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デザイナーの色メガネ

写真付きで日記や趣味を書く

金魚坂

2007-07-27 01:46:24 | まち歩き

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文京区の本郷界隈は坂が多い。

文学散歩で有名な菊坂の途中には、狭い路地の坂が

右に左にとあるが、中でもこの金魚坂は、ユニークだ。

本郷通りから菊坂に入って、少し歩いた右側にある。

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←菊坂から見たところ。

得体の知れない看板に

一瞬たじろぐが、なんとも

わくわくする雰囲気だ。

ところで、なぜ私がここに

行ったのかというと、

金魚を買うため。

(いたってシンプルな理由)

以前、睡蓮鉢に住んでいた金魚が猫のオモチャになって

しまったので、ボウフラが育つ季節に新顔さんに住んで

もらって食べていただこうという計画だ。

近くのDIYセンターやペットショップでも売られているが、

せっかくだからと、老舗の金魚卸問屋さんまでやって来た

というわけだ。

ここの名物の女将さんは6代目だというから、江戸時代

創業…くらいかなあ。

Img_5460 いつのころからか人はこの店の前の坂を

金魚坂呼ぶようになったらしい。

そして、それが屋号になったとか。

まあ、中に入ると金魚だらけ。

店の人が黙々と働いている。

作業の邪魔をしないようにプールのような水槽を見て

歩くと、金魚の釣堀や、金魚すくいのコーナーもある。

なおも奥へと進んでいくと、突如、洋風のレストランが出現。 

スイス風?…かなあ。

ちょっと、待ってよ!というくらい唐突だ。

ここで、冒頭の写真の看板に納得、となる。

食事は済ませていたので覗くだけにしたが、メニューが

これまた、ちょっと待ってよ!なのだ。

京風おばんざいからカレー、コーヒーから中国茶、

ケーキから…葉巻!(キューバ産だそうだ)

要するにごちゃ混ぜなんだが、妙に統一感がある。

店頭の金魚グッズを眺めていると、颯爽と女将が

着物姿でお出ましになった。

涼しげな白い絽(というのかな…)の着物に、帯は

金魚柄。ほお~、さすが粋なお姿。

このお姿で、水槽に渡された板の上をさっさとお歩きあそばすのだ。

Img_5458 私が購入したのは『三つ尾和金』を三匹。

色のバランスや、尾ひれの優雅さなど

店の方が丁寧に説明をして選んでくださった。

Img_5484 ←この子たちだ。

名前は「ミツオ」「キク」「ケンジ」

とまあ、元気に泳いでいる。

金魚の寿命は15年くらいだと

いうから、これからけっこう

長いつきあいになるかもしれないな。

Img_5476 最後にナイショですが、美味しい店。

菊坂を下りきったところにある

アトリエ・ド・マヌビッシュ

ご存知かな?

仏レストランの出店だが、ここは本郷に行ったら外せない。

パン、惣菜、デザート、とどれも丁寧につくられていて好きだ。

上の写真は『シューシトロン』。

爽やかなクリームがこの季節に合うんだなあ。

が、なんといっても…『ライ麦パンのラスク』が一番!

(あ、食パンも捨てがたい~)

いやいや、本郷ワンダーランドはなかなか手ごわいのだ。

★おまけコーナー↓(けっこう楽しい)

日曜日の選挙前に「えらぼーと」で確認。


南千住といえば…

2006-11-09 23:19:58 | まち歩き

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前々回のブログでチラリと出した、「尾花」。

鰻屋もそれぞれに個性あり、贔屓ありだが、

私は味と値段と雰囲気で選んでここを贔屓に

している。

店内は広い座敷に小さい座卓が並ぶ。

数年前に改装したが、この形を崩さないところ

がいい。

年配の客が多いが、若いカップルも見かける。

なんとなく場に馴染めず、ギクシャクしながらも

仲良く食べている光景が微笑ましい。

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私はいつも「白焼き」を頼むが

30分以上は待つので、その間、

お新香、焼き鳥(これが絶品!)

