2006年10月29日
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)における行政処分は、報告徴収(法第18条)、立入検査(法第19条)による事実認定に基づいて、発出されます。この際、『行政処分の指針について(環廃産発第050812003号)』では、『行政処分を行うためには、違反行為の事実を行政庁として客観的に認定すれば足りるものであって、違反行為の認定に直接必要とされない行為者の主観的意思などの詳細な事実関係が不明であることを理由に行政処分を留保すべきでないこと。なお、事実認定を行う上では、法に基づく立入検査や報告徴収や関係機関との連携を積極的に活用し、事実関係を把握すること。』とし、客観的事実のみに従い行政処分を発出することを求めています。
許可の取消及び一部の措置命令を除く行政処分は、原則として再び適正に廃棄物処理を行うことを期待して出されるものと考えられます。許可取消という被処分者にとってこれ以上ない最悪の措置が規定されている以上、そこに該当しない行政処分が出されるということは、取消の手前で留めておこうとする意思が存在すると思料ことが自然だからです。
ここで、一つ疑問になるのが廃棄物処理法の罰則規定との関係です。たとえば、マニフェストの虚偽記載違反は、廃棄物処理法第29条によれば『6月以下の懲役又は50万円以下の罰金』と規定されています。一方、行政処分の基準を記した『廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3等に係る法定受託事務に関する処理基準について(環廃産発第050812002号)』では、30日の事業停止、とされています。もし、廃棄物処理法に違反して罰金以上の刑を受けることとなれば、法第14条第5項第2号イの欠格要件に該当し、許可は『取消さねばならない(法第15条の3)』ことになります。では、取消すことを前提として、わざわざ事業停止の行政処分を発出するのでしょうか? これでは取消に至らない行政処分の基準を規定した意味がまったくないとことなってしまいます。
ここで行政処分と刑事処分の関係を整理してみましょう。刑事処分は、告発というインプットを経て、公訴の提起、公訴せず、というアウトプットがだされるものです。その判断材料として、事業停止の行政処分を発出した行政庁が、行政処分に至る行為に不法投棄やその他の事件性との関連がある、という客観的事実を把握している場合は、その旨を捜査機関に対し告発することになります。
検察官は、この告発内容を調査し、公訴するかしないかを判断することになります。この際、第1回でも書いた通り、刑事訴訟法第248条によって、検察官は、『犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる』とされており、違反事実があったとしても、酌量される余地があるため、ここで公訴せず、と判断されれば行政処分による事業停止のみとなり、欠格要件該当による許可取消には至りません。一方、公訴を提起する、という刑事処分が発出されれば、舞台は裁判所へと移され司法へと判断が委ねられます。そして、罰金刑以上が確定すれば、許可取消しという行政処分が出されるということになります。
告発は、行政庁以外でも可能なため、刑事処分が先になされる場合もありえますが、ほとんどの場合は上記の『行政処分 ⇒ 刑事処分 ⇒ 行政処分』という流れで整理ができると思います。
※明日は、防御機会のための手続きについて整理します。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「テーマ別環境法令主要改正解説」を追加しました/2006.10.28
◆「環境法令管理室」に「10月23日から10月29日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2006.10.28
◆「環境法令管理室」に「10月23日から10月29日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.10.28
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)における行政処分は、報告徴収(法第18条)、立入検査(法第19条)による事実認定に基づいて、発出されます。この際、『行政処分の指針について(環廃産発第050812003号)』では、『行政処分を行うためには、違反行為の事実を行政庁として客観的に認定すれば足りるものであって、違反行為の認定に直接必要とされない行為者の主観的意思などの詳細な事実関係が不明であることを理由に行政処分を留保すべきでないこと。なお、事実認定を行う上では、法に基づく立入検査や報告徴収や関係機関との連携を積極的に活用し、事実関係を把握すること。』とし、客観的事実のみに従い行政処分を発出することを求めています。
許可の取消及び一部の措置命令を除く行政処分は、原則として再び適正に廃棄物処理を行うことを期待して出されるものと考えられます。許可取消という被処分者にとってこれ以上ない最悪の措置が規定されている以上、そこに該当しない行政処分が出されるということは、取消の手前で留めておこうとする意思が存在すると思料ことが自然だからです。
ここで、一つ疑問になるのが廃棄物処理法の罰則規定との関係です。たとえば、マニフェストの虚偽記載違反は、廃棄物処理法第29条によれば『6月以下の懲役又は50万円以下の罰金』と規定されています。一方、行政処分の基準を記した『廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3等に係る法定受託事務に関する処理基準について(環廃産発第050812002号)』では、30日の事業停止、とされています。もし、廃棄物処理法に違反して罰金以上の刑を受けることとなれば、法第14条第5項第2号イの欠格要件に該当し、許可は『取消さねばならない(法第15条の3)』ことになります。では、取消すことを前提として、わざわざ事業停止の行政処分を発出するのでしょうか? これでは取消に至らない行政処分の基準を規定した意味がまったくないとことなってしまいます。
ここで行政処分と刑事処分の関係を整理してみましょう。刑事処分は、告発というインプットを経て、公訴の提起、公訴せず、というアウトプットがだされるものです。その判断材料として、事業停止の行政処分を発出した行政庁が、行政処分に至る行為に不法投棄やその他の事件性との関連がある、という客観的事実を把握している場合は、その旨を捜査機関に対し告発することになります。
検察官は、この告発内容を調査し、公訴するかしないかを判断することになります。この際、第1回でも書いた通り、刑事訴訟法第248条によって、検察官は、『犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる』とされており、違反事実があったとしても、酌量される余地があるため、ここで公訴せず、と判断されれば行政処分による事業停止のみとなり、欠格要件該当による許可取消には至りません。一方、公訴を提起する、という刑事処分が発出されれば、舞台は裁判所へと移され司法へと判断が委ねられます。そして、罰金刑以上が確定すれば、許可取消しという行政処分が出されるということになります。
告発は、行政庁以外でも可能なため、刑事処分が先になされる場合もありえますが、ほとんどの場合は上記の『行政処分 ⇒ 刑事処分 ⇒ 行政処分』という流れで整理ができると思います。
※明日は、防御機会のための手続きについて整理します。
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「テーマ別環境法令主要改正解説」を追加しました/2006.10.28
◆「環境法令管理室」に「10月23日から10月29日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2006.10.28
◆「環境法令管理室」に「10月23日から10月29日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2006.10.28