環境法令ウオッチング

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3R推進月間⑮ 自動車リサイクル法 その3 費用負担、電子マニフェスト

2006-10-15 09:59:59 | リデュース・リユース・リサイクル
2006年10月15日
 3R推進月間特集も早いものでもう15回目となりました。当初は1週間程度の予定だったのですが、気がつくと既に半月もの長期連載となってしまいました。あと数回の予定ですので、ご了承ください。というわけで、本日は自動車リサイクル法その3 費用負担、電子マニフェストです。
 
3.リサイクルに必要な費用について
(1)費用負担方法
①使用済自動車のリサイクル(フロン類の回収・破壊並びにエアバッグ類及びシュレッダーダストのリサイクル)に要する費用に関し、自動車の所有者(自動車を所有する法人も含まれる)にリサイクル料金の負担を求める。各事業者や最終所有者間での使用済自動車の引取・引渡の際の対価の額については、当事者間で決定される。

②リサイクル料金の負担の時点は、自動車が不法投棄された場合の環境負荷の大きさや、徴収コスト、負担感等を勘案して次のとおり。
□制度施行後販売される自動車については、新車販売時
□制度施行時の既販車については、最初の車検時まで(当初3年間)
□登録・車検を受けることのない構内車等は、使用済となって引取業者に引き渡すときまで
自動車登録ファイルへの登録又は自動車検査証の交付・返付を受けようとする者は、国土交通大臣等に対して、リサイクル料金が預託されていることを証する預託証明書を提示しなければならない。国土交通大臣等は、預託証明書の提示がないときは、自動車登録ファイルへの登録又は自動車検査証の交付・返付をしないものとする。

③リサイクル料金は予め各自動車製造業者等(輸入業者も対象であることに留意)が定め、公表(リサイクル料金の額は、自動車の大きさや素材の違い等により車種によって変わり得るもの)。これにより自動車製造業者等間の競争が生じ、リサイクル容易な自動車の設計・製造やリサイクル料金の低減が図られることを想定。不適切な料金設定に対しては国が是正を勧告・命令。
あらかじめ支払われたリサイクル料金は、中古車として転売する際には、中古車の本体価格に上乗せされ、次の所有者に引き継がれる実務を想定。このため、国内でリサイクルを行う蓋然性のない中古車輸出の場合には、最終所有者(輸出業者を想定)の申請に応じてリサイクル料金を返還する(確実に中古車輸出されたことを明らかにする証拠が必要)。
中古車輸出の場合には、併せて改正道路運送車両法の輸出抹消手続が必要であることにも留意。

(2)費用管理方法
①自動車製造業者等の倒産・解散による滅失等を防ぐため、リサイクル料金は資金管理法人(第三者機関として指定:財団法人自動車リサイクルセンター)が管理。自動車製造業者等はシュレッダーダスト等のリサイクルにあたり料金の払渡しを請求できることとする。
自動車製造業者等は、解体業者又は破砕前処理業者(精緻な解体等を行うことを前提)に委託して国内の解体自動車全部利用者(電炉事業者等を想定)に引き渡して解体自動車の全部再資源化を行う場合(自動車製造業者等、解体業者、破砕前処理業者、電炉業者等の協同を想定)には、経済産業・環境両大臣の認定を受けることができる。この場合シュレッダーダストを発生させないことになるため、自動車製造業者等は直接シュレッダーダストの処理自体は行わないにもかかわらず、シュレッダーダストに係るリサイクル料金の払渡しを請求することができる(全部再資源化認定スキーム)。
②資金管理法人の裁量権は最小限に抑え、高い透明性・公開性を確保することが大前提。
□資金運用方法の制限、区分経理、消費者代表・学識経験者から成る「資金管理業務諮問委員会」の設置を法定
□監査法人による外部監査を義務付け
□情報公開として事業報告、決算等の公表を法定することに加え、定期的(1年に複数回)に財務状況を公表