などでゆっくりと酒を酌む。

柳川や卯巻きもいい…迷う。

尾花は南千住駅からすぐの場所だが、途中

「回向院」の横を通る。

江戸時代、このあたりに小塚原の刑場があった

そうで、なんとはなしに淋しい場所だ。

「回向院」には振袖火事で焼死した江戸市民

10万8千人を葬った万人塚をはじめ、安政の

大獄で刑に処された吉田松陰や尊王の志士ら

の墓、鼠小僧次郎吉、高橋お伝、竹本義太夫、

とまあ多彩な顔ぶれが葬られている。

観光名所ともいえる寺だが、ここは当時より

宗派も問わず無縁仏も動物も受け入れて

くれたという、まさに慈悲深いみ仏の心の寺

…南無南無…。

※現在もペットの供養、墓地など受付中。

なんだか回向院の回し者みたいに宣伝して

しまったが、確か吉田松陰はいったん埋葬

されたあと、遺体は世田谷の松陰神社

改葬されたと聞いたような…。

とにかく、南千住界隈もなかなか密度の濃い

ところだ。

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などと、つらつら思い巡らして

いるうちに…

鰻が焼けてくる、ということで。


猫と遊女

2006-11-07 23:49:44 | まち歩き

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唐突に…上の絵は吉原遊郭。

そう、あの江戸でただひとつの公許の遊郭。

先日「樋口一葉記念館」を訪ねたとき、そのすぐ

近くに「お歯ぐろ溝跡」という、奇妙な案内板が

あったので歩いて行ってみた。

そこは千束3、4丁目。現在は道路になっている

が、その昔は幅9メートルの溝だったそうだ。

その溝に囲まれた中が吉原遊郭だったとある。

溝は遊女らが逃亡しないように造られたもので、

遊郭の出入り口は大門(おおもん)一箇所。

番人が監視していたそうだ。

今は当時を偲ぶよすがはS字に曲がった大門

への道と見返り柳くらいなもので、小さなビルが

立ち並び人家がその隙間にひしめいている。

吉原は初め、現在の人形町あたりだったそう

だが、40年ほどで千束に移転となり、以降

昭和33年の「売春防止法」の成立によって

廃止されるまで、341年にわたりこの地に

あったという。

南千住から歩いたのだが、途中に浄閑寺

という寺があった。

この寺は通称「投げ込み寺」と呼ばれており、

吉原遊郭で亡くなった25,000人もの遊女

が投げ込まれるように埋葬された、とある。

なんとも重い史実だが、遊郭が昭和33年

まで現存していた!ということに私は驚いた。

貧しい地方の農家などから売られてきた娘

が、田舎者であることを隠すために、独特

の廓言葉「…でありんす」を使うようになった

そうだが、痛ましい話だ。

一度ここに入ると、簡単には出られない

仕組みだったという。

つまり借金はなくならないように仕組まれて

いたのだろう。(現代のサラ金地獄みたいだ)

