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デザイナーの色メガネ

写真付きで日記や趣味を書く

朱夏

2007-08-03 23:26:42 | アート・文化

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遅ればせに関東も

梅雨が明けたらしい。

と、突然のこの暑さ。

その暑さをモノトモセズに

カンナが高々と咲いて

いる姿は実に立派だ。

これ、まさに朱夏の色。

朱夏とは五行思想では

朱色を夏に配するので、

夏をこう呼ぶそうだ。

(朱色が目に浮かぶ分、よけいに暑い気がするけれど)

メジャーなのが青春!そして白秋、玄冬。

これは青龍、朱雀、白虎、玄武という四方を司る

天の四神の色でもあるのだが、私は五行思想に

詳しくはないので、よくわからん。が、興味はある。

以前、台湾茶のロゴマークを制作したときのことだ。

Photo_47 ←コレデス。

依頼主のI 氏が、いい茶葉が手に

入ると、やって来られては

茶会を開いてくださった。

彼は台湾のナントカという茶道の師範で、茶を淹れ

ながら、五行思想の話などをゆったりとされるのだ。

たしか、四方の色が前述の4色で、真ん中が黄色。

黄色は太陽、君主を表すとか。

万物を組成する五つの気(火・水・土・木・金・)の

循環によって自然現象、社会現象を解釈するという

古来の哲理は、どんな思索から生まれたのだろう。

マネーに狂奔してる(らしい)今の中国からは、隔たり

がありすぎて奇妙だ。

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こちらはヒオウギスイセン→

えらそうに名前を書いているが、

ねじっこさんに教えていただくまで、

私はキツネノカミソリだと思っていた。

うん、この花も朱花(夏)ですな。

人間の目は赤系統に素早く反応するが、それは

きっと朝日の色だからだろう。

いにしえの人々は暗闇の中、どんなにか朝日の赤を

待ち焦がれことだろうと思うのだ。

海や山の端がぼんやりと明るみ、ついに姿を現す

赤い太陽を拝まずにはいられなかったにちがいない。

だから、きっとは、特別なのだ。

Img_5225 ←この花は、夏の初めに撮った

ザクロの花。

そういえば、夏の初めは首夏とも

いうから、「しゅか」と読みは同じなんだな。

赤といっても朱色の花ばかり取り上げたが、

Img_5531 さて、この花は紅色。

イルミネーションのように

写っているこの花は

なんでしょう。

といってもなあ…、

ここに来てくださる方は

花に詳しいから、即答!…だろうな。

私の好きな赤系の色は、蘇芳だ。


気になるんだ

2007-07-22 14:28:36 | アート・文化

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先週の雨の休日、探し物をしていたら懐かしいファイルが

出てきて、ひととき眺めて楽しんだ。

なんのファイルかというと、私が中学生のころから集めていた

新聞の切り抜き。

などと言うと、なにやら経済や社会情勢に詳しい中学生、

もしくは文学青年の卵とか、優秀な子供を想像されるかもしれ

ないが、私が集めていたのは…

膨大な量の『映画のタイトル文字』。

ナンダソレ?

