デザイナーの色メガネ

写真付きで日記や趣味を書く

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空を飛ぶ 実技編ー2

2006-09-28 09:39:40 | 旅行記

3

いよいよソロ飛行が始まる…が既に休暇は

残っていない。

もちろん帰国する気はない。

一計を案じた私は職場に国際電話を入れた。

内容は…「帰国をするはずだったが、空港で

置き引きにあってチケットも所持金も盗まれて

しまい、帰れなくなってしまった。

住み込みのアルバイトを見つけたので、1ヶ月

程働いて飛行機代を作ったら帰ります。」

受けた上司は…「え~っ!!たいへんだった

なあ!気をつけろよ!」

と恐縮に恐縮するはどたいへんがってくださる。

お金がないので電話もそこそこに…しかも

当時の国際電話は雑音がすごく、煙に巻いて

話をするにはうってつけ(?)だった。

私の懺悔録の中でもひときわ光る大嘘!

これだけの大嘘になると、ついてしまえば

あとは野となれ山となれ…とにかく一日も

早く免許を取るしかない。

そして、ついにソロ飛行の日。快晴!

緊張して操縦席に乗り込む。

(教官は外で手なんか振って…いる)

指示された滑走路へトコトコとセスナを進め、

位置に付ける。

とにかくいつも通りにやれば飛ぶんだ!

スピードをどんどん上げて滑走路を走り、

フルパワー!

浮いた!    あとは空へ空へ…

ある程度の高度になり、ちょっと落ち着いて

下を眺めたら、もう下界ははるかだった。

えっ、隣に誰もいないよな、(当然だろ)

飛んでるよな、(そうだ!飛んでる!)

ちゃんと着陸できるよな、(さあ、多分…)

ここで落ちるわけにはいかない!

置き引きにあって、やむなくアルバイトをして

いる気の毒な若者が、なぜか自分の操縦する

飛行機で落ちて死んだ、なんてお話にならない。

(いや、大いにお話になり過ぎるだろう)

それは避けたいと思いつつ、私はついにひとり

で空を飛んでいたのだった。

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空を飛ぶ 実技編ー1

2006-09-25 22:47:54 | 旅行記

2_1

学科をなんとかマスターしていった私は、

いよいよ飛行実技訓練へ!とコマを進めた。

上の写真は搭乗前にセスナを点検する私。

お~!懐かしのセスナ150!

小さくてかわいいんだなあ。(オモチャだね。)

1_2 ←翼の点検をしている私。

このセスナは2人乗りで、

教官と並んで座る。

この上のサイズがセスナ172で、これは

4人乗り。仲間と遊びに行くときなどは、

172を割り勘でレンタルして飛んだ。

不思議なことに初めて飛んだ時の印象はあまり

強烈なものではなかった。

(教官が同乗しているので、お客様気分があっ

たといえるかもしれない)

ただ機体が小さいので、「飛んでいる」というより

「風に乗っている」という感じ…が良かった。

ジェット機のように空気をつんざき、直線的に

雲の上まで昇る、なんてことはできない。

雲がある場合は雲の穴を見つけ、そこを

目指して、らせん状に昇っていくのだ。

Photo_8 ←セスナ機の窓から見た

サン・フランシスコ湾。

よく言われることだが、

飛行機は離陸と着陸、そして非常時の操作が

重要なのだ。

離陸、着陸は自転車に似たバランス感覚…と

いえるかもしれない。

問題は風!

この風をいかにうまく使えるか、が難しかった。

そして「非常事態のリカバリー」。

これはちょっとスリルがあった。

教官がいわゆる「キリモミ状態」を故意につくり、

リカバリーの練習をさせられるわけだが、実際、

この訓練中に教官ともども地上に激突した事故

が私の在学中にもあったのだ!(即死だった)

機体の頭をどんどん上げていくと、ある時点で、

失速する。つまり、まっさかさまに落ちる!

「キリモミ状態」になるわけだ。

この時、操縦桿を上げたくなる。浮力をつけたい

から当然なんだが、これをやるとオダブツだ。

気持ちとはウラハラに操縦桿を下げろ!だ。

この訓練がけっこう肝に効く。

まったく突然にストンッ!と頭が下がる。

地面が恐ろしいスピードで近づいてくいる!

しかし、リカバリーにはタイミングがあって、

ある時点まで待たねばならない。待って、冷静

に対処しなければならないのだ。

私は比較的大丈夫だったが、失神する生徒も

たくさんいた。

まあ、思い出し始めるとキリがないが、こうして

教官に手取り足取り、叱咤激励されつつ私は

訓練を続けた…あっという間に一ヶ月が経ち、

そして、ついにソロ飛行へと進む。

(あ、その前に休暇の問題が…)

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空を飛ぶ 訓練編ー3

2006-09-23 15:28:17 | 旅行記

_477_2

いよいよ学科の授業開始。

車の免許とは違い、まずは『航空力学』なる

学問を学び、「なぜ、飛行機は飛ぶのか?」

という素朴な疑問を片付けなければ飛び立た

せてはくれない。

そのほかにも、『機体構造』、『地理地形』、

『気象』、『無線通信技術』などの授業があり、

基礎固めができて初めて「夢の飛行訓練」に

入れるのだ。

美大卒の私にとっては畑違いの学科を、しかも

英語で受けるわけだからたいへんだった。

今振り返っても、あれ程必死に勉強した時期は

後にも先にもなかったと言い切れる。

_479 学校から帰ると、

夜遅くまで辞書を引き

ながらとにかく勉強、勉強…!