手練手管に長けた娘も中にはいたかもしれ

ないが、気持ちの優しい娘など、いじめられ

たり、騙されたりしたことだろう、などとつい

つい想像して、暗澹たる気持ちになってしま

った。

014 ビルの間に猫が…。

そういえば「たま」という

猫の名は、確か人気の遊女が

可愛がっていた猫の名だったと聞いたことが

ある。

猫と遊女か…。犬よりも断然合っている。

猫は自分勝手なようで、人の気持ちに沿う

ところがあるのだ。

遊郭の中でも、たくさんの猫たちが薄幸の

娘たちを慰めたのかもしれないなあ。


一葉と金太郎飴

2006-11-04 23:55:00 | まち歩き

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なぜか今、我が家には金太郎飴が山ほど

ある。

その経緯は…出光美術館で5日まで公開され

ている『伴大納言絵巻』を観ようと出かけた。

込み合うだろうと思って朝早く出かけたのに、

既に長蛇の列混雑はキライなので諦める

先日行きそびれた『子規庵』にいくことに

して日比谷線に乗る「そうだ!久しぶりに

南千住の『尾花』(鰻屋)へ行こうと思い立つ

南千住駅で『樋口一葉記念館』が新装

開館したというポスターを見る『尾花』で

鰻を食べる竜泉まで歩いて『一葉記念館』

へ行くそこで一葉の顔の金太郎飴を試食

する近くの金太郎飴本店へ寄る。

とまあ、朝の予定とはまったく違う経路を辿り、

金太郎飴がごろごろあるわけだ。

上の写真はオーダーで作られた飴のあまり

を詰めたものだとかで、大袋で350円。

口にすると、懐かしいやさしい甘さ。

明治の初めから、この地(根岸)で商いをして

いたということは、一葉女史もこの飴を口に

したかもしれない。

Img_2370 さて、樋口一葉記念館だが、

この11月1日に改装オープン

したそうだ。静かで清潔な

空気が一葉の人柄によく合っていた。

苦労するために生まれきたような一葉の

一生。それは痛々しくもあるが、この世の

修行をしっかりと終えて逝ったのだ、という

ケジメの良さを感じもした。

一葉が愛用していたという小さな文机や、

紅入れ、紬の着物などを見るにつけ、質素

だがきりっとしたその暮らしぶりに比べて、

無駄なモノが溢れた昨今の生活が締まりの

ないオソマツなものに思え、現代人のひとり

として、恥ずかしい気持ちになった。

多くの和歌の秀作も残されているが、(私は

歌の巧さは正直、よくわからない)その筆跡

の美しさに感銘を受けた。

24歳で生涯を閉じた…か。

一葉という名は小さな舟を意味するらしい。

まさに笹舟で大海を渡ったような一生だった

と思う。

展示を見終えた人達は、心なしか静かに

記念館を後にしていた。


根岸の里

2006-10-28 00:24:38 | まち歩き

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少し前に谷中界隈散歩の記をアップしたが、

あの日行きそびれた蕎麦屋へいざ!

と今日は日暮里駅下車で挑戦。

日暮里から谷中へ向かう坂の途中にある

蕎麦屋、「川むら」。

酒の種類が多く、蕎麦&酒を愉しむには

もってこいの店だ。

上の写真の酒は大吟醸生酒。

そしてこの漬物!美しくて美味しいのだ。

くうぅ~!いいねえ、この雰囲気!

とひとり満足に浸っていると、ガラガラッと

引戸を開けて女性客が一人入って来た。

濃いグレーのパンツスーツをシックに着こなし、

白い柔らかいシャツにシルバーのネックレス。

長い髪をひっつめに結び、聡明そうな額…。

うぅ~!ちょっとカッコイイなあ。

年の頃は40歳半ば…こういう女性はなにを

注文するのだろう、と私は興味深々。

と、想像よりもハスキーな声で、

「まず、お酒、美丈夫ください。それから「もり」

お願いします。」

おお!美丈夫ときたか!私も好きな酒では

ないか!ふ~ん、そうか~。

なにが「そうか~」かわからないのだが、

私は納得したのであった。

酒がくると、彼女は慣れた手つきで杯に注ぎ、

姿勢正しく美しくスーッと一息に飲む。

私も真似てスーッと…美味いなあ。

蕎麦の食べ方も玄人だった。なんというか、

一気にズッ、ズッと…。

いかにも「咽喉で味わってます!」という感じだ。

ほお~、日暮里にこんなスマートな女性がいる

とは…。

感心しつつ私は「白魚の天ぷらともりそば」を

食した。

蕎麦は更科系で咽喉越しよし!

今日はいい日だ。

さて、店を出て根岸方面へと向かった。

007 ←ご存知「羽二重団子」

甘辛党の私はしっかり

この日も「甘いもの」も忘れずに

いただきましたよ!

このあと「子規庵」を訪ねたのだが、丁度

閉館時刻で、管理人の女性が鍵をかけ

ていた!

蕎麦と団子に時間と気をとられ…、

ああ、子規さんごめんなさい、また今度!

そこでお詫びに一句…

  秋晴れや根岸の里の侘び住まい

(これ落語でしたっけ?根岸の侘び住まい…)