と思われて当然のコレクターだ。

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←少し前に、ここで話題に

なった『昼顔』の文字もある。

だいたい私は映画のタイトル

を聞くと、映画そのものよりも

まずはそのタイトル文字が

浮かぶのだが、それはこんなことをしていたせいだな。

ものごころついた頃から、絵を描くことは好きだったが、

中学生になると、文字でイメージを創り出すことに

興味が湧いてきたことを覚えている。

私のノートは歴史上の人物や先生の似顔絵満載だった

が、そこへ文字が加わったのだ。

たとえば世界史で「ビザンチン帝国」を勉強しているとする。

私はせっせと『ビザンチン帝国』をイメージする文字を、

ああでもないこうでもないとノートに描く、という具合だ。

Img_5453 Img_5456 その参考になったのが、これらの

映画のタイトル文字

だったわけだ。

「うまいなぁ~」と、

少年チャーマンは感動しつつ新聞を切り抜き、成績向上

にはなんの役にも立たない文字創りに精を出していたのだ。

上の写真にもあるように、同じタイトルで、横組みと縦組み

があるが、イメージを壊さずに組み方を変える技に

感心したものだ。

Sakuhinfukusyoku 右は比較的初期の私の作品。

アメリカントラッドのブランドロゴ

マークだが、なんというか、

切抜きが役にたっている…

カモシレナイ。

今でこそグラフィックデザイナー

という職業名が確立しているが、当時はそんなものはない。

あったとしても、まったくメジャーではなかった。

私は目にする文字や、マークや色が気になって仕方が

なかったが、だからといってそれを創ることが仕事になる

とはまったく考えてもいなかったなあ、と思う。

切り抜き以外にも、マッチのラベル、王冠、缶詰のラベル、

なども集めていた。

きれいなデザインのものは、飽かず眺めて楽しんだ。

越年で茶色くなった切抜きは、糊が乾いてパリパリと

剥がれる。

雨の日の仕事場で、古い新聞紙の匂いを嗅ぎながら、

「いやでも気になってしまう!」こと、はその人の仕事

になるんじゃないかな、と思った次第。

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梅雨明けが待ち遠しい、な、モノクロ猫くん!

 


沙羅双樹の花の色

2007-06-23 15:58:16 | アート・文化

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愛らしくも高貴な面立ちのこの王子は、一体…、

ゴータマ・シッダッタ、幼き釈迦牟尼

唯我独尊の方であらせられます。

以前、知り合いの仏画家、木内紫貴さんよりいただいたもの。

お釈迦様が乗っていらっしゃるのは、紗羅双樹の葉?もしくは

菩提樹の葉?

Img_5243 ←これが紗羅の花。

ナツツバキの異名だそうだ。

葉を見ると、どうも仏画に

描かれた葉に近い。

菩提樹は近所にないので、

(というか、あってもわからない)図鑑で調べて見たら、もう少し

丸い葉だった。

ということで、幼いお釈迦様は紗羅の葉に乗っていらっしゃる

わけだ。

確かお釈迦様が入滅されたのはサーラの林だ。

しかし、入滅されたのは2月15日…ということは、この美しい

花は咲いていなかった?

いやいや、入滅されたときには、いっせいに花が咲き満ち、

そしていっせいに散ったと伝えられているから、さぞ華やか

だったのだろうと思う。

このナツツバキとは違う樹だという説もあるらしいが、

私はこの紗羅の花で充分だ。

雨の中で見るこの花の清らかさは、ありがた~い気持ちに

させられるほどだ。

一日花で、予期せぬときにポトリ…と散る。

散っても花は美しく、はかなさを感じさせる演出もなかなかだ。

実は、私は木にくっついたまま枯れる花があまり好きではない。

往生際が悪いものは美的じゃない、という偏見が…。

Img_5155 合歓の花も、はらり、と散る。

香りもいい。

お気に入りの花だ。

ところで、ついでに菩提樹を調べて

みたところ、なにやら種類が

いろいろあって、日本の菩提樹と

お釈迦さまがその下で悟りを開かれたという樹と、

シューベルトの菩提樹は、それぞれ違うらしい!?

Img_5257 居間の壁に掛けられたこの絵

を眺めていたら、今日はやけに

鶯が鳴く。

夏に鳴く鶯を、老鶯(ろうおう)というらしい。

いい声だなあ。

とても「老いた」なんて思えない。

諸行無常を諭すよき響きであるよ。


創造と破壊

2007-06-10 00:28:26 | アート・文化

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久しぶりに少し雨が降った。

関東の梅雨入りはまだなのかなあ。

今夏は水不足が懸念されているが、深刻な旱魃が問題に

なっている国も少なくないと聞く。

予想以上のスピードで、この星は病んでいっているのだろ

うか。(多分、そうだろう)

