内とされ、行政処分が取消されることはありませんでした。

※官報ウオッチング以下は、号外で掲載します。