_480_1 人間、強い目的意志を

持つと、かくも励めるもの

なんだ、と自分自身に

茫然とするほど勤勉な男に変身していたなあ、

あの時期だけ…。

_481_1 シエラはサン・フランシスコ

空港から車で20分ほどの

オークランド空港をホーム

にしていたが、比較的大きなローカル空港

だったので、たまにはジャンボも発着していた。

毎日、たくさんの飛行機が飛び立つのを、

教室の窓から眺めているのは楽しかった。

ある時、セスナが一機着陸してきたのを

ボンヤリ眺めていたら、操縦席から若い女性が

降りてきた。

「へえ~、女性も操縦するのか、カッコいい!」

と注視していると、続いて彼女は中から赤ん坊

を抱き下ろした。

「えっ!赤ちゃん連れなのかあ~」

すると彼女はセスナの翼の上に赤ん坊をヒョイと

転がしたかと思うと…、

なんとオムツを換えはじめたではないか!

そしてさっさと片付けるや、赤ん坊を抱えて颯爽

と歩き去った。

「アメリカだなあ~!」

強烈に印象に残る光景だった。

私の実技訓練もいよいよ間近に迫っていた。

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秋の声

2006-09-22 00:11:00 | 日常の中の物語

_438

庭の彼岸花が咲いた。

今年はフジバカマは遠慮がちだが、彼岸花

は元気いっぱい。

_446 秋の陽射しの中で

美しい着物の柄の

ように鮮やかだ。

秋の季語に『秋の声』というのがあるそうだ。

春の声、夏の声、冬の声…はない。

そう言われてみれば、他の季節の声は奇妙な

感じがする、というか声を想像できない。

しかし、秋は空気も澄んで、遠くの物音も

よく聞こえる…ではないか。

夜ともなれば虫の音に混じってジーンと音なき

音が感じられるような…。

俳人の感性、というか日本人の感性は素晴らし

いものだ。

http://www.senshoku-take.com/index.html

↑は友禅染めの作家、嶽野好伸さんのHP。

眺めていると、日本人の色に対する思いが

伝わってくるようで、時々拝見している。

「秋の声」を感じながら美しい色を眺める…。

う~ん、なかなか芸術の秋だ!

_433 「うひょ~っ!」

と笑う栗。

こちらもかわいい『秋の声』だね。

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空を飛ぶ 訓練編-2

2006-09-19 19:30:46 | 旅行記

Photo_6

疲れ果てた私は送迎バスに揺られながら、

これから数ヶ月を過ごすことになるアパート

メントへとやっと頭を切り替えた。

学校が提携しているアパートメントには、

ちゃんとランクがあって、もちろん私が頼んだ

のは最低ランク。(ゼイタクはできません!)

日本の感覚でいくと、日当たりの悪いせいぜい

二部屋のアパート。

ところが!!着いてびっくり、玉手箱!

上の写真がその最低ランクのアパートメント。

広いアプローチ、ベッドルームもシャワールー

ムも2つ、清潔なシステムキッチン、余裕の

リビングルーム、裏庭にはバーベキューセット、

しかも共有スペースにはプールやジムまで

完備されていた。

「はあ~、これがアメリカなんだな。よくもまあ

こんな国と日本は戦争をしたもんだ…」

と圧倒されつつ、私は自分のベッドにひっくり

かえって、この日初めてホッ!としたのだった。

羽田を発ってからの時間が長くもあり短くもある、

異次元へやってきたような感覚だった。

しかし、翌日からは、学科の授業がスタートする。

(私には時間がないのだ!)

とにかく、一休みしたら明日に向けて準備だ。

近くのスーパーで買い物をしたり、うろうろする

うちに、持ち前の好奇心がよみがえってきて、

ガンガン元気になってきた私。

そしてあくる朝…。

あちこちのアパートメントを回って留学生を

拾ってきたスクールバスに乗り込んだら、

そこは人種のるつぼだった!

ターバンを巻いたインド人、アラブ服の男、

トルコ人風…匂いにも驚いた。

ガラムマサラのような匂いや、不思議な煙草

の匂い、それに体臭が混ぜこぜになって、

嗅いだことのない匂いがバスに充満していた。

「はあ~、これがアメリカ…なんだね」

さて、学校に到着。昨日すったもんだした受付

には、いかにも知的な女性(白人)がいる!

私を見ると、とても丁寧に、

「はじめまして!今日からここの生徒ですね。

がんばってください。」と手を差し出す。

私は挨拶を返しつつ、

「えっ?昨日の受付の女性はどうしたんだろ?」

とちょっと気になった。

しかし、その後そんなことにはかまっていられ

ない程、私は勉強にアケクレル羽目になって

しまった。

そして、あの受付の女性はとんと見かけなく

なり、そのうち私も忘れてしまっていたのだが…

あの人は一体、何者だったのだろうか??

(30年ぶりに思い出して、古狐につままれた

ような気分だ)

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