私達がさしたる罪悪感もなしに行っている日常の行為が、

自分達の首を締め上げつつあるのだろう。

地球温暖化は既にマッタナシ!と言われながらも、悠長

に対策なんぞを考えている私たち。

だいたい「考える」ということは、その時点では行動して

いないことなのだ。

『考えている』ニモカカワラズ『行動しない』というのは、

どうもストレスを増長するんじゃないか、と感じる。

いや、もちろんロクでもないことを、考えると同時に行動

せよ!と言うわけじゃない。

究極、状況の如何によらず、やるべきことがそのまま

動作となるようなシンプルな暮らしが理想…だな、と。

さて、上の写真はカワウ。

曇天の下、羽を乾かしていた。

Img_5052 こちらは、シラサギ。

川辺の桜の樹で

休んでいた。

鳥の動きを観察して

いると、まさに動作と

思考(きっかけ)とにブレがないなあ、と感心する。

それに比べると、うちのクーなど家猫の対人間の動作には、

なにかしら本人(本猫)の中に、ブレが起きているな、と

感じられることがある。

あれは多分に人間(つまり、私)に毒されいるんだろう。

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←これは、以前に私が制作した

ロゴマーク。

インドの希少紅茶といわれる

マカイバリ農園のダージリン

ティーのブランドマークだ。

上のカワウのポーズに似ているではないか!

創造と破壊の神『シバ神』がモチーフだが、思えば人は

創造するのは大好きだが、破壊はたいていの人が嫌う。

所有するのは好むが、手放すのは嫌がる。

生まれるのはメデタイが、死ぬのは忌む。

だから不自由なのだろう。

創造と破壊はワンセットだと、シバ神は教えている。

それが肝に座れば、きっとカワウのようにスイスイと

空も水中も自由自在になるんだろうなあ。

地球も、いまや身を挺して私達にそのことを教えようと

している、と考えられなくはないな。

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川近くの野原一面のカモミール。

曇った空に、ハーブティーの香りが漂っていた。


向田邦子という女性

2007-05-14 00:25:23 | アート・文化

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前回の記事にご登場いただいた、葉山の風流人ご夫妻が、

帰り際にくださった麦と花(←ご本人たちも名前がわからない)。

ガラスの花瓶に入れて庭のテーブルに置いた。

麦の穂にクーが激しく反応するので、部屋に置くのは諦め、

デッキに飾ったのだが、これがなかなか優雅でいい。

午後の光の中で眺めると、ちょっと物憂い美しさがある。

さて、こうして連休も終わった先日、私は世田谷文学館の

『向田邦子 果敢なる生涯』展へ行った。

Mukouda0121 私は向田さんのドラマを殆ど知らない。

というか、テレビドラマというものを

見ないのだ。

ただ、この私のブログにコメントをくださる

方に向田ファンが、なぜか多いので、

「こlれは、なにかあるな…」とエッセイを

読んだのが、最近のこと。

感想は…「巧みだなあ。」

女性ならではの視線で表現された心理描写が、読むほどに

私自身のおおまかな感受性との違いをありありと浮かび上

がらせ、愕然とさせられた。

感受性といっても、対、人との感受性だった。が…

果たして、文学館での数々の展示を見て、人以外の

モノや、理想とする精神、表現者の使命に対する

彼女の感受性をも知らされたのだった。

膨大な数の自筆のシナリオには、どれもたくさんの訂正が

入れられ、その部分を読むと、彼女の表現への真剣さや、

それに伴う苦悩がきりきりと感じられた。

死別された恋人との書簡からは、深い愛情が汲み取られ、

また、妹想いの優しく聡明な姉の姿には哀しくなるほど

だった。

旅行と写真も大好き、そして動物、ことに猫をこよなく

愛していらしたとか。

上の写真、向田さんの頭上にある猫の絵がお気に入り

で、その下のソファによく座っていらしたという。

この猫は藤田嗣治の作品だったと思うが、館内にも

展示されており、なんとも味わいがあった。

私は、向田邦子の世界Img_4879

の初心者だが、

この企画展は

ずいぶん愉しめた。

以前よりのファンの方には、

是非いらしていただきたいと、

そして感想をお聴きしたいと思った次第。

この日、庭に咲いたクレマチス。

向田さんの姿と重なる、光と影のある美しい風情だった。