(3)余金の扱い
リサイクル料金のうち、輸出中古車につき返還請求がない場合、廃車ガラ輸出によりシュレッダーダストの処理が不要となった場合等に剰余金の発生が見込まれる。この剰余金の使途については、不法投棄対策、離島対策及びユーザー負担の軽減に活用すべく法律で以下のとおり限定。
①不法投棄、野積み対応
 廃棄物処理法の措置命令により原因者等の責任を追求の上、自治体が代執行を行った場合、当該自治体に対し資金協力。
路上放棄車については、市町村が代執行によらず処理している事案もあることから、自動車工業会をはじめとした自動車関係業界で構成する「路上放棄車処理協力会」による市町村への資金協力のシステムは存続。

②離島対応
 市町村が実施する共同搬出等の取組に対する資金協力。

③リサイクル料金の安全確実な管理等に必要なコストに充当(自動車の所有者に広く薄く求める負担の軽減)

④なお一定金額以上の剰余金がある場合、将来ユーザーのリサイクル料金を割引。

4.電子マニフェスト制度(情報管理システム)の導入
①電子マニフェスト(移動報告)制度を導入し、使用済自動車が各段階の事業者間で適切に引取り・引渡しされていることを確認できる情報管理システムを構築。

②具体的には、登録・許可を得ている各関係業者が使用済自動車等の引取り・引渡しを行った際、一定期間内にその旨を情報管理センター(第三者機関として指定:既存の公益法人の活用を想定。)に報告する制度(車台番号がキー概念)とし、情報管理センターがマニフェスト情報を一元的に管理。

③情報管理センターへの関係事業者からの報告は、可能な限り簡便なものとしつつ、原則パソコン等による電子情報で対応することとする。
例外的に電子情報化対応できない業者について、代行入力に必要な費用にあてる。料金負担を前提に紙での報告も可能とするものの、各事業者の事務の効率性に鑑みれば電子情報での対応に利便性があると考えられる。

④情報管理センターへの報告が一定期間内に行われなかった場合、情報管理センターは最後の報告を行った業者に通知し、状況確認を求める。さらに一定期間内に報告がない場合、その旨を登録・許可権者である都道府県知事又は保健所設置市の市長に報告することにより、適正な引取り・引渡しを担保。また、マニフェスト報告の情報は、自動車製造業者等へのリサイクル料金の払渡しを行うための確認としても必須のもの。

5.2006年施行規則の改正(経済産業省・環境省令第9号/平成14年経済産業省環境省令第7号の一部改正)
(1) 自動車製造事業者等の再資源化の認定の申請、引取業者及びフロン類回収業者(引取業者等」)の登録の申請並びに解体業者及び破砕業者の許可の申請等に係る提出書類について、下記の2点が加えられました。

①標記の申請(変更の許可又は届出の場合を含む。)を受けた都道府県等が、使用済自動車の再資源化等に関する法律第127条に基づき、申請者の本籍がある市町村に対し、当該申請者の欠格要件に該当する事由の有無の照会を行うことができるよう、申請時の提出書類の一つである住民票の写しについて、本籍の記載を要することを明確化すること

②上記①と同様の理由から、引取業者等が行う登録の申請又は変更の届出の際に、引取業者等が法人である場合において、関係する役員の住民票の写しの提出を新たに求めることとすること
 

(2) 「再資源化預託金等の取戻し(則第76条)」に際しての添付書類について  再資源化預託金等の取戻し(法第78条第1項)について、省令第76条第2項で規定する添付書類として、これまで規定していた船荷証券の写しに代わるものとして、当該自動車の船舶による運送契約に関する書類(当該自動車の車台番号の記載のあるものに限る。)も認めることとされました。

(3)公布・施行
 本改正は、2006年9月29日に公布され、2006年10月1日から施行されています。

※明日は、自動車リサイクル法の枠外の課題-廃タイヤ、廃バッテリーをお届けします。

【官報ウオッチオング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
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【判例情報ウオッチング】
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ISO14001
◆「環境法令管理室」に「10月9日から10月15日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2006.10.14
◆「環境法令管理室」に「10月9日から10月15日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.10.14