環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

3R推進月間特集 ⑩建設リサイクル法 その1 制度の概要

2006-10-10 07:40:07 | リデュース・リユース・リサイクル
2006年10月10日 
 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)は、2000年5月に第3番目の個別リサイクル法として制定されました。
 建設工事に伴って廃棄されるコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の建設廃棄物は、産業廃棄物全体の排出量の約2割、最終処分量の約4割を占め、また不法投棄量の約9割を占めています。さらに、高度成長期の建築物が更新期を迎え、今後建設廃棄物の排出量の増大が予測されます。この解決策として、資源の有効な利用を確保する観点から、これらの廃棄物について再資源化を実施することは、循環型社会を構築していくに際し、重要な政策課題であったといえます。
 建設リサイクル法では、特定建設資材(コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート)を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことが義務付けられています。
 また、対象建設工事の実施に当たっては、工事着手の7日前までに発注者から都道府県知事に対して分別解体等の計画等を届け出ることを義務付けたほか、対象建設工事の請負契約の締結に当たっては、解体工事に要する費用や再資源化等に要する費用を明記することを義務付けるなどの手続関係も整備されています。
 さらに、適正な解体工事の実施を確保する観点から解体工事業者の都道府県知事への登録制度が創設された他、建設廃棄物のリサイクルを促進するため、主務大臣が基本方針を定めることが規定されていました。これに基づき2001年1月17日に基本方針が定められ、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に当たっての基本理念、関係者の役割、基本的方向などを定めるとともに、特定建設資材廃棄物の2010年度の再資源化等率を95%とする等の目標が掲げられています。

建設リサイクル法の概要
1.分別解体等及び再資源化等の義務付け
(1)分別解体等の実施義務
□特定建設資材:コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート
□特定建設資材廃棄物:特定建設資材が廃棄物となったもの
特定建設資材を用いた建築物等の解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が一定基準以上のもの=対象建設工事の受注者又は自主施工者は、正当な理由がある場合を除き、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保するための適切な施工方法に関する基準に従って、分別解体等をしなければならない、とされています(なお、都道府県が条例により、さらに厳しい基準を定めることができる)。
このうち木材については、リサイクル率が低迷している現状にある上、再資源化施設も地域的に偏在しているなどの問題があるため、焼却・脱水等による縮減を行うことが認められています。

①対象建設工事の規模の基準
□建築物の解体工事では床面積80平方メートル以上
□建築物の新築又は増築の工事では床面積500平方メートル以上
□建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上
□建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上
上記の基準によると、工事件数(棟数)ベースで約65%が対象建設工事となり、9 1%程度の建設廃棄物が本法の義務付けによって再資源化等されることになります。

②分別解体等の施工方法に関する基準
□対象建設工事に係る建築物等に関する事前調査(作業場所、搬出経路の確認等)の実施
□分別解体等の計画の作成
□事前措置(作業場所、搬出経路の確保等)の実施
□工事施工
(解体工事(建築物)の作業手順)
□設備、内装材の取外し
□屋根ふき材の取外し
□外装材、本体の取壊し
□基礎の取壊し
(解体工事に係る分別解体等の方法)
□手作業
□手作業・機械作業の併用
のいずれか。機械作業のみによる解体は原則認めない。

(2)再資源化等の実施義務
 対象建設工事の受注者は、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化をしなければなりません。ただし、指定建設資材廃棄物=廃木材については、工事現場から一定の距離(距離基準)内に再資源化施設がない場合や、再資源化をすることには相当程度に経済性の面での制約がある場合には、縮減で足りることとされています(分別解体等の規模に関する基準の場合と同様、都道府県は条例により、距離基準より厳しい基準を定めることができる)。
①距離に関する基準等
 再資源化施設までの距離基準については、できるだけ多くの建設廃棄物をリサイクルすること、再資源化施設の配置の現状等を考慮し、50kmをその基準とし、この範囲内に再資源化施設がない場合には、縮減で足りることとされました。また、工事現場付近から再資源化施設まで廃木材を運搬する道路が未整備のため、焼却施設までの運搬費用が再資源化施設までの費用より安価な場合も縮減で足ります。

2.分別解体等及び再資源化等の実施を確保するための措置
 建設工事における発注者の役割の重要性を考慮し、対象建設工事の発注者に、工事に着手する日の7日前までに分別解体等の計画等を都道府県知事に届け出ることを義務付けられています。また、都道府県知事は、その計画が、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを適切に確保するための施工方法に関する基準に適合しないと認めるときは、発注者に対し分別解体等の計画の変更その他必要な措置を講ずることを命ずることができます。
(1)対象建設工事の届出に関する事項
 届出内容として建設リサイクル法に規定されている事項は、解体工事の場合は解体する建築物等の構造、新築工事の場合は使用する特定建設資材の種類、工事着手時期と工程の概要、分別解体計画、解体建築物等に用いられた建設資材の量の見込み、その他省令で定める事項となっており、届出内容の詳細は省令で定められています。
(主な具体的な届出事項)
□届出者に関する事項(氏名・住所等)
□元請業者に関する事項(名称、所在地、建設業許可又は解体工事業登録に関する情報、技術者に関する情報等)、
□対象建設工事に関する事項(施工場所、建築物・工作物の別、解体工事・新築工事等の別、工事規模等)
□工事の内容に関する事項(解体工事の場合は解体する建築物等の構造、新築工事等の場合は使用する特定建設資材の種類等)
□分別解体等の適正な実施に関する事項(事前調査の内容、分別解体等の計画、建設資材(廃棄物)の量の見込み、工事手順と手段等)

(2)受注者から発注者への説明等
□元請業者(受注者)から発注者への書面による分別解体等の計画等の必要事項の説明
□元請業者(受注者)から下請業者への発注者が届け出た事項の報告
□請負契約の当事者による契約書への解体工事・再資源化等に要する費用等の明記(契約締結時)
□再資源化等が完了後の元請業者による再資源化等が完了した年月日、再資源化等をした施設の名称・所在地等の発注者への書面による報告
□再資源化等が完了後の元請業者による再資源化等の実施状況に関する記録の作成・保存
□再資源化等が適正に行われなかったと認めるときの発注者による都道府県知事への申告

(3)解体工事業者の登録
 解体工事業を営もうとする者は、請け負おうとする解体工事の規模や額にかかわらず、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない、とされています(土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業のうちいずれかの建設業許可を受けている建設業者は登録不要)。
 登録に当たっては、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる技術管理者を選任しなければならないほか、解体工事を施工するときは、技術管理者にその工事の施工に従事する者の監督をさせなければなりません。また、営業所及び工事現場ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならないほか、営業所ごとに帳簿を備え保存しなければならない、とされています。

明日は、廃棄物処理法との関係を整理します。

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環境省
「悪臭防止法の手引き」

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